佐藤哲男(千葉大学名誉教授)
生まれたときは誰でも例外なく限られた寿命を持ってこの世に出ます。しかし、成長とともに寿命のことは頭から忘れ去られて成長します。何十年も人生を謳歌したのち、高齢になるとふと「この先どうなるだろう」と人生に不安を感じることが多くなります。誰でも例外なくいつかはこの世を去ります。
昔読んだ内舘牧子さんの『すぐ死ぬんだから』(講談社、2018年)を思い出します。また、2023年には和田秀樹氏が「どうせ死ぬんだから」という著書を出しました。昨今は人生100年の時代です。「すぐ死ぬんだから」と言って高齢者が自らの行動や考え方を正当化する理由にはならなくなりました。
私は2026年1月で95歳になりました。ずいぶん長く生き延びたものです。70代には海外出張が多く、学生時代から海外についての好奇心から全く年齢を意識しないまま10年近く海外での日々を楽しみました。80代になり海外出張も少なくなり落ち着いた頃、身体に異変を感じて病院へ通う日が多くなりました。その結果、3回も全身麻酔で手術をしましたが、幸い70代に世界中を歩き回って健康を貯蓄したおかげで無事90代を迎えることができました。
90代になったら昔ともに学んだ高校、大学の友人の多くが亡くなりました。この年齢になると、もし転んで足を骨折したらそれだけで回復は望めません。後述の通り、我が国では健康寿命は平均寿命になかなか達しません。本書では、私がこれまで95年間経験したことと、長寿に近づくために役立つ事柄を述べて少しでも読者のお役に立てば幸甚です。
江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630 - 1714)が『養生訓』を書いたのは1712年、彼が83歳のときです。その2年後に彼は天寿を全うしました。江戸時代の健康で長生きするためのバイブルともいえる医書の『養生訓』は、庶民も読めるように漢文ではなく和文で書かれていたので当時のベストセラーでした。
『養生訓』には、ただ健康になるための勧めが書かれただけではなく、「人としてどう生きるべきか」ということが書かれています。益軒は今から300年以上前にその中で「人間の寿命は100歳をもって上限とする」と予言しています。また、天寿を全うするためには「体の養生」だけではなく、「心の養生」も欠かせないことが、彼の実体験に基づいて書かれています。
益軒は人間の寿命について、「上寿は100歳、中寿は80歳、下寿は60歳」と予言しました。「60歳以上の人は長寿である。50歳で亡くなっても、それは若死とはいわない」としています。理由は、当時は幼児の死亡率が非常に高かったので、平均寿命は恐らく30歳前後だったからではないかと思います。
『養生訓』がベストセラーになったのは、バランスのとれた食事と適度の運動、良質な睡眠、ストレスを避けて心を穏やかにすること、趣味や楽しみを持って元気に過ごすことといった、現代の生活習慣病の予防や治療で大切とされることが全て網羅されているからです。益軒は食事も暮らしも質素であった時代から、欲を制して控えめな生活をすることが健康長寿につながると説いています。江戸時代よりも格段に物が豊富にそろう現代では、どれだけ自分をコントロールして生きていくかが健康のために大切なことです。
寿命は遺伝的要因(細胞の老化速度)と環境要因(食事、運動、医療、生活習慣など)の組み合わせで決まります。寿命は生まれつき固定されているわけではなく、長命になればなるほど個人差が大きくなります。それは環境要因が大きく影響しています。
米国のハーバード大学の研究チームが164の環境要因と、参加者の疾患の遺伝的要因を評価しました。対象とした環境要因には、喫煙や身体活動の量などライフスタイルの違いに加え、生活条件や世帯収入、雇用状況などの社会的要因、幼少期の体重などの初期の生活要因が含まれていました。
調査の結果、疾患関連の死亡率に関しては、研究チームの予想通り、環境要因が寿命の変動の約17%を占めているのに対し、遺伝的要因が占める割合は2%未満でした。これは、環境要因が遺伝的要因よりもはるかに健康と長寿に影響を与えることを示唆しています。特に、肺や心臓、肝臓の病気において環境要因は最も大きな影響を与えることが判りました。
長生きはある程度遺伝するでしょうか。ここで皆様も良くご存知の「きんさん・ぎんさん」を想い出します。成田きんさんと蟹江ぎんさんは双子姉妹で、1892年(明治25年)8月1日に名古屋で生まれました。1995年(平成7年)には台湾へ招かれて、二人にとっては103歳で初めての海外旅行でした。きんさんは2000年(平成12年)1月23日に107歳で、妹のぎんさんは2001年(平成13年)2月28日に108歳で天寿を全うしました。
