美術館訪問記-305 クライスト・チャーチ・カレッジ

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:クライスト・チャーチ・カレッジ

添付2:大聖堂外観

添付3:大聖堂内部

添付4:大聖堂の天井

添付5:バーン・ジョーンズ下絵、モリス商会制作のステンドグラス

添付6:バーン・ジョーンズ下絵、モリス商会制作のステンドグラス

添付7:グレート・ホール内部

添付8:グレート・ホールへの階段天井

ケンブリッジの南西100kmほどの所にオックスフォードがあります。

ここにあるオックスフォード大学は英国最古の創立で、明確な創立年度は 確定していないのですが、遅くとも1096年には存在していました。 ケンブリッジ大学の100年以上前です。 世界的に見てもイタリアのボローニャ大学に次ぐ2番目に古い大学です。

そもそもケンブリッジ大学は、オックスフォード大学と住民の間に紛争が生じ、 その時難を逃れたメンバーがケンブリッジに創設したものなのです。

英語圏では世界最古の大学で世界有数の名門大学です。 26人のイギリス首相、58人のノーベル賞受賞者などを輩出しています。 また、皇太子徳仁親王、皇太子妃雅子、秋篠宮文仁親王ら、 日本の皇族の留学先としても知られています。

そのオックスフォード大学の付属美術館が第19回のアシュモリアン博物館。

オックスフォード大学には38のカレッジがありますが、ケンブリッジ大学の キングス・カレッジに相応するのは「クライスト・チャーチ・カレッジ」でしょう。

前身であるカーディナル・カレッジが1525年に設立され、ヘンリー8世により 現在のクライスト・チャーチ・カレッジが創設されたのは1546年。

過去13人の首相を輩出し、他の37のカレッジ全てを合わせたのと 同数で、2012年の寄付金は約520億円という裕福さ。 ただ最も保守的で最初の女子学生を受け入れたのは1978年の事でした。

このカレッジはオックスフォード大学で唯一学内に大聖堂を持ち、 イングランド国教会オックスフォード主教管区の大聖堂も兼ねています。 カレッジの中に大聖堂があるのは世界でもここだけなのだとか。

クライスト・チャーチ・カレッジは広い中庭があり、一面緑の芝生で中央に円形の 噴水があります。対面は黄土色の砂岩のレンガ造りの2階建て校舎で 中央に半円形のアーチ型の入口とその上に六角形の塔が付いています。

中世から変わらぬ眺めであるのでしょう。そのまま真直ぐ進むと左手が大聖堂。

クライスト・チャーチは、もともとその名の通り教会で、8世紀に建てられた 教会でしたが、12世紀に再建され、クライスト・チャーチが設立されると共に 吸収されて建て替えられ、大聖堂に昇格しました。

大聖堂の天井の模様が美しい。天国のイメージを醸し出す為に入り組んだ星型の 模様を作り出しています。

オックスフォード大学出身のバーン・ジョーンズが下絵を描き、大学で知り合い 生涯の親友だったウィリアム・モリスの設立したモリス商会が制作した 4点のステンドグラスが華麗で素晴らしい。 これらを観るだけでも、大聖堂を訪れる価値があるでしょう。

横の出入り口から出ると、小さな中庭があり、続いてカレッジの学生や 教官たちの食堂、グレート・ホールがあります。 現在も使用中なのでランチ・タイムは見学者は入れません。

このホールに至る階段の天井の模様がいかにも歴史を感じさせるものでした。

グレート・ホールはハリー・ポッター映画の魔法学校の食堂のモデルで、 壁一面にかけられた肖像画や壮麗な天井の細工は見たような気がしました。

本物は映画より小さく感じましたが、映画ではコンピューター・グラフィック処理 により、大きく見せていたのでしょう。