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美術館訪問記-318 ロチェスター大学記念美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ロチェスター大学記念美術館正面

添付2:ロチェスター大学記念美術館2階内部

添付3:ヨルダーンス作
「エリザベス・ヨルダーンス、画家の娘」

添付4:グアルディ作
「サン・ジョルジョ・マッジョーレ、ヴェネツィア」

添付6:ロダン作
「若い女性のトルソ」

添付7:ヘンリー・レイバーン作
「陸軍中佐ヘイ・マクダウェル」

添付8:チャイルド・ハッサム作
「水浴者達」

クリーヴランドから国道90号線で北東にナイアガラの滝を過ぎて370km程走ると、 オンタリオ湖岸にニューヨーク州、ロチェスター市があります。

人口20万余りの、近郊を含めると14の大学がキャンパスを置く学術都市です。

ロチェスター大学は1850年設立の全米でもトップグループに入る私立大学で、 宇宙ニュートリノの検出でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士は、 同学の大学院博士課程を同学最短記録の18ヶ月で修了し、博士号を取得しています。

ここの大学付属美術館、「ロチェスター大学記念美術館」も 大学付属美術館としてトップグループに属するもので、1913年開館。

この美術館は入口の外観とは異なり内部はかなり大きな建物です。 外見上美術館に見えた物は実は受け付けとオアシス的な広場のある場所で、 この部分の天井はガラス張りで、光に満ち溢れています。

右にはオフィス棟、左側に立派な2階建ての展示棟が付属しています。 オフィス棟も見事なインテリアで、最初誤解してそちらに行ってしまいました。

展示場の方は1階のアメリカ美術を突き抜けた奥に2階への階段があります。 先ず2階に上がり、ルネサンス絵画の部屋から見始めるのがよいでしょう。

ここは3廊形式の教会のような造りで中央部分は教会のように天井が高く 丸天井になっていて、その両側に普通の高さの部屋が付属しています。

バロックの部屋にはルーベンスの小品とハルス、ダイク、グレコの彼等らしい 作品がありました。ヨルダーンスの娘を描いた作品が彼の真情を現しているからか、 通常の彼のスタイルと異なり、ロマン的でハッとさせられました。

ロココの部屋にはブーシェとグアルディの佳品1点ずつ。何れも小品です。

次のやや広目の部屋にはコロー、クールベ、アングル、ドガ、セザンヌ、モネ、 ロートレック、ボナール、マティス、ルオー、ヴラマンク、ドンゲン、 キリコ等が並びます。ソローヤも1点。

ロダン、ブールデル、マイヨール、ドガの彫刻もありました。

イギリス人画家達の部屋もあり、ゲインズバラ、ホップナー、ロムニー、 コンスタブル、ワッツ等が並んでいます。

レイバーンの縦長の将軍像がありましたが、人物が生きており、 これまで見てきた中では彼の最高傑作と言えます。

ヘンリー・レイバーン(1756-1823)はスコットランド、エディンバラの生まれで、 金銀細工師、その後細密画家としての見習いを経た後、 20歳の時に当時のスコットランド最高の画家、アラン・ラムゼイの第一助手である ダヴィッド・マーティンと出会い、彼から当時の偉大な肖像画家たちの作品を 借りて複写し、画家として生きて行く決意をします。

ほどなく未亡人となって間がない伯爵夫人の肖像画を依頼され、 夫人はハンサムで知的なレイバーンに心を奪われるのです。

彼女と結婚した彼は、経済的に豊かになり、新妻とローマに行き、 2年間古典を勉強して過ごします。

1787年帰国した彼は肖像画家として成功。ジョージ4世の肖像画家となり、 スコットランド人画家として初めて騎士称号を授与されています。

レイバーンは常に自然なしぐさに関心を抱いており、 そのため下絵を描かずに作品を制作する手法をとっています。

2階には古代エジプトの遺品が並ぶ部屋と日本を含めたアジアの仏像や陶器等の 並ぶ部屋もあり、俵屋宗達作という八曲一隻の屏風までありました。

1階はアメリカ人画家達に充てられています。 コプリーを始め名の知れた画家達の作品が網羅されています。

グランマ・モーゼス、ベントン、ジョージ・グロス、ステュアート・デイヴィス、 メトカーフ達の良品がありました。

ハッサムが個人の室内を飾るために描いた大きな壁画がありました。 彼の壁画は始めて見ましたが、中々の出来です。

ここのレストランも素晴らしく、料理が良くてリーズナブルな値段で、 混み合っていました。

(添付5:ドンゲン作「女性の肖像」 は著作権上の理由により割愛しました。
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