美術館訪問記-234 国際連合本部ビル

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:国際連合本部ビル

添付2:アルナルド・ポモドーロ作
「球体を持った球体」

添付3:シャガール作
「平和の窓」

添付4:シャガール作
「平和の窓」部分

添付5:歴代国連事務総長の肖像コーナー

シャガールのステンドグラスは世界6カ国、15箇所にあり、 その内アメリカ合衆国には3箇所にあります。

一つは前回のユニオン・チャーチ、一つはシカゴ・アート・インスティテュート、 残る一つは「国際連合本部ビル」、略称国連ビルの中にあります。

国連ビルはニューヨーク、マンハッタンを東西に横切る繁華街、 42丁目の東端に位置します。

敷地は縦長で18エーカー(約22,000坪)。 東はイースト川、北は48丁目、西は1番街に囲まれています。

国際連合は1945年10月24日に発足しましたが、この本部ビルは1947年に着工、 1952年に完成しています。39階建て。

1階ロビーと地下は誰でも自由に入れますが、 他の部分はガイド付きのツアーに参加しなければ入れません。

このビルはマンハッタン観光の一環に組み込まれているようで、 前には観光バスと客待ちのタクシーが並んでいました。

入り口前の広場に地球のはらわたをみせたような金属製の彫刻があり、 ドキリとしましたが、不思議と国連ビルに似合っていると感じたから妙です。

作者はアルナルド・ポモドーロ。「球体を持った球体」と題され、 箱根の彫刻の森美術館で1981年ヘンリー・ムーア大賞を獲った作品です。 今でも彫刻の森美術館にありますが、国連ビルには1996年に設置されました。

ビルの中には空港並みの手荷物検査を終えないと入れず、 順番待ちで結構待たされました。

入ると吹き抜けで空間が広がっています。

目当てのシャガールのステンドグラスは右手奥にありましたが、 知っていて眼を凝らさなければそれと気付かぬような、ひっそりとした存在です。

広い国連ビルの空間の中ではこぢんまりとして見えますが、 縦12フィート(366cm)、横15フィート(458cm)と十分な大きさです。

これは、1964年に国連の職員とマルク・シャガール本人から贈られたもの。

1961年に飛行機事故で亡くなった第二代国連事務総長のダグ・ハマーショルドと 彼とともに事故にあった15人の人々を偲んでのもので、 このガラスの芸術には幾つもの平和と愛の象徴が描かれています。

シャガールの青が美しい。

シャガールは「ステンドグラスは私の心と、世界の心とをつなぐ 透明の仕切りである」という言葉を残しています。

地下にはショップもあり、世界の土産物を売っています。 ここでは消費税はかかりません。 地下の郵便局でシャガールのステンドグラスの絵葉書を売っていました。