前回のダラス美術館から北北東に7㎞も行くとあるのが「メドウズ美術館」、
「大草原のプラド」という異名通りスペイン美術に特化した美術館で スペイン以外では最大かつ最も包括的なスペイン美術コレクションを誇ります。
1965年開館で、テキサスの石油成金、アルガー・メドウズが自分の収集品を サザンメソジスト大学(SMU)に寄贈したものです。 2001年にはSMUのキャンパス内に現在の新パレスチナ様式の美術館が開館。
入り口前にはシンシナティ美術館にもあったジャウメ・プレンサ(1955-)作の 「ショー」が鎮座していました。プレンサの作品名はいずれも人名です。
10時開館の5分前ぐらいに入るとティケット売り場の担当員が来ていない様で、 看視員の責任者らしい大柄の女性が、笑いながら、貴方だけ特別に無料で 入れてあげると言います。早起きは三文の得と言うことだね、と返して入館。
すると記念碑のような大規模で精密な祭壇画が目に飛び込んで来ました。 26翼からなる複雑な構成の祭壇画で中心にいるのは教皇に即位している聖ペテロ。
作者はマルティン・デ・ソリア(1449-1487)。 スペイン、アラゴン王国で活躍したフランドル様式のゴシック画家です。
ところが、添え書きによると、この大祭壇画はボストン美術館の所有物で この美術館に長期貸与されているのだとか。
フランスでは多くの地方美術館でルーヴル美術館やオルセー美術館などの 国立美術館からの長期貸与作品を頻繁に見かけますが、 アメリカではボストン美術館のような大美術館がその役割を果たしているようです。 どのみち大美術館は所蔵品の一部しか展示できないので、有効な方法と言えます。
グレコの「跪いて瞑想する聖フランチェスコ」がここにもありました。 この図像は「ハムレット的聖フランチェスコ」と呼ばれるもので、 グレコが多作したのでスペインで有名になり、多くの追随者がでました。
リベーラの「サンチャゴの騎士の肖像」は、珍しく眼鏡をかけた肖像画。 1635年頃の作品ですが、もうこの頃から眼鏡ができていたとみえます。
ベラスケスの「蝋板を持つ巫女」は未完成なので、注文されたものではなく 描きたいものを描いた風で、生き生きとしています。
ムリーリョの「聖ルフィーナ」は説明が必要でしょう。 聖ルフィーナはスペインのセビリアで3世紀頃キリスト教徒の家に生まれ 陶芸で生活費を稼ぎながら、町の貧しい人々にも援助を行っていました。
ある日、異教の祭りのための陶器を頼まれましたが、これを拒否したため、 店のものを壊され、暴行にあってしまいます。町の長官は、改宗を迫りましたが、 拒絶したためライオンの中に放り込まれたものの、ライオンたちは、ルフィーナを 襲わず、町の長官は、仕方なくルフィーナを斬首したという殉教者です。
聖ルフィーナはヒスパニック系の人々から崇敬されており、彼女の属性である 陶器と死に対するキリスト教の勝利を意味する棕櫚と共に描かれています。
「マリアーノ・ゴヤの肖像」は1827年、フランシスコ・デ・ゴヤが死の前年 唯一人の孫で溺愛したマリアーノを描いたもので、マリアーノはマドリードから フランスのボルドーに亡命していたゴヤを訪ね、ゴヤの死を看取っています。 ゴヤは全財産をマリアーノに残しました。
美術館内にはこれらオールドマスターだけでなく、近現代画家達の作品も数多く 展示されています。その中からソローリャ(第27回参照)を添付しましょう。
館内の広場にはフランス人のマイヨールの作品も展示されていました。