マドリードの南南西300㎞程の所に古都、コルドバがあります。
コルドバはスペインのアンダルシア地方に位置しています。
アンダルシア地方は、スペインの南部にあり、アフリカ大陸から文化的な影響を強く受けており、コルドバはイスラム史上最初の世襲イスラム王朝ウマイヤ朝の子孫が本国を追われ、スペインで建国した後ウマイヤ朝の首都でした。
今回ご紹介する「メスキータ」もイスラム文化の影響を受けたものの一つ。
メスキータは、後ウマイヤ朝を創始したアブド・アッラフマーン1世の命によってバグダードに負けない新首都にふさわしいモスクを造るべく、785年に建設開始。
メスキータとは、「ひざまずく地」を意味し、現在の「モスク」を指す言葉でした。
その後、歴代のカリフ(イスラム国家の指導者、最高権力者のこと)によって増改築されて、987年には175m x 135mという世界最大級のモスクが完成。2万5千人もの信者が祈ることができたといいます。
コルドバは西方イスラム文化の中心地として発展し、10世紀には、世界最大の人口を持つ都市となっていたのです。
しかし、イスラム教徒に占領されたイベリア半島をキリスト教徒の手に奪回する、レコンキスタ(スペイン語で再征服を意味する)の進展により、1236年、コルドバはカスティーリャ王国のフェルナンド3世に征服されます。
メスキータは一部増改築後、キリスト教の大聖堂として転用されたのです。
かくしてメスキータは、本来は相いれないキリスト教の聖堂とイスラム教のモスクが共存する、世界に二つとない異形の不思議な建物となったのです。
メスキータは、コルドバの旧ユダヤ人街付近にあり、観光地の中心です。
イスラム教建築の鐘楼で、礼拝の時刻を伝える役割を持つミナレットを目印に訪れると、塀の中に「オレンジの中庭」と呼ばれる庭園空間が広がり、その先にあるシュロの門からメスキータ内部を見学することが出来ます。
中に入ると、目の前にキリスト教の聖堂では絶対目にすることのない、異様で幻想的な空間が広がっていました。最初に見た時の驚きと感動は生涯忘れられないでしょう。
赤と白の美しいアーチがどこまでも続いているかのよう。柱の数は、現在、850本ほどあるのだとか。
本来モスクの内部は明るい筈なのですが、キリスト教の大聖堂へ改造される際に、入口は一つだけを残して全て塞がれてしまい、内部はほの暗い。そのため、内部写真は上手く撮れず、Webから借用しました。
途中にはその時に改造されたキリスト教の礼拝堂がありました。
最深部にはメッカの方向を示す「ミフラーブ」があります。全世界のイスラム教徒は現在のサウジアラビアのメッカにあるカアバ神殿の方向に向かい、1日5回の礼拝をするために、モスクには絶対必要なのです。
偶像崇拝禁止のイスラム教では、装飾のモチーフは草花や幾何学模様となっており、四角い部分には、右下から左下にかけてぐるりとコーランの一節が記されています。
屋根の部分は八角形になっていて、天井部分は音響効果を考慮した貝殻のような形をしていました。説教者の声が響き渡るよう計算されています。
帰途、アンダルシア地方の家屋の特徴である、中庭付きの家々の軒先に飾られた可愛い鉢植えの花々を見ながら歩いていると、細い路地の間にミナレットの尖塔が覗いていました。