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美術館訪問記−645 モンセラット美術館、Montserrat

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:モンセラット美術館正面

添付2:モンセラット美術館内部

添付3:ティエポロ作
「オーストリアのフランシス1世誕生の寓意」

添付4:カラヴァッジョ作
「聖ヒエロニムス」

添付5:グレコ作
「瞑想のマグダラのマリア」

添付7:サージェント作
「傘を差した女性」

添付9:ラモン・カサス作
「バルでのチカ、1892年」

スペインを代表するキリスト教の聖地、モンセラットには、質の高い美術館もあるのですから、バルセロナから足を伸ばす価値が十分あります。

それが「モンセラット美術館」。

最初は一人の僧侶が中近東で集めて来たエジプトのミイラや考古学的発掘品、修道院に伝わる宗教的装飾品などを展示すべく1911年に開館したのですが、大修道院長アントニの収集品が加わって様変わりしました。

彼は1911年から1920年にかけて、第一次世界大戦の前後で美術品価格が下落している時、ローマとナポリで古典の名画を買い集めたのです。その中にはカラヴァッジョも含まれていたというから驚きです。

これが誘い水となったかのように、その後相次いだ寄贈品でコレクションは拡大して行き、現在に至っています。

美術館の入口は修道院前の右側地下にあり、一見、美術館には見えないので、注意が必要です。

その上、修道院の管理する美術館のためか、何の案内や旗指物もなく、大勢いた観光客も気づかない人が多いのでしょう、中は閑散としていました。

最初の部屋に入ると直ぐ正面にティエポロの佳品が目に入りました。

別の壁にはカラヴァッジョの「聖ヒエロニムス」が鎮座しています。1605-1606年頃の作品で、まだ殺人を犯してローマから逃げ出す前の彼の全盛期の作品です。こんなところでお目にかかれるとは。

後は少し陰影の乏しいグレコの作品がありました。こんな色使いのグレコは観たことがなく、力も弱いので、かなり工房の手が入っているようです。

古典絵画はこの1部屋のみで、隣の部屋からスペイン人主体の近代絵画となります。こちらは20部屋はあったでしょうか。内1部屋は古いものも含むモンセラット関連の美術品で、3部屋ほどエジプトの遺物がありました。

中に1部屋、ピカソ13歳の作という「老いた漁師」がありました。彼が美術学校で描いた油彩としては、現存する最初のものだと音声ガイドが紹介していました。

約90 x 60cmほどのしっかりした絵です。まともな画家でもこれだけ描ける人がどれだけいるでしょうか。真にピカソの天才を物語る絵でです。

ピカソに7歳の時から本格的に素描と油彩を教えた、画家だった父親は、13歳になった息子の絵を見て、その腕前に脱帽し、自分の画材一切を息子に与えて画家は諦め、教師と学芸員のキャリアを進むことを決意したといいますが、その心情が判らなくもありません。

その横に老人を描いたピサロのやや暗い絵、シスレーの風景画、ドガのパステル画、サージェントの明るい水彩画の女性像、ルオーの小品、モネの2作、ルノワールのややぼけた風景画と続きます。

ダリの若い頃のキュビスムからシュルレアリスムへの移行期の大作もありました。明るくカッチリとした初々しい絵です。

他のスペインの近代画家では、これまで何度かお見せしたラモン・カサスの作品を添付しましょう。

現在は撮影可になっているようですが、私が訪れた2010年は撮影禁止だったので、添付写真はWebから借用しました。



(添付6:ピカソ作「老いた猟師」および 添付8:ダリ作「船乗り、アカデミックな新キュビスム」は著作権上の理由により割愛しました。
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