美術館訪問記-227 旧王宮

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:旧王宮正面

添付2:旧王宮内部

添付3:レンブラント作
「思索に耽る学者」

添付4:レンブラント作
「若い女性の肖像」

添付5:ユナイテッド・バディー・ベア

添付6:日本の バディー・ベア

ワルシャワの地に人々が定住したのは10世紀頃のこと。 13世紀末には、町が形成されましたが、その中心にあったのが「旧王宮」。 この辺りの旧市街はワルシャワ歴史地区として世界遺産に登録されています。

ただ旧市街は第二次世界大戦時にほぼ完全に灰燼に帰しており、 大戦後、戦前の写真や絵画を基に煉瓦のひび割れまでも忠実に再現したものです。

旧王宮はマゾフシェ侯爵の居城だったものを、ポーランド王ジグムント3世が 1596年にクラクフからワルシャワに遷都した際、王宮として横取り。 その後歴代の王がそれぞれの時代の建築様式を取り入れて改造して来たのだとか。

王宮も1944年ドイツ軍に完全爆破されたのですが、1988年までかけて復元。 現在は博物館となっています。

豪華な内装の部屋々々に、絵画、彫刻、タペストリー、壁画、家具、装飾品等が 飾られて、いかにも華やかな王宮らしい佇まいですが、肝心の絵画は ヴァン・ダイクの模写作品が1点あったぐらいで、 これはというものが見当たりません。

ポーランドの宮殿にはまともな絵は残っていないのかと思い始めた頃、 突如、素晴らしい作品が2点、目に飛び込んで来ました。

1点は老人の、もう1点は若い女性の絵です。

何を想うのか、憂いを含んで斜め前方に焦点の合わない目を向ける老人と、 希望に満ちてこちらを見詰める若い女性。

若い女性は額縁を窓の手摺りと見做した形で、そこに手を置き、佇んでいる。 額縁も実は全て描いてある、一種のだまし絵です。

どちらも茶黒色の背景に、光を当てられた顔が艶やかに輝いている。 レンブラントの傑作です。

こういういい絵に出会うと、心が洗われ、喜びが湧いて来て、つい微笑んでしまう。 このような一瞬を求めて旅を続けているのかもしれません。

余韻に浸りながら王宮を出ると、 両手を上に挙げた熊のユーモラスな像が所狭しと並んでいます。 各体、全く違った色付けで、実にカラフル。

近付いて見ると、世界各国の画家が自国の表現をこの像でしているようで、 1頭が1国を代表して、国名のABC順に並んでいます。

日本のものはどんな具合かと探して観ると、白色主体で、他国の色鮮やかで チャレンジングな像に比べると、全くパンチがありません。 ベルリン在住の日本人画家の手になるものでしたが、些か残念でした。

ユニセフ主催の「ユナイテッド・バディー・ベア」という催しで、 国際的な融和・平和を願って、ドイツの首都ベルリンで2002年に始まった アートイベントなのだとか。

その後、世界主要都市で開催され、東京でも2005年に六本木ヒルズで実施。 4月、5月の2か月で300万人以上の人達が集まったといいます。