デュフィというと思い出すのはフランス、ロデーブにある「フルーリー美術館」。
モンペリエから西北に60km程の所にある山間の町です。
美術館はルイ15世の時代に実質的に20年近く宰相の地位にあった フルーリー枢機卿の館にあるため、その名がついていますが、町立美術館です。
ここは毎年夏に大規模な企画展を催すので有名で、スペインのフィゲラスにある ダリ美術館や、スペイン、ビルバオにあるグッゲンハイム美術館のように、 美術館の存在が町興しに寄与する例となっています。
古い3階建てでそれほど大きくはありませんが、 それでも各階に6部屋ずつの展示室があります。 1階が常設展示、2階が企画展用、3階が考古学的発掘品の展示に使われています。
1階に入って驚きました。デュフィの自画像がじっとこちらを見つめているのです。
第43回でデュフィについて詳述したマルロー美術館には、 帽子を被った20歳そこそこの若い頃の自画像がありましたが、 こちらはシルクハットを被った壮年期のものでこれまで目にしたことはありません。
他にも4点もデュフィ作品があります。
次の部屋に入って更に嬉しくなりました。
何と軽やかな音楽が聞こえてくるような晩年の傑作8点が 1室を占領しているではありませんか。
どれくらいこの部屋を1人占めしていたでしょうか。至福の時でした。
この美術館には他にもキスリングの比較的珍しい風景画3点、 油の乗った頃のパスキン4点、クールベ、カイユボット、ヤウレンスキー、 ヴラマンク、ブラック、ステーンなどもありました。
常設展だけでも、十分訪れる価値があります。