美術館訪問記-185 マクマヌス・ギャラリー

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:マクマヌス・ギャラリー

添付2:ジョン・ダンカン作
「妖精の騎手達」

添付3:フランシス・カデル作
「静物」

添付4:ロセッティ作
「ベアトリーチェの死んだ日のダンテの夢」

添付5:藤島武二作
「天平の面影」
石橋美術館蔵  

アバディーンから車で1時間ほど南西に行くとダンディー市があります。

アバディーンに次ぐ、スコットランド第四の都市です。

この町の中心街に「マクマヌス・ギャラリー」があります。

1867年に完成した、壮麗なゴシック・リヴァイヴァル様式の建物を 装飾美術館、博物館と共有しています。

ダンディー生まれの画家のジョン・ダンカンの「妖精の騎手達」が、装飾的な ラファエル前派風で面白いと思いました。

この絵はテンペラで描かれていますが ダンカンは水彩画の名手として知られています。

カラーリストのフランシス・カデルの静物画も、白いバックと、下方1/3を占める 青の机カバーと、その上の果物や花瓶の花の色彩対比が鮮やかで、美しい。

ここの白眉は、ロセッティの「ベアトリーチェの死んだ日のダンテの夢」です。

ラファエル前派の作品としては、目にした事のないような、 下に2つのプレデッラを持つ豪華版。

ラファエル前派については、第19回で詳述したので、参照して下さい。

ダンテ・ガブリエル・ロセッティは、自分と同じ名前のイタリア最大の詩人、 ダンテ・アリギエーリに強い関心を持っていたようで、ダンテ・アリギエーリと ダンテ・アリギエーリの夭折した恋人であり、彼の書いた有名な神曲にも登場する、 ベアトリーチェが、頻繁にロセッティの絵の題材になっています。

この「ベアトリーチェの死んだ日のダンテの夢」は、 ロンドンのテート・ブリテンで水彩画、 リヴァプールのウォーカー・アート・ギャラリーで油彩画の、 ほぼ同じ構図の絵を観ました。

色彩は微妙に違っていましたが。