ここに一つの医学的データがあります。「遺伝子が100パーセント同じ一卵性双生児と50パーセント同じ二卵性双生児が何歳まで生きたか」ということを1世紀にわたって調べたデンマークの学者の研究です。これらの双子が育った環境は一卵性も二卵性もまったく同じでした。それぞれの寿命を調査研究した結果、遺伝によると思われる影響は平均25パーセントで、残りの約75パーセントは生活習慣などの環境による影響でした。つまり、寿命は前述の通り遺伝より環境の方が強く影響しているということです。
事実、1923年(大正12年)の日本人の平均寿命は男性が42歳、女性は43歳でした。2013年(平成25年)では、男性は80.21歳、女性が86.61歳と大幅に長生きしています。医学的に考えて、大正時代といまの平成時代の僅か90年程で人間の遺伝子そのものが変わったという可能性は殆ど考えられません。寿命が延びた理由は、生活、食事など環境要因の変化が大きく影響していると考える方が妥当です。
昔に比べて最近では単に寿命が延びただけでなく体力も若返っています。例えば高齢者の歩行速度でみると、四半世紀で女性は20歳、男性は10歳若返っているという報告があります。また、健康状態や知的能力においても、こうした若返りの傾向が見られます。
寿命が長くなるのは望ましいことですが、それよりも健康で過ごせることがより重要です。単に長生きというのではなく、QOL(生活の質)が問題です。つまり、健康で長生きすることが理想的です。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる状態」です。2022年の健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳となっています。これに対して2022年の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳であり、健康寿命とはそれぞれ約9年、約12年の差があります。全ての国民が健康で幸せに暮らすためには、平均寿命を上回るほど健康寿命が伸びることが必要です。
私は「老人」「老化」など「老」が入った言葉はヨボヨボを予想させるので、それよりは英語のエージングをもとにした造語の「加齢」や、一般に使われている「高齢者」などの日本語の方がはるかに明るいイメージがあると思います。
最近、新聞の死亡広告欄に某有名会社の社長逝去の記事があり、死亡原因が「老衰」とありました。惜しい人を亡くしたと思いつつ、年齢を見て愕然としました。74歳です。厚生労働省によると、2024(令和6)年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳で、前年と比較して男性は横ばい、女性は0.01年下回りました。74歳で死亡原因が老衰は少し早すぎるのではないでしょうか。
加齢と老化は同じではありません。定年を過ぎる頃になると、だれでもいつまでも若々しく生きたいと願うところです。あなたの知り合いでも「この人はなんて若く見えるんだろう」という人がいるに違いありません。
歳をとること(加齢)と老いる事(老化)は混同され易いのですが、必ずしも同じではありません。加齢とは単に一年ごとに歳をとることですが、老化は歳とともに内臓の働きが悪くなり、精神的、肉体的に活動が落ちたり、視力、聴力の低下やど忘れを感じて不安になることです。老化は高齢者だけの問題ではなく、40代・50代の働き盛りの人でも見られます。白髪が増える、髪の毛が薄くなる、顔のシワが増えるなどはだれでも経験する老化の一般的な現象です。
私は50代ですでに白髪でしたがシワはありませんでした。ところが80代になったら明らかにシワが増えました。シワは筋肉を失って弾力性がなくなってシワになります。私の場合は明らかに老化によるものです。また、高血圧、骨粗鬆症、動脈硬化、脳卒中、糖尿病などは必ずしも加齢や老化によるのではなく、一部の人々が何らかの原因でみられる病気です。高齢者に限らず40代、50代でも高血圧、糖尿病で治療している人が多くいます。これらの病気は薬や運動である程度は健康を取り戻すことは出来ますが、加齢は逆戻りできません。加齢は能力や貧富に関係なく誰でも毎年一つずつ歳をとることです。
高齢になったら自分のペースで暮らすことです。老化の特徴の一つは個人差が大きいことです。同じ年齢でも人によりその容姿が大きく違います。なぜでしょうか。その原因の一つは気持ちの持ち方の違いだと思います。
