ふと気が付くともう2月10日、昨年8月5日にイタリア都市のABC順を始めてから はや半年になります。イタリアはBの項目がまだボローニャやブレシアなど 結構残っていますが、イタリアばかり続くのも興醒めでしょう。
ドイツ、アメリカ、イタリアの次は2年以上空いているフランスにしましょう。
フランス都市のABC順の最初はアジャンの「アジャン美術館」。 アジャンはフランス南西部、ボルドーとトゥールーズの中間辺りに位置する 古代に創建された歴史ある街です。
美術館は3階建てのルネサンス風の邸宅を3つ繋ぎ合わせたもので風情があります。 入って直ぐに素晴らしいタピストリーと ミロのヴィーナス風のギリシャ彫刻が目に入りました。
ここにはタピストリーや彫刻、装飾品、陶器等の展示もあります。
絵画はフランス南西部の美術館としては一流の収蔵品で、 ドメニコ・ティエポロやナティエ、グルーズ、コロー、ミレー、ドービニー、 カイユボット、シスレー他が勢揃い。
特にゴヤの作品が7点もあるのに驚きました。
彼の壮年期の堂々とした自画像もよかったのですが、印象的だったのは「気球」。 105 x 84cmの画面に青空を背景に浮く気球が描かれています。
ゴヤの時代に気球があったとは知りませんでした。
調べてみると、熱気球が発明されたのは1783年で、 それ以降19世紀までフランスを中心にヨーロッパで気球ブームが起き、 遊覧飛行や冒険飛行が頻繁に行われたらしい。
ゴヤは1746年生まれで、当時のスペインの自由主義者弾圧を避けて1824年、 フランスに亡命し、1828年にフランスのボルドーで死亡していますから、 十分に気球を見る機会はあった訳です。
他には2人のポスト印象派のフランス人画家達の絵がよかった。 一人はアルベール・ルブール (1849-1928)でルーアン派の一人。
ルーアンで修業を行った後、1876年にモネや、シスレー、ルノワールらと 初めて一緒に展覧会を開いています。 その後、印象派展に2度参加し、彼等と交流しています。
好んでパリとルーアンの風景を描き、晩年をルーアンで過ごしています。 ここには風景画2点と静物画が1点展示されていました。
もう一人はアンリ・ルバスク (1865-1937)。 アンジェの美術学校を経て、1886年パリの国立美術学校のボナ教室で学んでいます。
ピサロやルノワールと知り合い、多大な影響を受け、1896年サロンに初出品。 1903年にはマティスらとサロン・ドートンヌの創設メンバーになっています。
友人だったボナールの影響を受けて、単純で力強い構図を用い、 明快な光の下の庭園や室内などを多数描いた他、 シャンゼリゼ劇場の装飾などの装飾画も手がけています。
ここには印象派風の水浴図とマティス風の女性肖像画、 マルケ風の風景画の3点がありました。