1頁へ
2頁

カテーテルアブレーション体験記

入院医療費

入院医療請求書によると診療費は合計849,315円で、保険の高額医療費控除が適用され、自己負担分は131,021円であった。(健保3割負担)

退院後

手術から10日経過した時点で、不整脈の自覚症状は術後全くなく、明らかに変わったと感じた。

排尿時の痛みも少しづつなくなって普通に排尿できるようになった。

足の付け根と腹との境目のくびれたところ(鼠径部)から、カテーテルを挿入したため、膝の方向に15センチ、上の恥骨の右半分あたりまで内出血して紫色になっていたが、いづれ無くなるとのこと。 またカテーテルを挿入した傷口の皮膚の下に1センチほどのしこりがあってこちらも数週間で吸収され無くなるという。

術後3ヶ月以内では、焼灼した部分の炎症により不整脈が起こることが比較的多いらしいが、再発とは別ものという。

手術後1ヶ月

手術から約1ヶ月後の通院。心電図検査後 手術担当医師の診察があった。心電図は正常。

手術前の5月20日から血液を凝固しにくくする薬(抗凝固薬:プラザキサカプセル110mg)と胃酸分泌を抑制する薬(ネキシウムカプセル20mg)を服用している。
 だいぶ前のことだが義母(妻の母)が軽い脳梗塞になった時、抗凝固薬としてワーファリンというのを投与されて、納豆を食べてはいけないといわれたことがあった。プラザキサはあたらしい薬で食事の制限は無いようだ。(公益社団法人 日本脳卒中協会)
 病気の治療薬の副作用で胃の調子が悪くなることがありネキシウムカプセル20mgも副作用を抑える薬と思っていたが、心臓を焼灼した際に直近にある食道に影響を与えることがありその為の薬とのこと。

いつ頃に今回の手術結果が最終的に判断出来るかというこの日聞きたかったもう一つの質問については、1年後とのこと。約半年後の次回11月25日にホルター心電図計(24時間心電図計)を装着する。

循環器内科で退院するときに予約してくれた泌尿器科外来の診察では、前立腺の超音波検査の結果、年相応の肥大がみられるが排尿に特別問題なければこのままとのこと。他に問題はなかった。

診断書と手術名

診断書
手術から約1ヶ月後の通院日に、長年入っている医療保険の給付金請求のため保険会社指定の診断書を、文書窓口で依頼したところ、料金が10,800円とのこと。何件か他の大学病院など調べたところ大体5、6千円であった。参考:日本大学病院 保険会社指定診断書5,400円。 

傷病名と手術名
 一週間ほどで出来上がった診断書によると傷病名は発作性心房細動、診療報酬点数区分の手術名は「経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの)」と書かれていた。

(イラスト:厚労省医療機器審査管理課審査資料)

心房中隔穿刺(せんし)とは、足の付け根から挿入したカテーテルは右心房へは容易に到達するが、治療目標である肺静脈は左心房についているので右心房から心房中隔に穴をあけてカテーテルを通す方法 (ブロッケンブロー法 (*))。心外膜アプローチは心外膜側起源の心室性不整脈に対して心室筋の外側からアプローチし焼灼する方法。

右心房と左心房の間の壁に針で穴をあけるとあったので、診療明細書を探すとRF Needleスタンダードカーブ(心房中隔1個)というのがあったのでこれだなと思った。RFとは Radio Frequencyのことで、医療分野では電気メスなどとして広く利用されている。

心臓に穴をあけてその後どうなるかと思うが、自然にふさがるという。

(*) Edwin C Brockenbrough 米国 心臓胸部外科医 1930年生まれ ジョンズ・ホプキンス大卒

心拍数とメインテート錠

毎年6月の誕生月に町田市の多摩丘陵病院で人間ドックを受けているが、今年は6月12日に手術をしたので、8月8日にドックを受けた。検査結果が8月末に郵送されてきたので心拍数に注目した。

人間ドック検査成績票
検査日心拍数判定
2015年 6月19日59正常範囲
2016年 6月13日49洞性徐脈
2017年 6月20日45洞性徐脈
2018年 6月12日45正常範囲(*)
2019年 8月 8日65正常範囲

