戻る

美術館訪問記 – 512 アウクスブルク大聖堂、Augsburg

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:アウクスブルク大聖堂外観

添付2:アウクスブルク大聖堂前の噴水

添付3:アウクスブルク大聖堂南側入口

添付4:入口扉

添付5:アウクスブルク大聖堂内部

添付6:ハンス・ホルバイン父作
「聖母マリアの誕生」

添付7:ステンドグラス「預言者ホセア」
写真:Creative Commons

添付8:ステンドグラス「ダビデ王」
写真:Creative Commons

添付9:断片フレスコ画「聖クリストフォロス」

前回のシェッツラー宮殿が面したマキシミリアン通りを北上して行くと、 丘の頂に「アウクスブルク大聖堂」があります。

この大聖堂はシンパート司教により、聖母マリアを祀って805年に創設され、 その後、塔を含む西側部分は11-12世紀にロマネスク様式で、 東側部分は14-15世紀にゴシック様式で再建されたという記録が残っています。

大聖堂の前には噴水が設置され、この街の守護聖人3人が迎えてくれます。

左に教会の創設者シンパート司教、右に304年、この地で最初の殉教者になった 聖アフラ、中央には馬に跨り955年、町に攻め込んで来たハンガリー人を撃退した 英雄、ウルリッヒ司教。彼は死後、史上初めて教皇自身により列聖されています。

1360年頃完成の南側の入口は幾つもの彫刻で荘厳に装飾され、 柱の中央に聖母マリア像、扉の中央には歴史を物語るいかめしいノッカーが 邪なる者これより一歩たりとも入るべからずと言わんばかりに鎮座しています。

この青銅の扉は1000年以上の歴史を持つ貴重な物で、現在は複製が使用されており 本物は教会内部に入口がある、司教区博物館に収められていました。

教会内部は入口に比べると、装飾もなくシンプルです。 ただ白く太い柱毎に祭壇画が飾られていました。

中では、アウクスブルク出身のハンス・ホルバイン父が 聖母マリアの生涯を描いた4点が光っていました。

ホルバインは名前も同じハンス・ホルバイン子の方が圧倒的に有名ですが、 父もここアウクスブルクで名を成した画家で ドイツ絵画をルネサンス様式に変革したリーダー的存在でした。

この大聖堂最大の見どころは、1140年制作といわれるステンドグラス。 旧約聖書に登場する預言者や王を描いた5点のステンドグラスのうち、 4点がオリジナルで、現存する世界最古のステンドグラスなのだとか。

稚拙にも見える古風な雰囲気ながら風情があります。

これらのステンドグラスは天井近くにあり、写真を撮るのが難しく、 添付写真はウイキペディアから拝借しました。

ロマネスク様式で造られているクリプトには13-16世紀に描かれたとみられる フレスコ画の断片が幾つか残されていました。

添付した聖クリストフォロスとは「キリストを背負ったもの」という意味で、 人々に奉仕するために、人を背負って川を渡らせていた巨人の彼が、ある日、 キリストを背負って渡らせてあげた、という伝承に基づくものです。

彼がまだ幼いキリストを背負って川を渡る絵は、頻繁に目にします。