佐藤哲男博士のメディカルトーク

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151.人工知能AIは人の脳を超えるか

2026年2月に、小文『70代は人生の黄金期~95歳が実践した「健康貯蓄」と「枯れない脳」~』を仕上げるに当たって、AIに精通し「メディカルトーク」に毎月挿絵を提供して下さっている赤川均さんに、最終稿の編集上の誤りの有無をAIの一つであるチャットGPTで確認してもらいました。その結果、人では恐らく数時間かかるところを数秒で下記の返事が返ってきました。その内容は、句読点の欠落、誤字、脱字、など誤りや修正した方が良いと思われる表現など全て指摘されました。「メディカルトーク」の読者の皆様の中には、AIに精通している方が多いと思いますが、AIの知識に疎い私にとっては驚異でした。

AIの指摘事項の中で主なものを列記します。

上記のAIのコメントの中で、最も驚いたのは“結論”です。これはどう見ても人間の言葉です。しかし、今回の全てのコメントはAIが機械的に作成したものです。AIの言語能力は人間の言語を全て理解しているに違いないと思うほど私にとっては大きな驚きでした。

AIの言語能力は無限だ

AIは、人間がもっている知能(学習、推論、判断、自然言語処理など)をコンピュータを用いて模倣する技術で、膨大なデータから一定のルールやパターンに従って学習する「機械学習」です。これは人間の神経回路を模倣した神経ネットワークを用いています。これにより、人間の能力では到底無理なこと、長時間かかることなど複雑なパターンや判断を機械的に瞬時に行うことができます。AIを開発したアメリカのオープンAI社によると、2025年2月20日の時点でその利用者が世界で4億人を突破しました。2024年12月時点では3億人でしたので、約3カ月で30%以上増えました。AIは人間の脳が考えていること、疑問点などを解決する能力があります。具体的には「人の言葉を理解する」「画像・映像を認識する」「大量のデータをもとに予測を立てる」などが可能です。しかし、人間の脳はわずかのエネルギーで高度な思考を行うことができますが、AIが学習や推論するためにはその数千倍、数万倍の電力が必要です。最近では、AI専用SNSとしてAI同士でお互いに情報を提供し合うMoltbook社が新しい事業を展開しました。

この様な便利なAIは多くの分野で使われています。次にいくつかの例を挙げます。

1. 小学生はAIに精通してる
最近の小学生はほとんど全員がスマホを持っておりゲームに夢中です。それと同様に、AIについてもなんの苦労もなく習得しています。AIは急速に一般家庭へ広がり、子供たちの学習や生活にも身近な存在となっています。宿題や自由研究のアイデアを考えたり、これまで親に相談して解決していたことを、AIを使って理解する時代になりました。
ベネッセコーポレーション(略称ベネッセ)(本社、岡山)が2025年に「AIの利用に関する意識調査」を全国の小学3〜6年生とその保護者1032組を対象に調査を実施しました。その結果、AIに関して知っている、聞いたことがあるなどの認知度は74.7%に達し、2023年からおよそ26ポイント上昇したことが明らかになりました。このように、小学生の間ではAI利用は急速に広がりつつあります。しかし、家庭内では、子供がAIを利用することによる弊害や利点について意識が分かれています。これまでは宿題など知りたいことは親に聞いていたのが、AIに聞くようになり、親子の関係がギクシャクするケースが多くなっています。

2. 大学生のリポートはAIが作成
東京都内の私立中高一貫校の英語科教諭が中1の生徒に英語で日記を書く宿題を出したところ、現在完了形などそれまで教えていない英文法が使われ、ミスもない「素晴らしい英文」の日記が、複数の生徒から提出されました。一方、大学生が研究課題に関するリポートを提出する場合、AIに丸投げする学生が少なくないそうです。その理由は、自分で考える必要がなく、その上不必要な時間を取られたくない、素晴らしい内容のリポートが出来上がることなどを挙げています。その上、逆に不完全なリポートを出したら単位を落とすかもしれないという懸念があります。

3. AIは東大の理科三類、文科一類の入試問題の合格基準を超えた。
AIベンチャーのライフプロンプト(東京)によると、AIに2025年実施の東大の入学試験問題を解かせたところ、理科三類(医学部志望者)の受験生の合格水準に達しました。特に数学については、AIは合格最低点を上回るスコアで難関の2次試験をクリアしています。また、 東大の文系で国内最難関とされる、文科一類(文系一類)は、主に法学部への進学を目指す日本の文系の最高峰の教育・研究組織です。偏差値は70超と極めて高く、入試難易度、人気ともに日本トップレベルです。文一の受験生の多くが選択する科目に絞っても、AIの得点率は97%で最高水準でした。ちなみに、河合塾によれば、合格する最低の得点率は89%で、AIはこれを大きく上回りました。

4. 大学入試共通テスト
2026年(令和8年)1月17、18日実施の大学入試共通テストについて、AIが出した解答は9科目で満点だったことが20日にAIベンチャーであるライフプロンプト(東京)の分析でわかりました。解答した15科目の得点率は97%で、中でも満点科目が出たのは初めてとのことです。

おわりに

AIの歴史を辿ると、AIは1950年代に誕生しました。その後、AIブームは2000年頃から現在まで続いています。とりわけ2010年以降はAIが自らインターネットの中の膨大な情報を学習・推論する「ディープラーニング」が可能となりました。この技術により、AIは、2012年にはプロの将棋士に、2016年にはプロの囲碁棋士に勝利しました。現在、AIは、医療・交通・物流・災害対策など、多岐にわたり社会全体を支えています。パソコンやスマホ、インターネットの普及もあり、日常生活の中に浸透しています。最近では、生命科学の分野でもAIに言葉を大量学習させる「大規模言語モデル」の応用が始まりました。

今後、AIは私たちの生活にとってますます重要なものとなることは間違いありません。AI研究者によると、「AIは世界で一番本を読んでいる人」と表現しています。最近の情報によると、医学界ではAIは人間の脳の働きや遺伝情報の読み取りまで入り込んでいます。 今後、AIが人間の生活を独占し、人間がAIに頼り過ぎて「考える」行為をしなくなるとき、脳の働きが徐々に衰えて老化してしまうのではないかと懸念しています。

2026年3月1日



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