戻る

美術館訪問記-90 ヨーテボリ美術館

(* 長野一隆氏メールより。画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ヨーテボリ美術館正面

添付2:ルーベンス作
「東方3博士の礼拝」

添付4:ムンク作「病める少女」

添付5:カール・ラーション作
「フュルステンベルク・ギャラリー」 

添付6:ヨーテボリ美術館内部

添付7:イーヴァル・アロセニウス作
「画家の妻」

添付8:リッカルド・ベルグ作
「夏の夕べ」

デンマークの北端とカテガット海峡を挟んで向き合っている、 スウェーデン第2の都市にヨーテボリがあります。人口53万人。 イェーテボリやイエテボリとも言います。北欧全体でも5番目の大都市です。

ここの中央駅からトラムで10分程の所にヨータプラッツェン広場があり、 中央に大きなポセイドン像の立つ噴水があります。 この広場を取り囲むようにして、美術館、アートギャラリー、市立劇場、 コンサートホール、市立図書館などが建ち並んでいます。

広場の突き当たりにあるのが「ヨーテボリ美術館」。変則的な7階建てです。 正面からはそうは見えませんが、高台にあるため、主階段を上がった所が4階で、 裏側は崖で、それに沿って下に3階あります。

1,2,3階には写真や現代画家の作品を展示してありました。 中央のホールは4,5階が吹き抜けで、彫刻が散在しています。 6階が中世から1880年まで。7階は1880年から1945年までの作品が展示してあります。 各階の踊り場にはスルバラン、ルーベンス、ヨルダーンスの大作が掛っていました。

6階にはパリス・ボルドン、ヴェロネーゼ、ヴァン・ダイク、コロー、ドラクロア、 クールベ等が並び、部屋を変えてスウェーデンのロココ、ロマン派が展示されて います。

7階には1部屋に印象派、ポスト印象派、ルソー、ボナール、デュフィ、ユトリロ、 シャガール、ヴラマンク、ドラン等が、隣の部屋はデッサン主体でマティス、 ピカソ、モディリアーニ等。ボナールの3点、デュフィ、ピカソが特に良い。

残りの部屋はスウェーデン、北欧の画家達が占めます。オスロで観たムンクの 「病める少女」がここにもありました。構図は完全に同じで色彩が少し異なります。

事前の調べではある筈のレンブラントとゴッホが見当たらないので もう一度駆け足で廻ってみて、念のためブックショップの本や絵葉書もチェック してみました。やはり所有していますが、展示品の中には見当たらない。 係員を見つけて聞くと、学芸員の方を呼んで来てくれました。

彼の話ではレンブラントはロサンゼルスのポール・ゲッティ美術館へ。 ゴッホはスイス、バーゼルの美術館へ貸し出されているとか。 その上ブックショップの絵葉書で見たハンマースホイの1作は倉庫に眠っていると 言うのです。よくある話なのですが、そうは来られない美術館で幾つかの 傑作が観られないのは残念な事です。

これがきっかけでその中年の男性学芸員と話が弾み、スウェーデンの代表画家 というカール・ラーション、アンダース・ゾーン、ブルーノ・リリエフォッシュ 等について絵の所に行きながら説明してくれました。

また芸術家を保護した大富豪ポントゥス・フュルステンベルクと彼の妻 ヨーティルダについても熱心に説明してくれました。 彼等の寄贈品がこの美術館の中核をなしているのです。

7階にフュルステンベルクがパトロンだった、カール・ラーションの描いた フュルステンベルク・ギャラリーの絵がありました。 フュルステンベルクは絵の中にある天井画や壁の彫刻も含め全てを寄付しており、 それらを再現した形で美術館の中に展示室が造られていました。

また反対側の奥には、学芸員さんの話では、滅多に人を褒めない スウェーデン出身の往年の大女優グレタ・ガルポが「愛らしくて素敵」と 賛辞を送ったというイーヴァル・アロセニウスの36作品を集めた部屋がありました。

スウェーデン人画家では1915年よりストックホルム国立美術館の館長を務めた リッカルド・ベルグの「夏の夕べ」も印象に残りました。

(*ピカソ作「アクロバットの家族」は著作権上の理由により割愛しました。管理人)

美術館訪問記 No.91 はこちら

戻る