美術館訪問記-175 ヴィクトリア国立美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ヴィクトリア国立美術館外観

添付2:メムリンク作
「聖母マリアに抱かれる悲しみの男」

添付4:ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作
「クレオパトラの宴会」

添付5:デューラー作
「メランコリア」

添付6:バーン=ジョーンズ作
「運命の車輪」 

添付7:デュフィ作
「ドゥーヴィルでのレガッタ」

添付8:ロベール・ドローネー作
「読書する裸婦」 

オーストラリアも1回しか採り上げていませんでした。

この国の最高の美術館はメルボルンにある「ヴィクトリア国立美術館」

1861年の開館でオーストラリアでは最古、かつ最大の美術館です。

メルボルンは人口417万人でシドニーの463万人に次ぐオーストラリア第2の都市。

何故首都キャンベラでもシドニーでもなくここに最良の美術館があるかというと、 1850年代にこの辺りでゴールド・ラッシュがあり、当時は世界でも上位に ランクされる富裕層が住んでいたからなのです。

彼等の収集した美術品の寄贈や委託された基金による購入で、 今では7万点を超える所蔵数を誇っています。

ここは1982年に、北米以外では最初に行った外国の美術館で、 その素晴らしさに、アジア・オセアニア圏にもこれだけの美術館があるのかと 驚嘆したものでした。

なにせアジア・オセアニアではここだけにしかない、メムリンク、バルテュスに 加え、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、グレコ、 ルーベンス、ダイク、レンブラント、ムリーリョ、ステーン、プッサン、ヴァトー、 ロラン、カナレット、ブーシェ、バトーニ等のオールド・マスターが勢揃い。

特にティエポロの「クレオパトラの宴会」に打たれました。

1981年に仕事で10週間ニューヨークに滞在する事があり、週末の暇潰しに覗いた メトロポリタン美術館で初めて絵画の魅力に気付いたのですが、 その時はコローやマネ、印象派や後期印象派が興味の対象で、沢山あった ティエポロやオールド・マスターにはほとんど目がいってなかった。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロは、1696年の生まれで イタリア・ルネサンス最後の画家と言われますが、彼の生きた時代を反映して ロココ風の優雅さと軽やかな飛翔感も覚えます。

この絵ではパオロ・ヴェロネーゼの再来とも言われた、華麗で装飾的な表現と 鮮やかな色彩に、目を奪われたのです。

デューラーのグラフィックも194点所有しています。

更にゲインズバラ、レイノルズ、ターナー、コンスタブル、ミレイ、ロムニー、 バーン=ジョーンズ等のイギリス勢は勿論、印象派、後期印象派、ナビ派、 ミレー、コロー、ドラクロア、クールベ、ルドン、マティス、ルオー、デュフィ、 ピカソ、ユトリロ、マグリット、ビュフェ等、枚挙にいとまがありません。

中ではロベール・ドローネーの「読書する裸婦」の鮮烈な色彩にドキリとしました。

ドローネーはエッフェル塔をキュビズム風に描いた絵や幾何学模様の抽象画でしか 知らなかったので、こんな装飾的な具象画も描いていた事が新発見でした。

ヴィクトリア国立美術館は最後に行ったのが2001年なので、 間に合っていないのですが、2002年にはアボリジニを含めたオーストラリア人の 美術2万点の内、常時800点を展示するイアン・ポッター・センターが新設され、 本体の方も2003年改修されモダンになったようです。

(添付3:バルテュス作「猫と裸婦」は著作権上の理由により割愛しました。
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