美術館訪問記-269 マニャーニ・ロッカ財団美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:マニャーニ・ロッカ財団美術館正面

添付2:マニャーニ・ロッカ財団美術館の一室

添付3:ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作
「モーゼの救出」

添付4:カルパッチョ作
「ピエタ」

添付5:ゴヤ作
「ドン・ルイス親王の家族」

添付6:セザンヌ作
「サクランボのある静物」

添付7:ジョルジョ・モランディ(前)とルイージ・マニャーニ

添付8:ジョルジョ・モランディ作
「静物」

添付9:ジョルジョ・モランディ作
「花束」

前回添付したモランディの自画像は珍しかったでしょう。

所有している「マニャーニ・ロッカ財団美術館」という美術館も初めて聞いた という方が多いと思われます。

マニャーニはモランディが亡くなるまでの親友で、モランディ所蔵作品は 50点に達する世界第2位のコレクションです。

ルイージ・マニャーニ(1906-1984)は、美術・音楽・文学評論家であり、大学教授。

資産家の父が購入した12ヘクタール(3万6千坪)の広大な土地と 1800年代に造られたロンバルディア風の大邸宅を継承した彼は、 その資産を有効に活かし美術品の収集に没頭。膨大なコレクションを 土地・家屋・家財もろとも自分が創設した財団に遺贈し、1990年から美術館として公開されているのです。

美術館はイタリア、パルマの南、20km余りの場所に位置する トラヴェルセートロという田舎町にあります。

美術館前の数百台は停められそうな広い駐車場から、入場門を抜け200m近く歩くと 典型的なロンバルディア風新バロック様式の邸宅美術館に着きます。

階段を登って中に入ると、天井が高く豪勢な造り。 床は大理石。中央にロシア皇帝アレクサンドル1世からナポレオンに贈られた 孔雀石製の水盤が、両翼を広げた金張りのスフィンクスの台の上に載っています。

両側の壁にはティエポロ作のスタッコ彫刻に擬したフレスコ画が嵌め込まれ、 広く取った窓から広大な庭園が見えます。何と贅を尽した空間である事か。

展示されているコレクションが、個人で集めたとは信じられないような質の高さで、 マニャーニがモランディを始め多くの芸術家たちとの交流で 審美眼を磨き抜いていたのがよく判ります。

なにせ国際ゴシックを代表する画家の一人、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ から、ルネサンス絵画の雄フィリッポ・リッピ、ギルランダイオ、カルパッチョ、 デューラー、ティツィアーノ、ベッカフーミ等が揃い、さらにアンソニー・ダイク の大作やルーベンス、ピットーニ、フューズリに ゴヤの代表作「ドン・ルイス親王の家族」に加え、セザンヌ、モネ、ルノワール、 カルロ・カッラ、ブラック、キリコ、フィリッポ・デ・ピシス等の 近代絵画も並んでいるのですから。

2階にはモランディとルイージ・マニャーニが二人で写った写真が飾ってあり、 モランディの代名詞になっている瓶やコップを描いた静物画ばかりでなく、 果物や花束を描いた物や風景画もあり、モランディの35歳の自画像もあったのです。

美術館の敷地内にあるレストランと庭園も十分楽しめるものでした。