前回のマクネイ美術館内のパティオのモザイクを見ながら、アメリカ合衆国にある モザイクの殿堂を想い起しました。
第33回から37回までイタリアのモザイクを採り上げました。
新興国アメリカでは見るべきモザイク画などないだろうと思っていましたが、 これが嬉しい誤算。イタリアでは見られなかった、アメリカならではの 素晴らしいモザイクがあったのです。
それは「西部への玄関口」と言われるミズリー州頭部、セントルイスの街の 中心よりやや北に位置する「セントルイス大聖堂」にありました。
この大聖堂は1907年に建造開始。80年をかけて1988年完成。 鉄筋コンクリート造りですが、御影石の壁面とクーポラ、バラ窓、 2つの尖塔のあるロマネスク様式の立派な大聖堂です。
正面が繁華な大通りに面しており、裏側は一転住宅街になっています。
厚いドアを押して入ってみて驚きました。ビザンチン様式の広い堂内の天井、 壁、柱、全てにビッシリ、モザイクが敷き詰められています。
総面積7720平方メートル。イタリア一のシチリア島のモンレアーレの大聖堂が 総面積6340平方メートルですから、世界最大級であることは間違いありません。
こちらはまだ新しいためか、手入れが良いのか、汚れやクスミ一つ無く、 全てが光り輝いています。 色彩も鮮やかで、使用している色数も多く、まことに煌びやか。
総勢20人のアーティストが4150万ピースの角ガラスを使用。 色数は7000色に及ぶとか。
絵柄は勿論宗教的な内容が多いのですが、美しい幾何学模様やアメリカ市民や インディアンも登場し、ここならではのものとなっています。
地下にはモザイク博物館もありました。