スペイン、マラガのピカソの生家から300mもない場所に「ピカソ美術館」があります。
実はピカソ美術館は世界中に何箇所もあるのですが、ここは2003年10月の開館。 開館式にはスペイン国王夫妻も出席したとか。
最新でもあり、観客動員数は、数あるピカソ美術館の中でも最多を誇るようです。 実際、私達が訪れた2004年7月は、何処よりも混んでいました。
美術館に改装された建物は16世紀のブエナビスタ伯爵の邸宅を核とし、 周囲の建物も併合して、イタリア・ルネサンス様式とイスラム様式を融合させた 建物の魅力を損なうことなく、モダンな美術館空間が広がっています。
ピカソの長男パウロの未亡人クリスティーヌとその息子のベルナルドが寄贈した 155作品と130点近い長期貸与作品が展示されています。 油彩、素描、プリント、彫刻、オブジェ、焼き物と ピカソの多彩な才能を物語る展示になっています。
殆どが未公開作品だったということで、初見のものばかりでしたが、最初の妻、 オルガと知り合った時に描いた「マンティラを着けたオルガ・クコローヴァ」は、 「私と判らない様な絵はいや」というオルガの要望どおり、古典的具象作品で、 それと知らねばとてもピカソの作品とは見えません。
幼時から父親からクラシックの絵画技術を叩き込まれた ピカソの腕の確かさを誇示するもので、印象に残りました。
オルガとの間に生まれた長男パウロの肖像画もありました。 これもピカソのデッサンの力を強く語りかけてきます。
中庭や、屋上からのマラガの街並みの眺めも素晴しく、 写真を撮っておきたかったのですが、 入口でカメラは強制的に預けさせられてしまいました。 こんなところは他にはローマにあるボルゲーゼ美術館ぐらいしか記憶にありません。
地下には古代住居の一部と出土品の展示もありました。 かつてスペインを征服したことのあるカルタゴ人、ローマ人、アラブ人、ムーア人、 カトリック教徒達、それぞれによって創られた壁と 紀元前6世紀から15世紀までの彼等の所有物が展示されています。
(*ピカソ作「マンティラを着けたオルガ・クコローヴァ」像、「パウロの肖像」、「骸骨と3つのウニのある静物」は著作権上の理由により割愛しました。管理人)