ジュネーヴからレマン湖に沿って約50km北東に行った所にローザンヌがあります。人口14万足らずですが、小国スイスでは4番目の大都市です。人口の42%は外国籍で国籍も多岐に亘り日本では考えにくい構成になっています。
国際オリンピック委員会(IOC)の本部が置かれており、「オリンピックの首都」とも言われ、国際柔道連盟(IJF)の本部もここに置かれています。
この街の高台に町のシンボルとして建つのが「ノートルダム大聖堂」。12-13世紀にかけて建設されたゴシック様式の壮麗な建築物で、スイスで最も美しい教会と言われています。
ノートルダム (Notre-Dame) はフランス語で「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアを指し、その名のとおり聖母マリアを祀る大聖堂です。ノートルダムを冠した教会は世界各地のフランス語圏の都市に建てられています。
ローザンヌでは8割近い人がフランス語を第一言語にしています。
大聖堂は全長100m、中央尖塔高80mとフランスの大聖堂に比べるとやや小振りですが、紫がかった屋根の色彩がクリーム色の壁面との対比で美しい。
屋根付きの階段を上がって大聖堂西口入口に向かいます。
フランス語で「炎が燃えさかる」という意味のフランボワイアン様式の西正面扉口装飾を愛でながら、内部に入ると、3廊式になっており、2本並んだ円柱が5体ずつ左右に並び。後陣にも半円形に5本の円柱が並んで、上部2階のアーチと円柱で囲まれた美しい回廊を支えています。
全長11m、幅8m、高さ8mで、約7000本のパイプを備えた巨大なパイプオルガンは2003年に完成し、一人のデザイナーによって設計された最初のもので、ヨーロッパの教会に設置された最初のアメリカ製パイプオルガンです。
一番の注目ポイントは南壁にある薔薇窓のステンドグラスです。13世紀に制作されたこの薔薇窓は、シャルトル大聖堂の薔薇窓よりも古く、鮮やかな色彩が魅力で、外から差し込む光で幻想的な雰囲気を醸し出しています。
薔薇窓を除き、多くあるステンドグラスの全てが20世紀に入って作られた、新しいものながら、緑や青の深い色合いで美しく堂内を飾っています。
また、南薔薇窓真下の南扉口の彫刻も一見の価値があります。中世の教会彫刻は極彩色に着色されていたと考えられていますが、ここにある幾つかの彫刻には当時の色彩がかなりはっきりと残っているのです。
高台にある大聖堂の横にある庭から見渡すローザンヌの街並みとレマン湖とそれを取り巻く山並みの景色も素晴らしい。
この大聖堂のユニークなのは、1405年から続く伝統として、いまだに夜10時から午前2時まで、毎時、夜警が塔の上から大声で叫んで時間を知らせていることです。