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美術館訪問記 -725 現代美術館、Frankfurt am Main

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:現代美術館外観

添付2:現代美術館入口

添付3:特別展展示例

添付10:現代美術館内部

シュテーデル美術館やリービークハウス彫刻美術館のあるマイン川南側と 反対の北側、フランクフルト大聖堂近くにあるのが「現代美術館」。

ウィ―ンの建築家ハンス・ホラインの設計による、建物そのものがアートという 美術館で、1991年開館。「ショートケーキ」のニックネームを持つ三角形の外観。

内部は3階建てで上下左右、迷路のように入り組んだ展示室は類例がありません。 凸凹のある壁面、ジグザグの屋根、異色な外形、建物そのものが大きな彫刻のよう。

2008年に訪れた時はベルナール・ビュフェの特別展開催中でしたが、 無料の許可証をもらえば、他館から借りている特別展展示品も写真撮影可でした。 今でこそ特別展でも撮影可というところは増えて来ていますが、 この時が世界でも最初の特別展撮影経験でした。その面でも先進的美術館。

1, 2階を使用した特別展の展示方法も奇抜で、広い壁一面を使用したピンクの パネルにビュフェのサインが左下隅にしてあり、ビュフェの小作品 「フクロウ 1969」がポツンと1点だけ架かっていたりするのです。

3階が常設展用に使用されており、現代美術の中でもニューヨーク派の作品が多い。

ロイ・リキテンスタインの「我々はゆっくり上っていった」がありました。

彼は1923年、ニューヨークの生まれ。1940年、オハイオ州立大学美術学部に入学。 卒業後、製図工、大学講師などをしながら生計を立てていましたが、 1960年代初頭に彼の代名詞となっている、 漫画のコマを拡大したような作品を発表して一躍時代の寵児となります。

自分の子供にミッキーマウスの漫画を描いてあげた時に、芸術作品より漫画の方が 強烈なインパクトのある多様な表現が出来ることに気が付いたといいます。

彼の作品の特徴は、漫画のカットのような太い輪郭線で囲まれた平面に 原則、三原色のベタ塗り、影はドットの大小や密度で表現しています。

彼のコミックを油絵で描いた絵は、批評家からはけなされながらも、 画商のレオ・キャステリに才能を見出され、大衆から熱狂的に支持されていきます。

1994年に木場にある東京都現代美術館が開館時の目玉作品として リキテンスタインの「ヘア・リボンの少女」を6億円で購入しましたが、 その承認を求めた都議会で、「漫画に6億円払うのか」「税金の無駄使い」などと 批判されたのを記憶されている方もおられるでしょう。

2015年11月9日、ニューヨークのクリスティーズ・オークションで、 リキテンスタインの作品「ナース」が、日本円にして約117億円で落札されました。 東京都現代美術館の「ヘアリボンの少女」と全く同じサイズ(121.9×121.9cm)で、 1年前の1964年作です。都議会議員に美術鑑識眼を期待する方が悪いのでしょう。

第293回で詳述したポップアートの旗手アンディ・ウォーホルも 漫画を題材として使うことを思いついてはいましたがたが、 リキテンスタインのように、機械のように正確にドットを描くことはしなかった。

画商のレオ・キャステリのところに2週間遅れで漫画作品を持って行った ウォーホルは、リキテンスタインの絵を見せられ、その完成度に打ちのめされ、 ドットのアイデアを思いつけなかった事を悔しがったそうです。

そのウォーホルの「DAILLY NEWS」もありました。こちらはある日の デイリー・ニュース紙の紙面を手書きで再現して見せているのでした。

アメリカ・ポップアートの先駆者ジャスパー・ジョーンズの「標的」もあります。 彼は色彩の組み合わせを変化させたり、添加物を加えたりして、 「標的」を描き続けて来ています。もともと平面な対象物を平面に描く。 漫画や新聞同様アメリカ・ポップアートの真骨頂と言えるでしょう。

広い部屋に素焼きの壺を幾つも幾何学状に並べているだけの部屋がありました。 よくある単純な物でも数の威力と視覚的面白さで見せようとする作品かと思ったら 角度を変えて観ると、まるでイメージが変わって見えるのでした。

作者の艾未未(アイ・ウエイウエイ)は1957年北京生まれの中国人現代美術家で 世界各地で活動中。2015年から2019年まではドイツに滞在。



(添付4:ロイ・リキテンスタイン作「我々はゆっくり上っていった」」、添付5:ロイ・リキテンスタイン作「ヘア・リボンの少女」東京都現代美術館蔵、添付6:アンディ・ウォーホル作「DAILLY NEWS」、添付7:ジャスパー・ジョーンズ作「標的」、添付8:艾未未作「山を下るゴーストグー」および 添付9:艾未未作「山を下るゴーストグー」 別角度 は著作権上の理由により割愛しました。
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