美術館訪問記-133 ヴァザーリの家

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ヴァザーリの家

添付2:ヴァザーリの家の一室

添付3:ヴァザーリの家天井画

添付4:ヴァザーリ作
「自画像」
ウフィツィ美術館蔵

添付5:ヴァザーリ作
「ゲッセマネの祈り」
国立西洋美術館蔵

イタリア、フィレンツェから電車で30分ほど南へ行くと アレッツォという町があります。

古くから栄えた都市で現在も人口95000人足らずのちょっとした街です。

ここに「ヴァザーリの家」があります。

ジョルジョ・ヴァザーリはルカ・シニョレッリの甥で1511年アレッツォ生まれ。

フィレンツェに出てアンドレア・デル・サルトの下で絵画修業をした後 ローマに行きラファエロの絵を学び、ミケランジェロに教えを受けたりしています。 彼に倣ったマニエリスムの手法で当時は名声を得ていました。

また建築家でもあり、現在、ウフィツィ美術館になっている 当時のフィレンツェ市役所、ウフィツィ宮殿を設計したりもしました。

メディチ家の依頼で、メディチ家のあったピッティ宮殿からウフィツィ宮殿まで 市民と顔を合わせずにすむよう、道路を通らずに行ける、全長1kmにも及ぶ ヴァザーリの回廊を造ったりもしています。

彼はまたイタリア史上初の美術史家でもあり、いわゆる「芸術家列伝」、 正式名称は「画家・彫刻家・建築家列伝」の著者として有名です。

この本は1550年に出版され、チマブーエからミケランジェロまで 133人の芸術家を採り上げており、ルネサンス研究の第一級資料となっています。

1568年には第一版で欠けていたヴェネツィア派の画家達を含む 30人を追加した第二版を出版しました。

ヴァザーリの家は、そのヴァザーリがフィレンツェに引っ越す1554年まで 住んでいた所で、ヴァザーリ自身が内装も手掛けた、 トスカーナ州の典型的なマニエリスム様式の邸宅です。

入口左のインターホンを鳴らして、扉を開けてもらい、 ヴァザーリの設計になる階段を上がって2階の受付で入場料を払います。

家は3階建てで2階が展示室になっています。

ヴァザーリの描いた天井画が各部屋にあり、彼のタブローも2点ありました。

ヴァザーリの書斎だった部屋の天井画にはヴァザーリが生涯手がけた仕事である 絵画、建築、彫刻、文学を表す絵が描かれ、 壁には自分の自画像と師のミケランジェロの肖像画もあります。

その隣の奥さんの部屋の天井画の中心部分には芸術の神アポロが描かれ、 その周りを、奥さんに似せて描いたという女性達が取り囲んでいます。

他にもアレッサンドロ・アッローリやサンティ・ディ・ティト、 弟子のポッピやヤーコポ・ズッキの作品も展示されていました。

美術館訪問記 No.134 はこちら

戻る