前回のデモイン・アート・センターから東へ4㎞程の所にあるのが 「ジョン&メアリー・パッパジョン彫刻公園」。
ジョン&メアリー・パッパジョン夫妻が居住していたデモイン市に 当時4千万ドル(約44億円)と見積もられた24点の現代彫刻を寄贈。 これらを展示すべく2009年に開園。日中は何時でも開園しています。
アメリカにある野外彫刻展示場としては最重要コレクションの一つとされ、 その後の購入や寄贈で奈良美智や草間彌生作品などが追加され、 私が最後に訪園した2023年には25人の彫刻家による 30点の現代彫刻作品が300m x 100m程の公園に散在していました。
前回も観た馬の化石のようなデボラ・バターフィールドの彫刻が2点ありました。
デボラはアメリカ生まれの女性彫刻家で、芸術家の夫と一緒に牧場を経営しており、 自分で見つけた木切れや金属片を繋ぎ合わせて作る馬のオブジェで知られ、 米国の美術館ではよくみかけるポピュラーな現代作家です。
六本木ヒルズの広場にあるのと同じ、フランス人アーティスト、 ルイーズ・ブルジョア作の「ママン(母)」が巨大な蜘蛛の姿を見せています。 六本木で見ると周囲のビルに比べひ弱な感じがありますが、 開けた広場では腹に抱いた卵を守ろうとする母親の強さが感じられます。
シンシナティ美術館やメドウズ美術館にもあったジャウメ・プレンサの作品 「ノマデ」がありました。彼は1955年、スペイン、バルセロナ生まれ。
空間におけるフォルムのバランスの美しさ、球や四面体、円柱など 簡略化された形態の美しさを特徴とする彫刻で知られます。 この作品のように文字を組み合わせて彫像の思いを語らせる独創的作品もあります。
世界中で見かけるマーク・ディ・スヴェロの作品「T8」もあります。
彼は1933年、上海でイタリアの駐在員の両親に生まれ、第二次世界大戦で 1941年に家族とサンフランシスコに移住。カリフォルニア大学バークレー校で 哲学の学士号収得後ニューヨークに出て独学で彫刻を始めた変わり種です。
彼は建設現場で働きながら、彫刻を学んだのですが、そのためか主に鉄を素材に、 巨大な野外彫刻を制作してきました。その強さ、スケール、躍動感は、 まさにアメリカ的ということができるでしょう。
この作家がしばしば使うのは、建築物に用いられるH鋼です。 作家によれば、最初にアメリカにわたった際に目にした巨大な橋に対する衝撃が 影響しているといいます。サンフランシスコの金門橋の素材ですね。
このような近代産業のイメージと直結する素材を厳格な、しかも、的確な構成で 作り上げる立体作品は、その巧みなバランスによって、 素材の重々しさを超える優れた表現にまで高めています。
今日のアメリカを代表する彫刻家のひとりです。
スヴェロ同様、世界中で見かけるロバート・インディアナの「LOVE」もあります。 二人共美術館だけでなく、街中にもポツンと置かれているのが共通しています。 日本にも新宿アイランドタワーに設置されていますね。
インディアナは1928年インディアナ州の生まれで、米国空軍勤務を経て、 1949年シカゴ美術館附属美術大学へ入学。エジンバラ大学、ロンドン大学で 美術を学んだ後1954年、ニューヨークに転居し、 アンディ・ウォーホルをはじめ様々なアーティストと親交を持ちます。
彼はアメリカ社会の実像を描くことを使命に、自身の出身州インディアナを アーティスト名として使用。初期作品では交通標識や会社のロゴなどを取り入れ、 アメリカを象徴する言葉や数字、記号を使った絵画を制作。 1966年からは彫刻の代表シリーズ「LOVE」の制作をスタートします。
彫刻だけでなく絵画や版画、舞台美術や衣装などのデザインも手掛け、 幅広くポップアーティストとして活動しましたが2018年メイン州の自宅で死去。
日本人芸術家としては例外的に世界中で見かける草間彌生や奈良美智の作品もあり 芝生にはアメリカではどこにでもいるリスの姿もありました。