 (*)日本人間ドック学会の心拍数基準値(異常なし)が大夫前から45~85になっているが、この病院では2018年から採用した。 (日本人間ドック学会判定区分 2012年4月1日改定 )

若いころから健康診断で心拍数が低く洞性徐脈と診断されたことがあり、スポーツ選手に多く見られる「スポーツ心臓」と言われていた。

手術後に心拍数が増えている。

心電図から心拍数を測るには、RR間隔のマス目を数える方法がある。

心電図の5mmのマス目は0.2秒にしているので、1分間に換算するには、300をRR間隔にある5mmのマス目の数で除する方法と、5mmのマス目を更に5等分した1mmのマス目0.04秒のRR間隔にある数で1,500を除する方法がある。

例えば、RR間隔が、5mmのマス目ピッタリ5個分の場合の心拍数は、300÷5=60、1mmのマス目は5倍なので1500÷25=60となる。

①2019/03/25(手術前)

北里大学病院で初診の3月25日に計測した心電図検査の心拍数 1500÷29=51.7(*2つ目のRR間隔の場合)

②2019/07/09(手術後約1ヶ月)

手術後約1ヶ月の通院日、心拍数 1500÷22=68。手術後に心拍数が増えている。

自宅でオムロンの血圧計を使って血圧を時々測っており、同時に脈拍数も出るのでカテーテルアブレーション手術後に脈拍数が増えているのは分かっていた。

術後は洞結節が刺激されて心拍数が増えることがあり一時的というが、3ヶ月後の9月11日の自宅の血圧計で脈拍は62であった。

2017年5月13日から手術の直前までメインテート錠0.625mgを服用していたが、副作用として徐脈とある。次の検診で聞いてみようと思う。

9月21日、多摩丘陵病院の3ヶ月定期検診の日に、心拍数が増えていることについて医師に聞いたところ、やはりメインテート錠を止めたためとのこと。

手術直後から3ヶ月間服用していたプラザキサカプセル110mg(血液を凝固しにくくする薬・抗凝固薬)とネキシウムカプセル20mg(胃酸分泌を抑制する薬)は数日前に服用を終了していて、その後はLDLコレステロールを低下させるリバロ錠2mgのみとなった。

抗凝固薬のプラザキサはやめると、当然血栓のリスクは増えるらしいが、出来るだけ薬は飲みたくないと思う。

左心耳閉鎖術

左心房を後ろからみたCT画像

手術の前に撮られた自分の左心房のCT画像で、左上部の見えにくいところにあったものが左心耳(さしんじ)といい、心房細動と関係があるという。

右側にも右心耳というものがあり、耳たぶに似た形状から耳というらしい。

左心耳は英語ではLeft Atrial Appendage(LAA)という。Appendageという単語はコンピュータ技術でも付属物や追加されたものとしてよく使われる。

(画像:Dignity Health)

心房細動でできる血栓のかなりの割合が左心耳で形成されることが分かっているため、これまでも心臓の外科手術のついでに切除することもあった。

外科的に胸を開かなくても、カテーテルや内視鏡の医療技術が進歩するにつれて、左心耳自体を閉鎖して血栓の飛散を防ぐ左心耳閉鎖術(Left Atrial Appendage Occlusion:LAAO)という治療方法が最近行われるようになった。

カテーテルで左心房の内部から閉鎖する方法では、左心耳を器具でふたをする。外れたりしないのかと思ったがこの器具は自然に組織に覆われる(内皮化)という。

手術後6ヶ月

術後6ヶ月の心電図(12誘導)

11月25日、26日にホルター心電図検査(24時間心電図)があり、12月3日に心電図(12誘導)検査と手術担当医師の診察があった。

ホルター心電図検査報告書には、正常なリズムの状態とされる洞調律にマークされており、心電図(12誘導)のV3の波形が規則正しい間隔であり、どちらも全く問題ないとのこと。

後でホルター心電図検査報告書を詳しく見ると、上室性期外収縮が119発/日、心室性期外収縮28発/日とあったが、総心拍数85,541拍/日からすれば十分許容範囲らしい。

