美術館訪問記-297 ファーンズワース美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ワイエス・センター

添付2:N.C.ワイエス作
「快晴吉日」 
ワイエス家のメイン州の別荘

添付4:ファーンズワース美術館

添付5:ジョージ・インネス作
「ホワイト・マウンテン」

添付6:ジョージ・ベローズ作
「秋のロマンス」

ボストンから北東へ260kmほどのメイン州ロックランドにもワイエス家の 家族美術館のような場所があります。それが「ファーンズワース美術館」。

この地の裕福な商人だったファーンズワースが残した遺産で1948年開館。

N.C.ワイエスはチャッズ・フォードで暮すうちに生まれ故郷の ニューイングランドが恋しくなり、1920年ロックランドの近くの邸宅を購入。 手直しに時間がかり、1930年から家族を連れて夏はこちらで過すようになります。

アンドリュー・ワイエスはこの地で知り合ったベッツィー・ジェイムズと1940年 結婚しています。従って、この辺りではワイエス家の画家達の作品を 手に入れ易かったでしょうし、アンドリュー夫妻も手元にあった自作品を この美術館に大量に寄託していました。

それらを展示するために、美術館の近くにあった白亜の教会が、 ワイエス・センターとしてワイエス家3代の作品展示専用会場になっていました。

私達が訪れた2011年10月には、ここの2階では日本の丸沼芸術の森から60点を 借り出しての「クリスティーナの世界とオルソン・ハウス」特別展を実施中でした。 オルソン・ハウスは現在ではこの美術館の管理下にあるのです。

1階にはN.C.ワイエスの作品が11点とジェイムズ・ワイエスが3点。

本館は6階から展示が始まり、アメリカ人画家のコレクションが比較的整って いました。ステュアート、インネス、モーラン、エイキンズ、ハーネット、 トワットマン、ハッサム、ベンソン、ベローズ等。

アンドリュー・ワイエスの作品が4階の特別室に21点、2階に10点、計31点が 展示されていました。これらは殆どがベッツィーとアンドリュー・ワイエス・ コレクションと表示されていました。アンドリューが死去した今では ベッツィー未亡人の寄託作品ということになるのでしょう。

アンドリューの姉のヘンリエッタとカロラインの絵はありませんでした。

1階にウィル・バーネットが100歳を迎えた祝辞と共に彼の作品が3点 展示されていました。その祝辞にアメリカで最も尊敬され称賛されている画家の 一人とありましたが、透明な薄塗りのシンプルな形態表現と色彩で、 テーマも日常生活を描いたもので、好かれるのも宜なるかなと思います。

バーネットは1911年マサチューセッツ州の生まれで、10歳で画家になる決心をし、 ボストン美術館付属学校で学んだ後、19歳でニューヨークに出て アート・ステューデント・リーグに入学。

卒業後は同校の教師となって後に国吉康雄を教えたりもしています。 その後もイェール大学やペンシルヴァニア美術学校で教鞭をとる傍ら画業を続け、 2012年永眠しました。

(添付3:ジェイムズ・ワイエス作「海へと続くドア」、添付7:アンドリュー・ワイエス作「七面鳥池」および添付8:ウィル・バーネット作「女性と高木」は著作権上の理由により割愛しました。
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