美術館訪問記-177 ウーディネ市立博物館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:ウーディネ城正面

添付2:ウーディネ城裏面、市立博物館入口

添付3:ティエポロ作
「守護天使」」

添付4:ティエポロ作
「不屈の精神と智恵」

添付5:カルパッチョ作
「キリストと彼の受難の道具」

添付6:カラヴァッジョ作
「聖痕を受ける聖フランチェスコ」
ハートフォード、ワズワース・アテネウム美術館蔵

添付7:市立博物館のテラスから見たウーディネの街

前回の大司教館で最後に受付に寄り、置いてあった英語本を買うと、 「ティエポロが好きなら、近くの市立博物館にあるから、寄るといいですよ。 3分も歩けば着くから。」と受付の老人が早口のイタリア語で言います。

(第40回でも書きましたが、これは9年前の話しで、 1年間イタリア語会話に通った直後の事です。 今ではスッカリ忘れてしまいました。誤解なきよう。)

言われた方向に歩いたのですが、それらしい建物は見当たらず、 慣れないイタリア語を聞き間違えたかと訝りながら、 5分ほど坂道を登ると、広い公園に出て、城と銘打った建物が建っています。

町一番の高台で、城を除いて270度見晴らしが効きます。

見渡してみたのですが、博物館らしい建物は見当たらない。

そこにいた若者の一群に尋ねてみると、ある者は、知らないと言い、 ある者は、下に降りた広場のどこかにある筈と言う。 誰もしかとは知らない様子。

ひょっとしたらと、城の扉を揺すってみましたが、固く閉まっています。

しかたがないので、下りつつ城の後ろに回ってみると、ビンゴ! そこが 「ウーディネ市立博物館」の入口になっていました。

内部は2階が古典美術館、3階が考古学博物館に別れています。

博物館と言う名前に騙されて、 事前の調べでは、絵画がある場所と認識していなかったのです。

古典美術館には確かにティエポロの表示のある作品が、4点ありました。 ティエポロらしい、透明感溢れる軽やかな色彩と、優美な画風。

これらに出会えただけでもあの老人に感謝しなければなりません。

この美術館は13室もあり、ティエポロ以外にも ルカ・ジョルダーノやリッチ、ピアッツェッタ、 ミケーレ・ディ・リドルフォ・デル・ギルランダイオ等がありました。

特にカルパッチョの「キリストと彼の受難の道具」は今までに見た事のない構図で、 写真では判らないかもしれませんが、 右後ろの遠景はこのウーディネの城を描いたもののようで、 比較的新しく見えるこの城が、500年近く前に既にあった事に驚かされました。

カラヴァッジョの「聖痕を受ける聖フランチェスコ」にも、 彼の作品が人知れず埋もれていたのかと驚かされましたが、よく見ると、 アメリカ、ハートフォードのワズワース美術館にある、同名の作品と全く同じで、 展示はカラヴァッジョ作とされていましたが、 後で買ったカタログ本には、コピーか、と疑問符がついていました。

この美術館のテラスから見るウーディネの町の景色も秀逸でした。

直ぐ下に見えるのは、屋根つきのサン・ジョヴァンニの柱廊で、 帰りにここを通って、 街の中心のリベルタ広場に降りて行く道も心楽しいものでした。

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