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美術館訪問記 - 681 アーネム博物館、Arnhem

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:アーネム博物館外観

添付2:ヘンリー・ムーア作
「盾を持つ戦士」

添付3:モニカ・ダールベルク作
「アシス・ラフィキ」

添付4:アーネム博物館内部

添付5:メルヒオール・ドンデクーテル作
「羽を奪われたカラスの寓話」

添付6:アレイダ・ウォルフソン作
「ドロシア・フォン・ゴルスタインの肖像」

添付8:イサーク・イスラエルス作
「浜辺の子供たち」

次の町はオランダ東部のアーネム。ドイツ国境に近く、オランダでは珍しく丘陵が多い地帯で、森林もかなりあります。ライン川に沿った美しい街で庭園都市、公園都市などとも呼ばれます。人口17万人足らず。

町の南側を流れるライン川にかかる鉄橋(ジョン・フロスト橋)は,映画「遠すぎた橋」で描かれたアーネムの戦いの主戦場になったところです。

そのジョン・フロスト橋から北西に2㎞程のライン川沿いの丘の上にあるのが「アーネム博物館」。

博物館の周囲は無料で楽しめる野外彫刻展示場となっていて、数多くの彫刻が点在していました。

イギリスを代表する彫刻家ヘンリー・ムーアの「盾を持つ戦士」もありますが、目を惹くのは高さ3m50㎝もある「アシス・ラフィキ」。

作者のモニカ・ダールベルク(1975年生まれ)はケニア出身で、アフリカの伝統彫刻と現代のポップ・カルチャーを統合した芸術を得意としています。

この彫刻はミッキーマウスとアフリカ彫刻を組み合わせており、「アシス」は太陽を意味する、ケニア女性に一般的な名前で、「ラフィキ」は友人という意味のスワヒリ語です。

この大きな像はその名の通り、友好的な半人・半獣の顔をしており、輝く金色の顔は強靭さと力を象徴しているかのようです。

大改装で2022年に再開館した館内には地元の現代画家や彫刻家の作品が多く展示されていますが、私の興味を惹くものは乏しく、目が行くのはどうしても近代以前の作品になりました。

「羽を奪われたカラスの寓話」はイソップ寓話の中の話で、他の鳥たちが落とした羽を拾い集め、色とりどりの羽で着飾ったカラスが美しさを見せびらかしているところを、他の鳥たちからそれぞれの羽を奪われ、結局、自分の黒一色の姿を晒したというものです。

オランダのバロック時代の絵画には教訓を含んだものが多いのですが、この絵もその一つで、付け焼刃でなく自分を磨けというメッセージです。

作者のメルヒオール・ドンデクーテル(1636-1695)はユトレヒト生まれの動物画家で、鳥の絵を専門に描いた最初の画家の一人です。

アレイダ・ウォルフソン(1648-1692)という、当時のオランダでは珍しい女流画家の描いた上流階級の女性肖像画もありました。

アレイダはズウォレの市長の娘で、肖像画家として著名なカスパル・ネッチェルの下で修業し、後に嫁いでズウォレ市長夫人となっても画業を続けた稀有な画家です。

前回触れたリッツィー・アンシンの「ドールハウス」がありました。

ドールハウスとは、生活空間を、ミニチュアサイズに縮小した建物や部屋の中に表現したものです。その中にはミニチュアサイズの家具や道具などが並べられ、発祥は16世紀初のオランダともドイツともいわれます。

リッツィーは18世紀に制作されたドールハウスを1911年、入手し彼女の作品の多くに背景や室内道具の一つとして描いていますが、この絵のようにドールハウスそのものを全体的に描いたのは珍しい。

1943年の作ですから第二次大戦の最中で、いつ空襲などの不測の事態で壊されるかもしれないと恐れて、愛玩の品を描き残したのかもしれません。

イサーク・イスラエルスの「浜辺の子供たち」がありました。

イサークの、子供たちが浜辺でロバに乗っている絵は大変好まれ、同工異曲の作品を多く見かけます。



(添付7:リッツィー・アンシン作「ドールハウス」は著作権上の理由により割愛しました。
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