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美術館訪問記-76 ピカソ美術館 アンティーブ

(* 長野一隆氏メールより。画像クリックで拡大表示されます。)

添付1:アンティーブ「ピカソ美術館」

添付2:アンティーブ「ピカソ美術館」から見たアンティーブの街

添付3:ピカソ作の陶器

添付4:ピカソとフランソワーズ・ジロー

添付5:アンティーブ「ピカソ美術館」内部

南フランス、アンティーブにも「ピカソ美術館」があります。

アンティーブはローマ時代の遺跡が残る古い町ですが、 ナポレオンが幽閉されていたエルバ島から脱出してここに上陸し、パリへ進軍し、 再び帝位についたゆかりの地としても知られています。

1946年隣町のゴルフ・ジュアンに滞在していたピカソは、 大作のための広いアトリエを探していました。

アンティーブ市が古くからの城で1924年から市の博物館として使用していた グリマルディ城の2階の大きな部屋を提供。 地中海を眼下に見下ろすこの部屋が気に入ったピカソはここで2ヶ月間仕事に励み、 完成した作品の大半を市に永久貸与。

これらをもとに1966年、アンティーブ市立ピカソ美術館として開館。

その後1990年にはジャクリーヌ・ロックの寄贈品が加わり、 所蔵ピカソ作品数は245点となっています。

ここの所蔵品は、ピカソがゴルフ・ジュアンとここで制作した絵画と素描、 その後近くのヴァロリスで製作した陶器やエッチング、 6枚のカーペットに限られた一時的なものに過ぎません。

しかし、城の壁に直接描いた「アンティーブの鍵」と題した壁画があるのは ユニークですし、生涯に多くの場所にアトリエを構えたピカソですが、 実際にその跡を訪れることができるのは、現在この美術館だけです。 
2ヶ月間の創作の様子は、パリ時代からピカソの知り合いの彫刻家であり 写真家であるミシェル・シマンが克明に記録しており、 当時のパートナーだったフランソワーズ・ジローやアトリエを訪れた 詩人で友人のエリュアールなどとともに収まった、ピカソの飾らない姿が何枚も モノクロームの写真として展示されているのも、この美術館の財産でしょう。

余談ですが、エリュアールの妻だったのが、 サルヴァドール・ダリの生涯のミューズになるガラです。 ダリの前には当時妻子のあったマックス・エルンストとも親密な関係にありました。

その他にもミロの彫刻や、 アンティーブで制作した大勢の現代画家・彫刻家の作品も展示されています。

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