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美術館訪問記 - 401 司教区博物館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:司教区博物館入口

添付2:司教区博物館内部  写真:司教区博物館HP

添付3:アイエツ作「磔刑のキリストとマグダラのマリア」

添付4:ベルナルド・ダッディ作
「聖チェチーリア」

添付5:ベルゴニョーネ作
「聖カタリナ」
写真:Creative Commons

添付6:ベルナルディーノ・ルイーニ作
「聖母子」

添付7:グイド・レーニ作
「聖ヨセフと幼子キリスト」

第391回のサンテウストルジョ聖堂の北隣には「司教区博物館」があります。

通りとは直角に建物が配置されており、それと知らねば判りにくい場所に 入口がありますが、名前からは想像できない近代的な建物。 中庭を囲む正方形の大きな建物で2階建て。地下1階。

この博物館は1980年から2002年までミラノの大司教で、1983年には枢機卿にも なっているカルロ・マリア・マルティーニが、2001年にミラノや ロンバルディア地方にあったキリスト教関連の芸術品を集大成して現在地に開館。

4世紀から21世紀までの宗教芸術が700点以上所蔵されている中で、 一つだけ部屋の中ほどに置かれていたのが、ヴェネツィアで生まれ,ミラノで 没した19世紀の巨匠、アイエツの「磔刑のキリストとマグダラのマリア」。

アイエツはこれまでも何度か紹介してきましたが、例外的に縦長の画面中に、 彼のロマン主義者としての美意識が凝結しているかのようです。

展示されていた絵画中、古いものはベルナルド・ダッディの「聖チェチーリア」。

ベルナルド・ダッディは1290年頃フィレンツェの生まれで1348年同地で没。 ジョットの一番弟子で彼の後継者と考えられています。

ルネサンスの扉を叩いたジョットの薫陶を受けたダッディらしく、 聖チェチーリアは生身の人間のように写実的に3次元的に描かれています。

ダッディは多産の画家だったようで、世界各地の美術館で彼の作品を見かけます。

聖チェチーリアは古代ローマ時代の殉教者としては最も知られた人物で、 種々の伝説がありますが、歴史上の人物でキリスト教に帰依し、異教への改宗を 拒絶したため、皇帝の命により176年から180年の間に斬首されました。

伝説によれば、チェチーリアは斬首刀の3打を耐え抜いて死刑を中止され、 その後3日間生き延びたといいます。

ミラノではよく見かけるベルゴニョーネの作品もあります。「聖カタリナ」。

聖カタリナはアレクサンドリアのカタリナとも呼ばれ、 エジプト、アレクサンドリアの王家の娘で、教養高く、キリスト教に帰依し、 ローマ皇帝の求婚を拒絶したため、車輪に手足を括り付けられて転がされるという 拷問に処されようとされますが、車輪が雷電で壊れたため、斬首されたとされます。

このため、彼女は車輪や、死に対するキリスト教の勝利を意味する棕櫚や、 彼女の高い教養を示す書籍などと共に描かれることが多い。

また彼女は、天国へ運ばれ、そこで聖母マリアによって、 キリストと婚約させられるという幻視を見たとされ、 「神秘の結婚」というタイトルで絵画の主題にも多く登場します。

ベルゴニョーネの弟子で、レオナルド・ダ・ヴィンチの影響も強く受けた ベルナルディーノ・ルイーニの剥離フレスコ画「聖母子」もありました。

バロックの傑作、グイド・レーニの「聖ヨセフと幼子キリスト」も目につきました。 聖ヨセフは勿論キリストの義父に当たる人物です。

ここでは入場券を購入する時に、「撮影禁止ですよ」と念を押されました。 従って添付写真は司教区博物館のHPやWebから借用しました。