70歳の人が「もう70歳だから」という人と、「まだ70歳だから」という人では、見た目が驚くほど違います。何十年ぶりの同級会で昔の友人と会って、その変わり様に愕然としたご経験をお持ちの人が多いと思います。「加齢は平等」、「老化は不平等」です。よく食べて他人とよく話すことが長寿の秘訣かもしれません。
高齢になったら「適当」に生きることを勧めます。「適当」といってもいい加減ということではありません。自分のペースで生きることです。高齢になると周囲の人々に遠慮することなく自分の歩幅でほどほどに生きることをお勧めします。しかし、他人に迷惑をかけることだけは避けるべきです。
また、加齢とともに心身的に環境の変化に順応することが困難になります。その結果、高齢者は頑固になります。高齢になっても趣味を持ち、友人、知人と付き合っている人は、脳は若いまま保ち順応性も優れています。また、高齢になったら若い時のように見栄を張らないで、足腰が不自由で歩くのが苦痛だったら遠慮せずに杖を使うことです。本人が気にするほど世の中の人は他人に関心を持っていません。グータラが長生きのコツです。
脳は24時間休みなくフル活動していますので、毎日摂取する総カロリーの2割を消費しています。病気や事故などで心臓が停止し、脳への酸素供給が4-5分間止まると脳の細胞は徐々に死に始めます。この時点で医師は「ご臨終です」と家族に伝えます。
一般に、「脳は年齢とともに老化する」と言われていますが、それは必ずしもすべての人に当てはまるとは限りません。人によっては高齢になっても脳が老化しない人もいます。若い頃に脳を積極的に使うと年齢を重ねても脳は老化しません。高齢者でも気持ちが若い人たちは、医療機関で脳の状態を画像で検査するMRI検査をすると、脳においても老化の特徴が少ない傾向にあることが医学的に明らかになっています。
高齢になると、人と会ったとき顔は覚えているが名前がすぐに出てこないことがあります。物忘れには段階があります。「朝食で何を食べたか」の忘れ方は正常の範囲内ですが、「今朝朝食を食べたかどうか覚えていない」は正常を超えた認知機能の低下が考えられます。一般には、50~60代になると多くの人は少しずつ物忘れが増えてくるのは誰でも感じることで、これは正常の範囲内です。
私は5年ごとに脳ドックを受けています。直近では2021年(90歳)の時にMRI(脳そのものをみる)とMRA(脳の血管をみる)の2種類の検査を受けました。検査結果は次の通りでした。
幸いにも今回は治療すべき知見は見られませんでしたが、2027年(96歳)の5年間にはどう変わっているか不安です。
心を若く保つことは身体を若く保つことに直結するということは多くの医学的研究から明らかです。脳は使わなければ老化します。使えば使うほど若さを維持することができます。筋肉と違って「脳は疲れない」と言われています。脳は我々が日常使っている容量の何十倍もの余裕を持っています。勉強や仕事で脳が疲れたと感じるのは、脳が疲れたのではなく眼が疲れていることが多いのです。
脳は日常遭遇するすべての情報を記憶するだけでなく、身体全体のバランスを調節しています。脳の活動が衰えない様に日常生活において常に脳を刺激すると、何十年でも機能を保つことができます。
脳は毎日の生活の全てに関わる多くの機能を持っています。高齢になっても変わらない機能もありますが、一方で、記憶や情報を一時的に保持したり判断したりする能力は、加齢とともに衰えやすいのです。このような作業を司る部位は頭の額(ひたい)の部位にある前頭野の中の大部分を占める前頭前野です。
40歳を過ぎると記憶力の低下を感じ始めます。それを意識して脳を活性化するのに必要な部位が「前頭葉」です。この部位が衰えると、意欲や創造性が失われ、感情のコントロールがきかなくなり、思考の柔軟性も失われます。
「料理をすると脳を活性化する」といわれています。料理をしているときの脳の活動を医学的に調べると、前頭前野が刺激されることが知られています。この部位は「脳の司令塔」と呼ばれ、意思、判断、創造、記憶、集中など、人間の重要な行動を司っています。この部位を刺激して正常に保つには、他人と会話をすることが有効です。
