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美術館訪問記 – 514 新宮殿、Bamberg

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:新宮殿外観 写真:Creative Commons

添付2:新宮殿入口の看板

添付3:新宮殿内の広間

添付4:新宮殿天井画

添付5:クラーナハ作
「クリスティアン・フォン・オイレナウの肖像」

添付6:グリーン作
「大洪水」

添付7:カナレット作
「ドゥカーレ宮殿とサン・マルコ広場」

添付8:バラ園

ドイツ、バンベルクはフランクフルトの東160㎞、ミュンヘンの北200㎞にある古都で、戦禍を免れ、ドイツでも最もすばらしく無傷に保存された中世の佇まいを残す街は、1993年にユネスコの世界遺産に登録されています。

この街の旧市街の中心にあるのが「新宮殿」。

領主司教の命で1602年に現在の西の翼廊2つが旧宮殿に向き合う形で造られ、司教兼君主のローター・フランツ フォン・シェーンボルンの命で1697年から1703年にかけて東側に長い2つの翼廊が増築されています。

西側の2翼廊はルネサンス様式、東側の2翼廊はバロック様式となっています。

入口に独英仏伊西日の6か国語で歓迎の言葉が書いてありました。ドイツで日本語を目にするのは大都会以外では珍しい。

ここはガイド付きでなければ入れませんが、少し前にスタートしていた10人程のグループに途中から入れてもらいました。

内部は応接室や皇帝の寝室、大広間などがあり、煌びやかで豪華な造りです。

中でも大広間は豪華なシャンデリアや壁や天井の絵、繊細な彫刻など、どれをとっても壮麗で見ているだけで当時の舞踏会の風景が蘇ってくるようです。天井は高くないため、だまし絵の手法で描かれ、実際よりも高く感じます。

ドイツ語での解説ですが、場面毎に終わりに少し英語で説明してくれました。

各部屋には大した絵はなく、しかも部屋毎にドイツ語で長々と説明が入るのを耐えて待っていると、最後の絵画室は既に他のメンバーは鑑賞済みということで、こちらだけでゆっくり鑑賞出来ました。若い女性監視員が心配そうに付いて来てはいましたが。

私はどこに行っても宮殿の内装や家具には全くと言ってよいほど興味はないので絵画室を独り占めして目当ての絵画を心行くまで鑑賞できたのはありがたかった。

クラーナハの作品が5点ありました。彼の生まれ故郷で彼の名前の元になったクローナハの町はバンベルクの北東東50㎞の所にある事も関係しているでしょう。

添付の「クリスティアン・フォン・オイレナウの肖像」はややコケティッシュにも見える貴婦人の肖像ですが、数多いクラーナハの肖像画中、背景が真紅というのはこの絵だけでしょう。

グリーンの「大洪水」もノアの箱舟を中心に置き、神の懲罰による大洪水になすすべもない人々を描いたものですが、グリーンらしい野生的で幻想的な力強さがあります。

グリーンはアルブレヒト・デューラーの最も優れた弟子で、本名ハンス・バルドゥング。

デューラーの工房には3人のハンスがいたため、区別するためにバルドゥングが好んで使った色、グリーンと呼ばれ、それが通称になりました。

他にもドイツ人画家の作品が並ぶ中で、イタリア人の風景画家、カナレットがヴェネツィア風景を描いた作品が9点もありました。

宮殿の裏庭には1705年に造園されたバラ園があり、丁度満開で、何十種類ものバラが咲き誇っていました。また、このバラ園からの見晴らしは最高で、ここから見る聖ミヒャエル教会と世界遺産のバンベルクの街並みは素晴らしい。