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美術館訪問記 - 540 メイン大学美術館ほか4大学付属美術館、Bangor

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:メイン大学美術館前の紅葉木

添付2:メイン大学美術館前景

添付3:メイン大学美術館内

添付4:フーサトニック美術館内

添付6:リスト・ビジュアル・センターのあるビルの内部

添付7:ヴァージニア大学美術館前景

添付8:ヴァージニア大学美術館前庭の一部

添付9:マクマレン美術館前景

アメリカの東端にあるメイン州の中程にバンゴーという街があります。 人口3万3千人余りですが、バンゴー国際空港もある文化と商業の中心都市です。 

この町の中心部分にあるのが「メイン大学美術館」。

訪れたのが10月の初めで美術館入り口前に美しい紅葉木がありました。 気分よく入館したのですが、残念ながら未知の現代作家の企画展のみで、 調べにあったブラックやピカソ、ハッサム、ホックニー、ラウシェンバーグなどの 既知作家の作品は一点もありません。

受付の気の良さそうな中年男にそう言うと、「展示面積が狭くて・・・」というお決まりの返答でした。

これでは、美術館訪問記の体をなしませんが、大学付属美術館はえてして こういうことが起こり勝ちで、人員不足や予算不足もあるのでしょう、 美術館のホーム・ページもほとんどメインテナンスされておらず、 現地に行ってみなければ、何が観られるのかわからないことが多いのです。

勿論、前回のブラントン美術館や以前特集したようなハーヴァードやイェール、 プリンストン、スタンフォードなどの素晴らしい大学付属美術館も数多くあります。

今回は期待外れだったアメリカ東部にある大学付属美術館を幾つか紹介しましょう。

2つ目はニューヨークの北東約100kmに位置するブリッジポートにある 「フーサトニック美術館」。フーサトニック・コミュニティー・カレッジの 付属美術館です。ブリッジポートはコネチカット州最大の都市で人口約14万7千人。

ここは世界中でも他には見た事のない特異な美術館で、3階建ての 鉄筋コンクリートのビル内にある大学内の廊下の壁に作品が展示されています。

カルダーやカッツ、ロビンソンなどの油彩画やデ・クーニング、ヘップワース、 マティスなどのリトグラフがガラスもはめられずに剥き出しのまま展示中。

これらの廊下は数多くの教室を取り巻く形で存在しており、 一体盗難や破損に対しての考え方はどうなっているのでしょうか。 私のような部外者でも何のチェックもなく自由に出入りできる環境なのですから。

絵画、彫刻以外にアフリカ、オセアニア、アメリカの考古学的発掘品も 展示されているコーナーもありました。

ただクリムトやカサット、ルノワールなどがある筈の大部屋の展示室は 鍵が掛けられて閉鎖されていました。通りがかった警備員に聞くと鍵を開けて くれましたが、中はがらんどうで、次の企画展の準備中なのだろうという事でした。 残念。

3つ目はハーヴァード大学と同じマサチューセッツ州ケンブリッジにある 名門校、マサチューセッツ工科大学付属の「リスト・ビジュアル・センター」。

2011年と2019年の2度訪れたのですが、最初の年は臨時休館、 2度目は展示替えのため主展示室は閉鎖中で小展示室で特別展だけ開催中との事。 特別展は全く興味の持てない現代美術で直ぐ出てしまいました。 ブラックやシャガール、ドーミエ、ゴヤなどを所蔵している筈なのですが。

4つ目は首都ワシントンD.C.から140㎞程南西にある街、シャーロッツビルの 「ヴァージニア大学美術館」。

シャーロッツビルは、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンが 設立したヴァージニア大学を中心とした大学都市であり、 ジェファーソンの邸宅モンティチェロがあることでも知られています。

広い大学の構内にある小ぢんまりとした美術館で、アルマ=タデマやブーシェ、 ボッティチェッリ、バーン=ジョーンズなどの錚々たるグラフィック作品を 有するという事でしたが、ギリシャの壺やアジア、メキシコなどの発掘品が 展示されているだけなのでした。

前庭に置かれた幾つかの彫刻がわずかに心を和ましてくれました。

最後はボストンの西10㎞程の場所にある街、チェストナットヒル。 1863年に創立された、ボストン界隈では最古の名門私立総合大学 ボストン・カレッジがあることで有名です。

その広いボストン・カレッジの構内にある「マクマレン美術館」は まるでイギリスのオックスフォード大学に迷い込んだような、 古びた石造りの教会や建物に囲まれた中にありました。

この大学が観光コースに入っているようで、観光バスを何台か見かけました。

アンニバレ・カラッチやドルチ、グイド・レーニ、サッソフェラート等が 観られる予定でしたが、これらの画家の絵は以前の企画展で展示しただけと いう事で、訪れた日は格別観るべき作品もない企画展開催中でした。



(添付5:アレックス・カッツ作「出来事」は著作権上の理由により割愛しました。
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