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美術館訪問記-742 コロンビア美術館、Columbia, SC

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:コロンビア美術館 

添付2:コジモ・ロッセリ作
「キリストへの礼拝」

添付3:ボッティチェッリ作
「キリスト降誕」

添付4:ボッティチェッリ作
「キリスト降誕」2012年5月写真

添付5:ボッティチェッリ作
「キリスト降誕」2019年4月写真 

添付6:スポイルム作
「ベンジャミン・スミス大尉」 

添付7:コロンビア美術館内部

添付8:イーヴリン・ド・モーガン作
「エオス」

添付10:コロンビア美術館前の風景

次の都市はコロンビア。サウスカロライナ州の中央部に位置する商工業都市で 同州の州都。人口は14万人余り。市名のコロンビアは白人としての アメリカ大陸発見者とされていたクリストファー・コロンブスに由来します。

1960年ランス・オ・メドーが発掘され、彼は第一発見者ではなくなりましたが。

市の中心近くのファンレイパークに隣接してあるのが「コロンビア美術館」。

ここは予想以上に古典が素晴らしかった。 まず美麗な「キリストへの礼拝」が目を惹きました。

作者は第736回で触れたコジモ・ロッセリ。 この絵はキリストの降誕場面ですが既にキリストの死を暗示する描写があります。

聖母マリアの右隣に描かれた聖ヒエロニムスは キリストの受難を幻覚でで目撃したとされる人物ですし、 聖母の後ろのヨセフは我が子の行く末を案じるかのように頭を抱えています。

またキリストと1歳ぐらいしか違わない筈の洗礼者ヨハネが 大人の姿で左端に描かれているのは奇妙に思えるかもしれませんが、 ロッセリによるこの選択は、おそらく大人の洗礼者ヨハネが砂漠で 幼児キリストの幻覚を見たという作り話に基づいているのでしょう。

ボッティチェッリの「キリスト降誕」も素晴らしい。

この絵はボッティチェッリの米国で唯一のフレスコ画であるだけでなく、 イタリア国外で展示されている彼の唯一のフレスコ画なのです。

2015年に東京のBunkamuraで開催された「ボッティチェッリとルネサンス展」に この絵はコロンビア美術館開館以来初めて貸し出されました。 それを多としてBunkamuraはルネサンス風の豪華な額縁を制作、寄贈しました。

私はコロンビア美術館に2012年5月と2019年4月に訪れているのですが その時に撮った写真を添付しましょう。やはり額縁は大切なものです。

2012年に訪れた時にスポイルムという画家の素朴な肖像画を初認識しました。 スポイルムというのは外国向けの名前で本名、關作霖(1765-1805)。

広州市で活躍した画家で、中国人で初めて油彩画を描いたということで、 西洋で最も有名な中国人画家というのも、ここの展示で初めて知ったのでした。

オールドマスター作品は他にもティントレット、フランチャ、パルミジャニーノ、 ヤン・ブリューゲル、ヴィンチェンツォ・カテーナ、アレッサンドロ・アッローリ、 リベーラ、カナレット、グアルディ、ベッロットなど枚挙に暇がありません。

本場のイギリスでも滅多にお目にかかれないイーヴリン・ド・モーガン (第491回参照)の「エオス」も貴重な作品です。

エオスとはギリシャ神話で、曙の女神。2頭立ての馬車に乗り、太陽神ヘリオスの 先駆として空を走る女神で、ローマ神話のアウローラにあたります。

神話ではトロイ戦争でエオスの息子メムノンが敵の勇将アキレスに討たれ、 エオスは嘆き悲しんで涙を流し、その涙が地上の花々を潤す朝露になったとか。

この絵では涙の替わりにイーヴリンの夫で陶芸家のウィリアム・ド・モーガンが 作製した壺から水を注いでいます。空を飛ぶ鳥はメムノンの魂でしょう。

第733回で触れたジャネット・フィッシュの「ダイアンの花瓶」は 日常の何気ない品物を色彩と光のタペストリーに変貌させるかのようです。

心躍る絵画に陶酔して美術館を出ると、そこには現代の建築美がありました。



(添付9:ジャネット・フィッシュ作「ダイアンの花瓶」は著作権上の理由により割愛しました。
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