また、「笑う」ことにより前頭前野は活性化されます。「笑う」ことは脳や身体の緊張を緩める作用があります。私の経験を述べます。昭和30年頃、従弟に連れられて初めて新宿末広亭へ行きました。名人の落語、漫才を聞いた時、こんな楽しめる場所が東京にあることを初めて知りました。それ以来、千葉に住むようになってから、用事で東京へ行って時間があるときや日曜日などに、末廣亭や上野鈴本演芸場などで落語、漫才を楽しみました。イライラしたことがあるときでも、寄席にいる間は楽しむことができました。当時の寄席は午前、午後の入れ替えがなかったので、午後から夕方まで笑っていた記憶があります。当時の名人、師匠はほとんど亡くなり、現在はその弟子の時代です。「笑う」ことにより前頭前野が活性化されて脳の働きが保たれます。自宅で笑うのは問題ないですが、外で大衆の中で突然笑い出すと他人が注目し、時には連れ出されますのでご注意のほど。笑うことと同様に、仕事でイライラした時など、散歩しながら昭和の流行歌を口ずさむと一瞬でも心が落ち着きます。
人間の脳の細胞数は、種類によって異なりますが、神経細胞は約1,000億−1,400億個、それに栄養を供給するグリア細胞を含めると約1兆個近くに達すると言われています。また、肝臓の細胞数は約2,500億個と言われています。肝臓など多くの臓器の細胞は一定の周期で古い細胞が壊れて新しい細胞と入れ替わります。
しかし、脳は例外です。脳の細胞は健康な人でも一日10万個ずつ壊れますが、新しい細胞は出来ません。そして80歳までに、脳全体の細胞の約37パーセントが失われるといわれています。しかし、脳の細胞は驚くほど巧妙にできており、各部位の細胞が集まって連携しネットワークを作っています。その中の一部の細胞が老化により萎縮すると、ほかの細胞がそれを補う仕組みがあります。
腸と脳は全く関係がない様に思われますが、最近の研究によると、脳と腸は、神経を介して互いに密接に影響を及ぼし合っています。脳と腸はどのような仕組みで連携しているのか。それには腸内フローラが脳に影響を与えていることが明らかになりました。この脳と腸の関係が「脳腸相関」です。
腸は刻々変化する腸内フローラの情報をすべて脳に送り込んで、脳からの指令を待っているのです。また、脳がストレスを感じると、自律神経を介して腸にストレスの刺激が伝わるので、お腹が痛くなったり、便意をもようしたりします。逆に腸が病原菌に感染すると、脳は不安を感じます。まさに、腸は「第2の脳」です。
腸内にある百種類、百兆個の腸内細菌には、人間に必要な「善玉菌」と、病気の原因になる「悪玉菌」が同居しています。善玉菌の代表は「ビフィズス菌」や「乳酸桿菌」で、悪玉菌の親分は下痢を起こす「ウエルシュ菌」です。「大腸菌」は下痢や食中毒の原因になりますので悪玉菌の一つです。
病気で抗生物質を長期間飲むと下痢になることがあります。それは、抗生物質が病気の原因である大腸菌だけでなく善玉菌までも殺すからです。それにより、悪玉菌のウエルシュ菌が腸の中ではびこって、かれらが出す毒素により下痢を起すからです。60歳を過ぎる頃から善玉菌が減少し、逆に悪玉菌が増加します。また、ストレスが多い生活の人では悪玉菌が増えます。
一方、腸は解毒の他に免疫機能を司る重要な臓器です。免疫は私どもの体を病原菌やウイルス、毒物などから守るための重要な働きです。善玉菌には免疫力を増強する物質が含まれています。しかし、加齢とともにこの善玉菌が減少するので、高齢者での免疫能は低下し、ぜんそくやリュウマチにかかりやすくなります。
腸によい食物として食物繊維が知られています。食物繊維は腸からの脂肪分や塩分の吸収を抑えます。ほとんどが腸から吸収されないで通過するだけですので、そのときに余分なコレステロール、糖分、脂肪などの吸収を抑えて一緒に体外へ排出してくれます。また、腸の中に溜まっている毒素も同時に排出しますので、便秘の解消にもなり解毒効果は抜群です。
国際的にもっとも権威のある医学、科学専門誌Nature(ネイチャー)の2014年11月12日発行号に興味ある論文が掲載されました。要約すると次の様な内容です。
最近、腸内細菌が心の健康に影響を与えるという説が専門家の間で話題になっている。ヨーグルトの様な細菌を含みからだによい食品の販売会社は、以前から、適正な腸内細菌を育てることが心の健康に良い影響をもたらすと主張してきた。しかし、神経科学者たちはその意見には懐疑的だった。最近になり、腸内の常在微生物群(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)が自閉症やうつ病などの疾患と関連していることを裏付ける証拠が積み重ねられつつあり、神経科学者たちは、そうした結びつきが臨床的に重要であると考え始めた。
このような論文から、腸は単に栄養成分の消化、吸収の場だけではなく、脳の働きにも密接に関係していることが医学的に証明されつつあります。
