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美術館訪問記 - 463 バウアー・コレクション

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:バウアー・コレクション外観

添付2:中国製花瓶、雍正帝時代(1723-1735)

添付3:中国製花瓶、乾隆帝時代(1736-1795)

添付4:バウアー・コレクション3階の一室

添付5:バウアー・コレクション3階の一室

添付6:喜多川歌麿作
「婦女人相十品」中の1点

添付7:鍋島大皿、18世紀作

添付8:根付「蚤取猿」19世紀中頃

添付9:印籠、明治時代

添付10:薩摩焼の花瓶、1900-1910年頃

ジュネーヴ美術・歴史博物館の南東200m足らず、ジュネーヴ旧市街の外れの丘の上の高級住宅街に、中国・日本美術専門の美術館があります。

それが「バウアー・コレクション」。ヨーロッパ屈指の東洋美術館でスリランカで起こした事業で財を成したアルフレッド・バウアー(1865-1951)の9000点に及ぶ個人コレクションを公開すべく1964年開館。

個人の収集品としてはヨーロッパ随一という東洋美術コレクションが自分の死後散逸するのを恐れたバウアーは、美術館とすべく邸宅を購入し、全コレクションを邸宅もろとも設立した財団に寄贈後亡くなります。

根付だけでも1000点を超すという傑出したコレクションを作り得たのは、バウアーが20世紀初頭に世界最大の古美術商を展開した山中商会の社員だった富田熊作と出会い、彼に全幅の信頼を寄せて買い集めた結果でした。

時期も幸いしました。彼の収集の最盛期である1920年代後半から1930年代にかけては、1929年発生した世界大恐慌の影響もあり、日本では大名家を始めとする旧家の蔵品の売り立てが相次いだ時期でした。

それらの名家に残っていた名作が大量に世に送り出されたのです。

美術館は石造りの邸宅で、その全体を使って、1階と2階が中国美術、3階が日本美術の展示に充てられています。

地階では現代陶磁器などの企画展も行われています。

中国美術は、ほとんどは磁器で、唐三彩から宋磁,景徳鎮,玉などもあり,個人コレクションらしく,こぢんまりとした作品が多いのが特徴です。

各時代の作品が揃っていますが、特に清代作品が質量ともに充実しています。

清の雍正帝時代作の目の覚めるような黄色地に青と白で絵付けされた花瓶や、雍正帝を継いだ乾隆帝時代の清楚な白地に鷺と蓮を描いた花瓶など、惚れ惚れと見とれました。

日本美術はかなり広範囲に渡っており、陶磁器、日本刀、鍔、蒔絵、屏風、浮世絵、根付や印籠、煙管、煙草入れ、茶道具など。 磁器は鍋島が中心で、柿右衛門などもあり、優品揃いです。 茶室までしつらえてあり、窓から枯山水の庭園が見えたりもします。

部屋ごとに作品解説の仏語または英語のブックレットが用意されており、展示ケース内の番号と照らし合わせながら、作品ごとの詳しい解説を読むことができるというシステムになっています。

残念ながら写真撮影は禁止で、室内写真や展示品は全て美術館のホーム・ページから借用しました。