戻る

美術館訪問記-37 ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ

(* 長野一隆氏メールより。画像クリックで拡大表示されます。)

添付1:ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ

添付2:床モザイク

添付3:床モザイク

添付4:10人娘の広間モザイク

添付5:10人娘の広間モザイク拡大図

イタリア、シチリア島の中心から少し南東の山中に ピアッツア・アルメリーナの町があります。

モザイク画シリーズの最後にこの町の郊外にある、古代ローマの別荘(ヴィッラ) だった「ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ」を取り上げましょう。

この別荘は3世紀末から4世紀初頭にかけて建設されましたが、 12世紀に放棄されたようでその後土砂に埋まり、1929年、発掘が開始され、 第2次大戦後の1950年から本格的な発掘調査が行われました。

その結果驚くべき内容が明らかになったのです。

各種浴場、台所、食堂、大宴会場、客室、会議室、礼拝堂、ジム、プール、 運動場と何でも揃った40室の総床面積3500㎡の大邸宅。

土砂に埋もれていた為、屋根は全く残っていませんが、床の大部分、 壁や柱の何割かはよく保存されています。 この殆ど全ての床に部屋の用途毎に異なるモザイクが敷き詰められていたのです。 その総数3千万ピースといいます。

標高約700mのシチリアの山中にこれだけのモザイクを張り詰めさせた 財力と民度の高さは、ポンペイの遺跡同様驚異としか言いようがありません。

所有者は確定されておらず、現場で販売していた解説本には ローマ皇帝マクシミアヌスか執政官とありますが、現地ガイドは闘技場で使う 猛獣をアフリカから輸入することで財を成した大富豪と言っていました。

ガイドの説を裏付けるかのように、 各部屋には猛獣狩りや闘技場の場面を現したモザイクが多く見られます。 象、犀、虎、ライオン、豹、猪、鹿、駱駝、兎、牛、馬、鷹、孔雀等が 鮮明に描かれ、漁猟や神話の場面等もあります。

しかし何と言っても私達を驚かせたのは「10人娘の広間」と名付けられ たジムの床にあるモザイクです。 そこには10人のビキニ姿の少女達がボールや鉄アレイ、円盤等を使って 体操をしている様子が描かれているのです。

現在風俗と何ら変わりはありません。

こんなものが1700年も昔に作られていたとは。

美術館訪問記 No.38 はこちら

戻る