美術館訪問記-181 ケルヴィングローブ美術館・博物館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ケルヴィングローブ美術館・博物館正面

添付2:ケルヴィングローブ美術館・博物館内部

添付3:ラッファエリーノ・デル・ガルボ作
「聖母子と洗礼者ヨハネと天使達」

添付5:サミュエル・ペプロー作
「バラ」

添付6:グラスゴー・ボーイズ展、ジェームズ・ガスリー作
「新しい餌場へ」
アバディーン美術館蔵

グラスゴーに来たなら、見逃せない場所があります。

ハンタリアン美術館から歩いて10分とかからない 「ケルヴィングローブ美術館・博物館」

ケルヴィングローブ公園にあり、1902年建設のヴィクトリア様式で、 グラスゴーで最も美しいといわれる建物です。

所蔵作品の質、量、入場者数ともイギリスでは大英博物館に次ぐといいます。

確かに規模は大きく、左右対称の3階建てのビルからなり、 内部は3階まで吹き抜けの大空間がこれも左右対称にあります。 展示スペースはそれらの吹き抜けを取り囲むように造られています。

絵画は正面向かって左側の3階に集中。2階にも博物館と混在して絵画があります。

ベッリーニ、ボッティチェッリ、ティツィアーノ、ガロファロ、ボルドン、ドルチ、 アッローリ、グアルディ等のイタリアのオールド・マスターが揃っています。

中でもラッファエリーノ・デル・ガルボのトンドが素晴らしい。

この絵は8年前に来た時にはフィリッピーノ・リッピ作となっていましたが、 ガルボはリッピの弟子で、確かに紛らわしいほどよく似ています。

このように研究の結果、作者名が変わるということは時々見かけます。

一番多いのは、どうも怪しいと思った作品が、次に行くと、 コピーとか模倣者の作品とされていることです。

フランドルの画家や印象派の画家も多く、楽しみながら観て廻っていると、 スコットランドのカラーリスト達が2階に特別に1部屋あてがわれていました。

フランスで修業して印象派や後期印象派、フォーヴィスムの画家達に学び、 明るく鮮明な色彩を多用した画家達の事で、ウィリアム・マクタガート、 ジョン・ファーガソン、フランシス・カデル、サミュエル・ペプロー、 レスリー・ハンター等がその代表です。

心に響く絵が多い。

前回触れたグラスゴー生まれのチャールズ・マッキントッシュにも 1部屋割かれていました。

19世紀末は、グラスゴーの画家達が世界的に高く評価されており、 欧米で何度も特別展が開かれたということで、 彼等は「グラスゴー・ボーイズ」と呼ばれていました。

2010年に訪れた時は「グラスゴー・ボーイズ」という企画展が開かれており、 広い会場に100点余り並んでいましたが、その評価がさもありなんと思えるほど、 観れば観るほど好きになる、詩情漂う絵が、これでもかというように並んでいます。

イギリスの公立美術館はどこも入場無料なのですが、企画展だけは有料の事が多い。

ここもそうでしたが、大変な盛況で人が溢れている。

グラスゴーの人達も地元のボーイズを愛しているのでしょう。 ブックショップでもこの企画展のカタログ本は売り切れていました。

(添付4:ジョン・ファーガソン作「ピンクのパラソル」は著作権上の理由により割愛しました。
 長野さんから直接メール配信を希望される方は、トップページ右上の「メール配信登録」をご利用下さい。 管理人)

美術館訪問記 No.182 はこちら

戻る