美術館訪問記-201 カールス教会

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:カールス教会正面

添付2:カールス教会内部(正常時)

添付3:カールス教会天井と鉄パイプ

添付4:金網越しに見るウィーンの街並

添付5:ロットマイヤーの天井画

添付6:主祭壇「聖ボロメウスの昇天」

ウィーン市街にあるバロック建築の傑作の一つに「カールス教会」があります。

ベルヴェデ―レ宮殿に近いカールス広場の南端に、巨大なドームと2本の円柱を 誇示しながら佇立しています。

1713年ウィーンを襲ったペストの脅威に対抗すべく、ペスト撃退の守護聖人、 カール・ポロメウスに捧げて、建造されました。1739年完成。

教会の左右に立つ2本の柱には、ボロメウスの生涯が、 螺旋形の帯状に浮き彫りされています。

ローマ五賢帝のトラヤヌス帝とマルクス・アウレリウス帝の記念柱を模して、 製作されたもので、それぞれ47mの高さがあります。

ここは教会には珍しく、入場料を6ユーロ徴収していました。

切符売り場に、私の前に5人のグループがいました。

売り場の係りの若い男性が、「このグループの一員にならないか?」と聞きます。

6人以上ならグループ料金となり、1人5ユーロでよいというのです。 随分親切な係員もいるものです。勿論異存のある筈がありません。

私の訪れた2009年、楕円形のドーム天井(高さ72m)のフレスコ画は修復中で、 天井まで、鉄パイプで臨時の階段がセットされていました。

小さなエレベーターが横に付属しており、乗り込むと狭い中に エレベーター・ガールがいます。

どの位の高さなのか聞くと、35m、一番上までは60m、と言います。

35mの所が広場のようになっており、エレベーターはここまで。

更に上まで、階段がセットされています。

むき出しの鉄パイプと薄い木材を張り付けてできている代物だけに、 少し気持ち悪いのですがが、一応上まで登ってみます。

円蓋の乳首のように、少し突き出している所が目前に見える所が、最終到達点。

ここには聖霊を示す鳩が描かれています。

窓ガラスと金網越しにウィーンの街並が見渡せます。 シュテファン寺院の尖塔が目立っていました。

大円蓋裏の天井壁画が手を伸ばせば届きそうな所にあります。

これだけ天井壁画を間近に観るのは初めてです。

かなり修復は進んでいるようで、どの絵も瑞々しく描いたばかりのように見えます。

埃一つありません。

天井画は、ペーター教会の天井画も手がけたロットマイヤーの作品で、 中央に聖カール・ボロメウスが、ペスト終息を祈って、代願しています。

その他、聖母マリアを初めとして、多くの聖人や天使、また三位一体や天国、 様々な宗教的シンボルなども、天井いっぱいに、生き生きと描写されています。

天井の修復と同時に、他の部分も洗浄したのでしょう、 主祭壇も両脇の副祭壇も皆綺麗で、光輝くようです。

主祭壇はこの教会を設計したフィッシャー自身によってデザインされ、 聖ボロメウスの昇天をテーマに、彫像群が配置されています。

中心で、天使たちに囲まれているのが、勿論、聖ボロメウスで、 渦巻く雲の上に立ちながら、天から射す光に導かれています。

至る所に色大理石がふんだんに使用されており、 副祭壇の前には白大理石の彫刻が祭壇画を守るように置いてありました。