AI画像生成 : 「魔王」

2025/11/01

概要

メールグループの縁で熊本県生まれの藤本栄之助氏からシューベルト作の歌曲「魔王」の話題が提供された。藤本氏については以前にも当サイトで紹介させて頂いた。
参照 : 「冬の日のブーゲンビリア」挿絵画像生成 及川捷三作「慰霊」スライド

アルバータ峰(3,619m)

大正14年(1925年)スイスと日本のパーティが、カナダのジャスパー国立公園内にあるカナディアン・ロッキーの登頂難関な山とされていたアルバータ峰(3,619m)に初登頂してから今年で100年になり、これを記念したカナダでの式典で藤本氏がプロのソプラノ歌手に師事し1年半かけて練習した「魔王」をドイツ語で歌ったという。

なぜ「魔王」か、アルバータ初登頂の日本人6人のうち2人が親しかった板倉勝宣という日本登山の草分けといえる登山家がこの歌曲を好んで歌っていたことに由来するらしい。

板倉 勝宣(いたくら かつのぶ、1897年2月12日 - 1923年1月17日)は、東京出身の登山家。日本登山界草創期に活躍、山岳地におけるスキー利用の先駆者にもなったが、25歳で遭難死した。(wikipedia)


『魔王』作品1 D 328(まおう、独: Erlkönig)は、シューベルトがゲーテの同名の詩に触発されて、18歳の時に作曲した歌曲。(wikipedia)

内容: 嵐の夜中息子を抱き、馬を飛ばす父親。息子は、魔王がいるとしきりに父親に訴える。父親は魔王を視認できず、あれはただの霧だと息子を慰める。息子のうなされる声は次第に甲高くなり、魔王が甘い言葉で誘い出そうとする。息子は父親に魔王の声が聞こえると告げる。父親は、あれは枯れ葉の音だと息子をなだめるも、息子の容態の悪化を恐れ、馬を急がせる。やっとのことで宿にたどり着くが、息子はすでに父親の腕の中で息絶えていた。


先日、AIで日本画風画像生成を試みたこともあって、次は西洋画にトライしてみようと思っていた。

ほぼ同時代を生きたドイツ・ロマン主義の代表的芸術家たちを取り上げた。

名前国籍年代職業
フランツ・ペーター・シューベルトオーストリア1797~1828作曲家
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテドイツ1749~1832 詩人
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒドイツ 1774~1840画家

生成画像

画像 左 : カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ風

Scene 1:嵐の夜の疾走 / The Ride Through the Storm, "風と雨の中、父は息子を抱きしめながら夜の森を駆け抜ける。稲妻が空を裂き、馬の蹄が地を打つ。"

Scene 2:父の腕の中 / Father’s Embrace, "父の腕の中で息子は震え、父は冷たい風に向かって馬を走らせる。"  ♬ 旋律が穏やかになり、父の落ち着きが現れる。

Scene 3:初めての幻影 / The First Vision, "霧の中に浮かぶ人影。息子には魔王が見えたが、父にはただの霧の筋にしか見えない。"  ♬ 音調が一瞬変わり、不安が広がる。

Scene 4:魔王の誘惑 / The Temptation, "「おいで、かわいい子よ。花の咲く国へ行こう。」甘い声が霧の中から響く。"  ♬ 長調に転じ、魔王の柔らかい声が現れる。

Scene 5:父の否定 / The Father’s Denial, "「それは霧だ、風の音だ。」父は理性で息子を落ち着かせようとする。"  ♬ 短調と長調が交錯し、不安と理性の葛藤。

Scene 6:魔王の娘たち / The Daughters of the Erlking, "銀色の霧の中、魔王の娘たちが円舞する。美しくも不気味な光景。"  ♬ 夢のようなワルツ風の旋律。

Scene 7:絶叫と死の接近 / The Seizure, "「お父さん、魔王が僕をつかんだ!」叫びと共に嵐が最高潮に達する。" ♬ フォルテで嵐のクライマックス。

The climax of the storm. 嵐の頂点に達した瞬間。 The Erlking has seized the child in his pale hands, gripping the boy’s arm as he cries out in terror. 魔王は蒼白い手で子どもをつかみ、恐怖に叫ぶ少年の腕を強く握りしめている。 The father desperately rides through the torrential rain, lightning flashing across the sky. 父親は必死に豪雨の中を馬で駆け抜ける。稲妻が空を走る。 The Erlking’s spectral form clings to the child, half materialized from mist and shadow — 魔王の亡霊のような姿が子どもにまとわりつき、霧と影の中から半ば実体化している―― a vision both physical and supernatural. それは現実と超自然のはざまにある幻影。 Rendered in the German Romanticism style, inspired by Caspar David Friedrich カスパー・ダーヴィト・フリードリヒに着想を得たドイツ・ロマン主義風の表現で描かれている―― sublime terror, chiaroscuro contrast, lightning illuminating faces, 崇高な恐怖、明暗の対比、稲妻に照らされる顔、 oil on canvas texture, high emotional intensity, 16:9 aspect ratio. キャンバスに油彩の質感、強い感情の緊張感、16:9の画面比率。



