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美術館訪問記-44 ウジェーヌ・ブーダン美術館

(* 長野一隆氏メールより。画像クリックで拡大表示されます。)

添付1:ウジェーヌ・ブーダン美術館入口

添付2:ウジェーヌ・ブーダン美術館内部

添付3:ウジェーヌ・ブーダン作
「トゥルヴィルの浜辺」

添付4:ウジェーヌ・ブーダン作
「白雲と青空」パステル画

添付5:クロード・モネ作
「オンフルール、サント・カトリーヌの鐘楼」

フランス、ル・アーブルのセーヌ川の河口を隔てた対岸には オンフルールの町があります。ノルマンディーの小さな港町です。 ここに「ウジェーヌ・ブーダン美術館」があります。

ブーダンはボードレールやコローから「空の王者」と称えられた、 印象派の先駆けの一人で、自身1874年の第1回印象派展に参加しています。 マネ同様「印象派の父」と呼ばれることもあります。

彼はオンフルールの生まれで、父は船乗りでしたが、止めてル・アーブルに移り、 文房具兼額縁・絵画店を開き、成功します。

12歳の時から父の店を手伝っていたブーダンは、やがて自分で店を開き、 画材を購入に立ち寄る画家達と交流を持つようになります。 自分の店でミレーの個展をやったりもするようになり、 彼等の勧めで画家になる道を選びます。22歳の時でした。

26歳で奨学金を得、パリに学び、 オランダの風景画家ヨハン・バルトルト・ヨンキントと知り合います。 ヨンキントから戸外の制作を勧められ、9年後パリのサロンでデヴュー。 この時クールベの紹介でボードレールに会い、 彼の好意的な批評がブーダンが世に出るのを助けたのでした。

ウジェーヌ・ブーダン美術館は、彼自身が自宅の前に友人と創設したのが最初です。 1868年、ブーダン44歳のことでした。

その後、場所は移り、現在は19世紀の礼拝堂を核に、 2つのビルディングを追加した4階建てになっています。

最上階の大きなガラス窓越しに見下ろすセーヌ川河口の情景は素晴しい。

ここにはブーダンの油彩とパステル画が合計63点あります。 パステルで空を描いた習作を見ると、光、そして空と雲が織り成す 様々なヴァリエーションを、倦むことなく追い求めたことによって、 ブーダンの作品が傑作と成り得たのがよくわかります。

他にもクールベ、ヨンキント、モネ、マルケ、デュフィ等の作品があり、 ブーダンの衣服、帽子、家具等と共に展示されています。

ただ複雑な造りのためか、マルロー美術館に比べると照明が暗く、 戸外にキャンバスを立てて現場で描くことを主張した、 ブーダンの絵の明るさが殺されているのが残念です。

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