美術館訪問記-138 メディチ家礼拝堂

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:メディチ家礼拝堂外観

添付2:君主の礼拝堂

添付3:シルヴィオ・コッシーニ作
「英雄に捧げた戦利品」

添付4:メディチ家礼拝堂新聖具室

添付5:ヌムール公ジュリアーノ・メディチの埋葬記念碑、昼(右)と夜(左)

添付6:ウルビーノ公ロレンツォ・ディ・メディチの埋葬記念碑、曙(右)と黄昏(左)

添付7:ミケランジェロ作
「聖母子像」

イタリア、フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂のファサードの反対側に 「メディチ家礼拝堂」があります。

ここは現在、メディチ家礼拝堂美術館として独立しており、 入場料も別に払って入る必要があります。

しかし、この美術館内のよく知られたミケランジェロの彫刻がある新聖具室は、 実際はサン・ロレンツォ聖堂の一部なのに、 聖堂からは入れないという構造になっています。

このメディチ家礼拝堂は17世紀になって メディチ家の勢いにも陰りが見え始めた頃、 トスカーナ大公であるメディチ家の墓所として建造開始され、 メディチ家最後の継承者となったアンナ・マリア・ルイーザ(1743年没)まで 資金繰りに苦しみながらも建設が続けられましたが、完成には至らなかった。

入場して直ぐの1階には多くの墓碑があり、 聖遺物を納める工芸品が展示されています。

2階に上がると、高さ30m以上はあろうかという高い天井の だだっ広いメディチ家君主の礼拝堂があります。

床は装飾の施された大理石、壁面も種々の貴石や大理石で飾られています。

天井は8角に象られ、その下に長方台形の絵が8面飾られています。

その下は8面の窓。個人が中世に建てたものとしては、 桁外れの富をみせつける物と言えましょう。

階段を上がると新聖具室に通じる廊下があり、ミケランジェロと共に働いた シルヴィオ・コッシーニによる大理石の彫刻「英雄に捧げた戦利品」が2体あります。

これが不思議な彫刻で、腹部に当たる所に他の身体の首が重なっており、 その首の穴から映画のエイリアンに出てきたような、 おどろおどろしい異星人のような怪物の首が覗いている。

あるいはエイリアンの製作者はこの像にヒントを得たのかもしれません。

新聖具室には有名なミケランジェロの彫刻が側壁に3体、 2つの石棺の上に2体ずつで4体、計7体あります。

石棺の上の、組になった「昼と夜」、「曙と黄昏」の内、昼と黄昏は男性像で未完成。 夜と曙は女性像で完成している。

何故昼と黄昏は男性で夜と曙は女性なのかと不思議に思ったのですが、 イタリア語を齧った時に判明しました。

イタリア語の昼と黄昏は男性名詞で夜と曙は女性名詞なのでした。

また石棺の上にある記念碑が何故ロレンツォ豪華王やコジモ、 教皇になったレオ10世等の有名処ではないのかと疑問に思ったのですが、 メディチから出た時の教皇クレメンス7世がヌムール公とウルビーノ公になった メディチ家の若者に肩入れして、気の乗らぬミケランジェロに強いてのことでした。

残る1体は別の彫刻家の作品2体に挟まれて置かれた「聖母子像」。 ミケランジェロらしく、幼子キリストもたくましく筋肉質ですね。

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