Scene 8:沈黙の朝 / The Silent Dawn, "夜明け、父は家にたどり着くが、腕の中の子はすでに冷たくなっていた。"   ♬ 伴奏が止まり、静寂の終止。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作
「霧の海の上の旅人」(1818)

画風の提案で、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ調とした理由について。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ調で描く理由は、ゲーテの詩的世界・シューベルトの音楽的ドラマ・ドイツ・ロマン主義の精神を、 もっとも忠実に視覚的に再現できるからです。フリードリヒの静謐な自然の中に、「人間の恐怖・祈り・死と救い」がすべて内包されており、 それこそが《魔王》の本質と完全に響き合っています。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作品は、自然の風景、それも高みや遥か彼方を見据えるもの、廃墟になった僧院、墓地、古代の巨石墓、槲の木などがよくモチーフとして取り上げられる。無人の荒涼とした風景を題材とした、宗教的崇高さと静寂感に満ちた作品が多い。人が描かれるときは、その人も作品に描かれた風景を鑑賞者と共に見つめるため、背後からしか描かれないのが常である。例外的に幼児のみがこちらを向いて描かれる。また、『氷の海』のように、自然の冷酷さと死のイメージを重ね合わせた作品も多い。ドイツ留学の経験のある日本画の東山魁夷の作品には、フリードリヒからの影響が見られる。(wikipedia)

ゲーテの詩の解釈

ゲーテの詩の意味をChatGPTは次のように解説している。

象徴的な意味 ―「理性と感情」「現実と幻想」 ゲーテは啓蒙主義(理性の時代)とロマン主義(感情・自然の時代)のちょうど狭間に生きた詩人です。 この詩では、父=理性、子=感情や直観、魔王=死あるいは自然の不可知な力として対比されています。 登場人物 象徴 解釈例

理性・科学・啓蒙 現実的に説明しようとするが、真理の一部しか見ていない
息子感受性・魂・ロマン 現実の背後に潜むものを感じ取る存在
魔王死・自然・誘惑 美しくも恐ろしい、避けられない存在(死や無意識)
この構造は、 「人間は理性では理解できない力(死・自然・夢)に最終的には抗えない」 というテーマを象徴しています。

スライド

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ風としてGoogle Whiskにプロンプトし生成した画像を使い、動画編集アプリAviUtlにてスライド制作。




特定の画風を指定しなかったプロンプト

追記

AI(ChatGPT)の芸術作品の評価について、興味があり予想はできるが実際にChatGPTに質問してみた。

AIが絵画などのスタイル、例えばドイツ・ロマン派の画風に近いと判断する仕組みについて。

とても良い質問です。 AIが「この絵はドイツ・ロマン派の画風に近い」などと判断する仕組みは、二つの異なる経路を組み合わせて実現されています。 🧠 ① テキスト情報(論文・書籍・美術史資料など)からの学習 AIモデル(たとえばGPTやCLIP、Gemini、Stable Diffusionなど)は、学習段階で膨大なテキスト資料を読み込みます。 そこには以下のような内容が含まれます: 美術史の書籍や論文 展覧会カタログ、博物館の解説文 学術論文中の「ロマン派」「印象派」などの画風説明 芸術家名と作風・時代・主題の関係 これによりAIは、「ドイツ・ロマン派」=カスパー・ダヴィッド・フリードリヒなどの画家に代表され、 崇高な自然、霧、孤独、宗教的静寂、 寒色系の調和、 小さな人間像と巨大な自然の対比 …といった特徴的な要素を言語的に理解します。 🖼 ② 実際の画像からの視覚的学習 AI画像モデルは同時に、大量の絵画画像データ(著作権が切れた美術館所蔵画像など)からも学習します。 これによりAIは次のような視覚的特徴を捉えます: 筆致・質感(油彩の厚み、ぼかし、陰影の構造) 構図(遠近法、人物の配置、地平線の高さ) 色彩パレット(ロマン派では青灰色・褐色のグラデーションが多い) 光の方向とトーン(象徴的な朝焼けや月光など) たとえばAIがフリードリヒの絵を多数見ていると、「中央に小さな人物」「広大な風景」「霧と夕日」「静謐な空気」という視覚的パターンを統計的に学びます。 ⚙️ ③ 実際の判断の仕組み AIが画像を分析して「これはドイツ・ロマン派風だ」と判断する場合、次のような統合が行われます: 画像の特徴量を抽出(構図・色・質感・形) 言語的知識と照合(“ロマン派”の記述的特徴との一致度) 代表作との類似度を数値的に比較(埋め込み空間での距離計算) つまり、「言葉での理解」+「画像パターンの統計」の両方を使い、 「この画像はフリードリヒ作品群と似た特徴を多く持つ」と推定するわけです。 🧩 補足:研究的アプローチ 学術的には、このようなAIの美術様式認識は「スタイル分類 (art style classification)」と呼ばれ、 近年は Deep Learning + 美術史データベース(WikiArt, Web Gallery of Art など) で行われています。 CNN(畳み込みニューラルネット)やViT(Vision Transformer)で画像特徴を抽出し、「ロマン派」「印象派」「バロック」など数十スタイルに分類できるモデルが実験的に作られています。



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