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美術館訪問記-338 オルヴィエート大聖堂付属美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:大聖堂付属美術館

添付2:大聖堂付属美術館内部

添付3:ルカ・シニョレッリ作
「マグダラのマリア」修復前

添付4:ルカ・シニョレッリ作
「マグダラのマリア」修復後

添付5:ルカ・シニョレッリ作
「ニッコロ・フランチェスキといる自画像」

添付6:シモーネ・マルティーニ作
「聖母子と四聖人」

添付7:シモーネ・マルティーニ作
「聖母子と救世主」

添付8:ルドヴィコ・マッツァンティ作モザイク断片

添付9:フランチェスコ・モーキ作
「受胎告知のマリア」

添付10:フランチェスコ・モーキ作
「受胎告知の大天使ガブリエル」

オルヴィエート大聖堂の右側にこぢんまりしたゴシック様式の建物があり、 この2階に「オルヴィエート大聖堂付属美術館」があります。

館内にはオルヴィエート大聖堂に飾られていたことのある 絵画や彫刻、装飾品が所狭しと並んでいます。

ここにもルカ・シニョレッリ作の傑作「マグダラのマリア」がありました。

この美術館のシンボルになっている作品で、 案内板やティケットなどに印刷されています。

それだけの価値は充分ある作品で、私も好きな作品の一つだったのですが、 10年以上前の修復で印象が一変しました。

システィーナの礼拝堂のミケランジェロの大壁画も修復によって随分印象が 変わりましたが、この「マグダラのマリア」ほど変化した絵も珍しい。

空のくすんだ灰色が澄んだ薄青色になり、背景の山や野が水墨画状態から クッキリとした青や緑に、衣服や顔の薄暗い色彩が鮮やかな補色の赤と緑や 生き生きとした肌色や金色に大変身したのですから。

勿論絵画としては鮮明な色彩のほうがはるかに好ましいのですが、 慣れ親しんだ修復前の絵に歴史と愛着を感じるのも否めません。

ルカ・シニョレッリの作はもう1点フレスコ画の 「ニッコロ・フランチェスキといる自画像」がありました。

ニッコロは大聖堂装飾の会計官で、彼の任期満了に伴い、 ルカが記念に描いたものと考えられます。

シモーネ・マルティーニの多翼祭壇画「聖母子と四聖人」もありました。 左側から聖ピエトロ、マグダラのマリア、聖母子、聖パオロ、聖ドメニコ。

祝福するキリストが上部に位置する聖母子像もあります。

シモーネ・マルティーニは14世紀初めシエナ派の中心人物として活躍した画家で オルヴィエート大聖堂の建築に大勢のシエナの職人が加わっていた事が、 彼の作品がここにある理由なのでしょう。

ローマの生まれですが、父親がオルヴィエート出身の画家、 ルドヴィコ・マッツァンティの出来の良いモザイクもありました。

ローマでベルニーニに先立ってバロック様式の形成をリードした 彫刻家フランチェスコ・モーキの劇的な「受胎告知」も いかにもバロックらしい躍動感溢れる作りで素晴らしい。