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2015/04/28

学生ハマる囲碁授業 21大学でプロが指導 思考力、洞察力育む

囲碁を学校で教えよう、と運動している人たちがいます。
大学生が囲碁に興味を持つ、という記事が朝日新聞デジタルにありましたので、紹介します。
多くの若い人が囲碁に興味を持ってもらいたいと囲碁ファンとしては願っています。

「朝日新聞DIGITAL」2015/04/23 記事より

小さな碁盤を使って隣り合った学生と初めて対局

まずは石取りゲームに挑戦。穂坂三段が学生たちの質問に答えた=いずれも20日、東京都小金井市

教育現場で注目を集める囲碁が、裾野をさらに広げている。初の開講から10年経ったプロ棋士による大学での囲碁授業は昨年度、20の大台に到達。この4月、新たに1大学が加わった。全国各地の小中学校などでも授業への採り入れが進む。

「これ、おもしろい!」「ここに打てるのかな」。20日、プロ棋士の穂坂繭三段から基本的なルールを学んだ大学生38人が、碁石と小さな碁盤で「石取りゲーム」を始めた。相手の石の縦横を囲んだら取れるというルールの一部を使ったゲーム。遊び感覚の練習に、教室内は活気にあふれた。

東京都小金井市の東京学芸大。同大が囲碁の授業を開くのは初めてだ。13日の第1回は伝統文化としての囲碁の側面や歴史を紹介。前期計15回の授業で、全員が正式なサイズの碁盤で対局ができるのを目標としている。この日の最後には小さな碁盤で実際の「陣取りゲーム」にも挑戦した。

日本棋院のプロが教える大学授業は2005年度の東京大が先駆け。5年後には早稲田大、慶応大などが続き、昨年度は一橋大、大阪大などが加わって20大学にのぼった。各大学は総じて、「論理的な思考力を育てたい」と期待する。複雑な盤上の変化を読む中で、相手がどうくるかを考える洞察力、その手に対応する柔軟性、さらには忍耐力、コミュニケーション力にもつながるといわれる。

初めて大学授業を担当する穂坂三段は、学生の理解の速さと積極的な反応に舌を巻いた。「次回以降の授業で教えようと思っていたレベルのことを、どんどん踏み込んで質問してくる。まったくの見当外れのところに打つことがなく、すでに囲碁の形になっている。さすが大学生です」。東京学芸大は卒業生の多くが教育現場に出る。学長補佐の小嶋茂稔准教授は「伝統文化に触れ、囲碁に対する理解と技術を身につけることによって、色々な引き出しを持った教師になってほしい」と語る。「名の通った多くの大学で実施されていることも後押しになった」とも話した。

 日本棋院はさらに複数の大学に働きかけており、後期課程を視野に、今年度は25大学での実施をめざす。

 ■小中高では37校、参加者は1・4倍に 日本棋院、PRや基金

日本棋院が今月まとめた集計によると、昨年度は全国37の小中高校で同棋院のプロらが指導する正課授業が開かれ、1万2千人以上が囲碁に親しんだ。参加者数は前年度の約1・4倍だという。

東京都中央区では、16ある区立小学校のうち9校でプロ棋士が教えた。同千代田区は、放課後などの非正課活動を含めると、区立の全8小学校に囲碁を学ぶ環境がある。昨年度は北海道岩見沢市、秋田県能代市の小学校でも実施、今年度は三重県熊野市の計4小中学校で新たに授業化される。

囲碁人口の減少に苦慮する同棋院は昨年、「学校囲碁推進室」を設置して若い層への普及態勢を強化。各地の教育委員会や校長会で囲碁の魅力をアピールしているという。担当者は「特に小学校からの引き合いが多く、波及効果は全国に及んでいる。有名大学で開講されているという実績も影響しているのではないか」と話す。同棋院は今月、教材の経費などにあてる目的の募金「がっこう囲碁普及基金」を始めた。(伊藤衆生)

 ■昨年度の学校囲碁授業
       実施数 参加者数
   大学  20  1048人
   高校   4  2621人
   中学校  5  1929人
   小学校 28  7768人
 ※日本棋院が棋士らを派遣した学校のみ


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