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美術館訪問記-36 モンレアーレ大聖堂

(* 長野一隆氏メールより。画像クリックで拡大表示されます。)

添付1:モンレアーレ大聖堂正面

添付2:モンレアーレ大聖堂内部

添付3:モンレアーレ大聖堂モザイク

添付4:内陣丸天井のキリスト

添付5:モンレアーレ大聖堂青銅扉

添付6:モンレアーレ大聖堂中庭

パレルモから8kmほど南西の山腹にモンレアーレの町があり、 ここの「大聖堂」にも見事なモザイク画があります。

この大聖堂は1174年グリエルモ2世によって着工され、1182年に完成。 大聖堂、王宮、司教館、修道院が全体で一つの建築複合体をなしています。

大聖堂は内部が3廊式になっており、バシリカ式の円柱上部の壁、側壁の上部、 聖堂内陣、後陣の全てが12世紀末から13世紀半ばまでに造られたという 金地モザイクで覆いつくされています。

総面積6340平方メートル、イタリア最大といいます。

ヴェネツィア、ラヴェンナ、ローマ、パレルモでもモザイク画は多く見て 来ましたが、宗教画モザイクとしてはこの大聖堂のものが最高でしょう。

1140年に完成したパレルモのパラティーナ礼拝堂の後になるため、 その経験が最大限に活かされていると思われます。

旧約・新約聖書の一連の主題と創世記の物語が描かれていますが、 内陣丸天井に描かれた両手を広げたキリストの上半身像が巨大で、 圧倒的な迫力で迫ってきます。

その下には聖母子座像と天使、聖人達が、 また左右の後陣には聖ペテロと聖パウロの全身像が描かれています。 モザイク画に書かれている言葉は殆どがラテン語ですが、 中にギリシャ語も混じります。

柱廊玄関奥には緑青のために緑色に見える大きな青銅扉があります。 これは今に残るイタリアで最も古い青銅扉の一つ。 42枚のパネルで構成されていて、旧約聖書に取材した場面が描かれています。

青銅扉のある中庭側の内部には小さな入口があり、入場料を払って入ると 中庭を見下ろしながら大聖堂の屋根伝いにクーポラ上部のテラスに 出られるようになっています。 そこからパレルモの町が広がるコンカ・ロード(黄金の盆地)を臨む大パラノマを 堪能できます。



注:

3廊式:教会の入口から主祭壇に向かう通路を廊と呼び、奇数からなる。 二つの壁や列柱で3つの通路に分かれている形式を3廊式という。

バシリカ式:ローマ時代に集会所や裁判所として使用された公共建築物を バシリカと呼ぶが、これに類似した教会建築を指す言葉で、 長方形の平面を持ち、内部が列柱のアーケードで区分され、 クリアストーリと呼ばれる採光用の高窓がついている。

美術館訪問記 No.37 はこちら

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