美術館訪問記-144 ルネ・マグリット博物館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ルネ・マグリット博物館外観

添付2:ルネ・マグリット博物館内部、1階

添付3:ルネ・マグリット博物館の庭

添付6:ベルギー旧500フラン紙幣表裏

ベルギー、ブリュッセル首都圏地域にジェッテという地区があり、ここに 「ルネ・マグリット博物館」があります。

ルネ・マグリット(1898-1967)が1930年から25年間住んだアパートの一角です。 リビングとアトリエは彼の住んでいた当時そのままに修復され、 1999年ミュージアムとして開館しました。

何の構えもないごく普通の住まいで、 道路脇に小さくMusee Rene Magritteの立て札がなければ、それとは気付きません。 扉も閉まっており、ブザーを鳴らすと暫くして若い女性が現われました。

1階は英語でガイドしてくれ、2階から上はフリーで見学。

1階にはマグリットの絵にも出て来るパイプや傘、ステッキ、置物等の備品が 当時のまま置いてあるので、その見張りも兼ねてということのようです。

彼女の説明によると、マグリットは若い頃パリに出たが売れずに1930年、 ブリュッセルに戻り、このアパートに住み、広告関連の仕事で凌いでいた。

マグリット夫妻はアパートの1階にしか住まず、 他の階は物置としてしか使用しなかった。

ここにある主な家具はマグリット自身のデザインによる特注品。

彼の絵に出て来る窓、階段、暖炉、街燈等は、 ここの1階や直ぐ前の街路を利用した。

庭の隅にアトリエがあるが、そこは大型の絵を描く時しか使わず、 普段は台所兼食堂を使って描いていた。

1950年以降、世に認められるようになり、 1954年発表の「光の帝国」が高値で売れ、邸宅を購入し、同年引っ越したという。

話してくれた女性は、勤め始めて半年ぐらいということだったのですが、 片言ながら日本語をかなり喋ります。 余程日本人訪問客が多いのでしょう。

マグリットはシュルレアリスムを代表する画家ですが、 同じシュルレアリストのダリのような奇行や演出はせず、 小市民的な暮らしをしていたようで、簡素で充実した生活を物語る住まいでした。

リビングルームだった所には、幼なじみだった妻のジョルジェット・ベルジェを モデルにして描いた「オリンピア」がかかっています。

2009年9月24日二人組の強盗が開館直後に侵入し、 一人が銃で脅して従業員達を床に横たわらせている間に もう一人がこの「オリンピア」を盗み出し、二人で逃走。

ところが、2012年1月6日、この絵は返還されたといいます。 あまりに有名過ぎて売却できず、7万5千ユーロで返却に応じたとか。 盗難時は時価300万ユーロとみられていました。

絵は無傷だったということです。

ブリュッセル市内の中心部にあるベルギー王立美術館の隣に、 マグリット美術館が2009年開館しました。

こちらはネオ・クラシック様式の4階建ての立派な建物で、ベルギー王立美術館と マグリット財団の収集した200点に上るマグリットの作品を展示しています。

マグリットはユーロに切り替わる前の500フラン紙幣を飾ったりもしているのです。

(*添付4:ルネ・マグリット作「光の帝国」および 添付5:ルネ・マグリット作「オリンピア」は著作権上の理由により割愛しました。
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