この後は手術後1年となる2020年6月に最終検査の予定。

心拍数が40台の徐脈から60台の正常値となったことについて聴いたところ、「それは好ましいこと」とのこと。

また、6月の手術後尿道から出血して大変苦痛だったことから、尿道カテーテルなしで手術を受けることは可能かとの質問については「それは難しい。手術が始まる前に挿入する必要があるので、終わったら外してオムツをつけることは可能」とのこと。 手術が終わって麻酔が効いている間に付けると思っていたが、手術前の点滴で注入した水分が適切に排出されているかを確認する必要があるらしいが、全く排出されないのならともかく本当に必要なのかと少しは疑問に思う。

この半年間、手術前のような自覚症状は無かった。それでも24時間心電図でなにか見つかる可能性もあるかと思っていたが、全く異常なしといわれ、気分良く帰宅した。

手術後12ヶ月の予約

手術後およそ6ヶ月の2019年12月3日のホルター心電図検査などの診察の後、次の検査は術後12ヶ月の2020年6月で、2ヶ月前の2020年4月になったら電話予約するようにとのこと。

2020年4月、4ヶ月前には思いもよらなかった新型コロナウィルス感染が国内でもあっというまに広がり、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出された。4月の初めに北里大学病院の電話予約センターに電話したが、全く繋がらない。携帯電話だと一押しするだけで掛けなおしが出来ることから日に20回も掛けたが話し中だった。代表電話には繋がったが「新型コロナウィルスのために予約変更が多く混んでいる」とのこと。こちらも特別自覚症状に変化もなく、とくに1日に2千人以上の患者が来るという大病院には近づきたくないと思い、しばらく様子を見ることにした。

国民一丸となった感染症対策意識の向上もあって、感染者数も大幅に減少してきた5月中旬、電話予約センターに電話したところ一発で繋がった。大夫まえから電話予約センターでも受付時間を延長したようだ。

7月中旬にホルター心電図、成人心臓超音波、心室遅延電位、血液などの検査を受け7月末に担当医師の診察を受けることになった。

手術後12ヶ月(+1ヶ月)の検査・診察

新型コロナウィルスの影響で予定より1ヶ月遅れの7月14日、15日にホルター心電図(24時間心電図)、成人心臓超音波、心室遅延電位、血液などの検査をし、2週間後の7月28日手術担当医の最終診断があった。

いずれも問題なしとのこと。ホルター心電図検査報告書には「洞調律」にマークが付いており、心房細動などは認められなかったとされる。術後6ヶ月と12ヶ月のいずれも心房細動などが認められなく、自覚症状もなかったことから、北里大学病院での治療は終わったとの診断であった。

現在LDLコレステロールを低下させるリバロ錠2mgを毎朝服用している。以前はLDLコレステロールが170ぐらいあった。

今回の血液検査の脂質関連数値
検査項目基準値測定値
中性脂肪40-149 mg/dl85
HDL-コレステロール40-90 mg/dl50
LDL-コレステロール65-139 mg/dl96

2018年後半にカテーテルアブレーションの話があっておよそ1年半で一区切りついた。術後1年の洞調律維持の割合は70%、5年後では60%というがこのまま再発しないことを願う。

最後に、生活上の留意点として、ネットに次のようなアドバイスがあったので肝に銘じておきたい。

    横須賀共済病院 循環器センター 高橋 淳 医師のアドバイス
     心房細動を現在持っている患者様、そして心房細動アブレーションを受けた患者様において、あまり生活制限はありませんが、いくつかの注意点があります。
  • 脱水を回避する生活を心がける
     脱水状態は血液が濃縮しているため、その状態で心房細動が発生した場合、脳梗塞になるリスクが増加するからです。
     脱水を引き起こす要因:サウナ、過度の飲酒、熱中症、競技スポーツ(通常のスポーツは良いのですが競技スポーツは脱水を回避できないため)等
  • 生活習慣病(高血圧、糖尿病、メタボ、脂質異常症等)を持っているなら 十分な治療をしておくこと
     生活習慣病は、動脈硬化を進める病気と言われますが、動脈硬化は老化のことだと認識してください。年をとって老化が進むのは仕方ありませんが、生活習慣病はさらに老化を進行させます。生活習慣病をしっかりと治療することは、老化の進行を遅らせることになり、心房細動の発生やアブレーション後の心房細動の発生を低くする可能性があることを忘れないでください。



累 計 今 日 昨 日