胃腸から脳に向かって消化管の状態を知らせる信号が送られると、脳は胃腸に向かって信号を送り返して応答します。例えば、空腹になると胃の中に存在する食欲促進物質のグレリンが、「空腹だから何か食べた方がよいと思う」という信号を脳に伝えます。その信号を受け取った脳は、摂食を促す脳内ホルモンを分泌し、「空腹なら何か食べてもいい」と胃腸に食べ物を受け入れるように指令を出す。このような神経の交信により、本人は食べ始めます。
このように脳と腸は、自律神経や情報伝達物質を媒介にして、双方向のネットワークを形づくっています。少し科学的にいえば、腸内細菌は、脳が関係する腸管刺激因子の刺激を調整したり、制御したりする重要な役割を果たしているのです。腸内フローラは、からだの恒常性(ホメスタシス)の維持に大いに役立っています。
脳と腸との関係についての研究が進み、その仕組みがかなり分かってきました。誰でも経験することですが、大切な試験の前や重要な会議の前になると、緊張感などで下痢をしたり、便秘になります。これが「過敏性腸症候群」です。
過敏性腸症候群の症状が続くと、うつ症状やさまざまな原因不明の症状が現れます。これらの症状が現れるのは、腸の不具合の情報を脳が受信し、強いストレスを感じて、自律神経の働きが乱れるからです。中高生の20パーセントが過敏性腸症候群にかかっているといわれています。
一般の人でも、過敏性腸症候群の人では、脳から腸にストレスが伝わると、腸の粘膜から神経伝達を媒介するセロトニンという物質が過剰に分泌され、腸の運動が高まって下痢が起こります。「腹が立つ」、「腹黒い」、「太っ腹」、「腹の探り合い」、「腹に一物あり」、など腹(腸)と心(脳)の機微を表す言葉が多く知られています。
昔は、「脳が胃腸を支配する」とう考え方でした。しかし、最近の研究では、逆に「胃腸からの信号が脳の働きを左右する」という証拠が多く報告されています。脳と腸は自律神経で強く結ばれています。
病気や事故で脳の血流量が低下すると脳の中の神経細胞が死滅してしまい、二度と再生することはありません。神経細胞が減っていくと物忘れが激しくなったり、ボケを引き起こしたりすることにつながります。
指の神経は直接脳に繋がっているので、指先を使うことによって脳が活性化されます。炊事をする人は指先を使い、包丁などの刃物を使うので、知らぬ間に神経を使うことになり脳の活性化につながります。家事や炊事をやっている人、楽器演奏をしたり絵を描いている人は元気な人が多いです。
認知症の予防で手を使った体操や、脳を活性化させるのに効果的なのは考えながら手を動かすことです。特に、ピアノなどの楽器演奏や、キーボードタイピングなどは手を動かしながら頭も使うことができるのでとても良いとされています。中でもピアノは音の強弱やリズムなどを楽譜を追いながら頭で考えて指をたくさん動かすため、脳を刺激します。最近、高齢者でピアノ教室に通っている人が増えました。指先を動かすことは脳を活性化することになりますのでオススメです。私は楽器は全くできませんが、1日10時間くらいパソコンに向かって指を動かしています。文章を考えながら指を動かすことは脳の活性化につながっているかもしれません。
高齢になると記憶力が落ちる上に、生活の中での刺激が少なくなります。刺激が少なくなると脳は活動する必要がなくなったと勘違いして休止状態に入り、その状態が半年以上続くと認知症と診断されることがあります。認知症は高齢になって突然現れるものではなく、人によっては40代、50代から始まる事があります。認知症の予防対策は40代から心がけるべきと言われています。
それには仕事以外に趣味を持つ事です。高齢になっても趣味を持ち、友人、知人と付き合っている人は、脳は若いまま保ち順応性も優れています。気のおけない仲間とゴルフ、テニス、旅行、囲碁、将棋、カラオケなどの時間を過ごす事は、脳をリラックスする効果としては最高です。穏やかでのんびりした性格の人や、社交的で活発な社会生活を送っている人は、認知症の発症率が低いことが研究からわかっています。一方、自己中心的、わがまま、几帳面、非社交的などの性格は認知症を発症するリスクを上げるというデータもあります。
専門医によると、認知症の初期症状には次のようなことがあげられます。
ストレスも認知症やうつの原因になります。私は約30年間大学に勤務し、若い学生と毎日接していました。研究、教育に神経を使いましたが、会社に勤務している大学の同級生と比較して胃潰瘍、胃がん、うつなどで加療している人数が少ないことがわかりました。大学の仕事は決して楽ではありませんが、会社人のストレスはそれ以上だと思います。職場で重度のストレス状態が何年も続くとうつ病やストレスによる胃潰瘍の原因になり老化を進めることはよく知られています。
うつ状態は本人の自覚がないことが多いので、見過ごされがちです。日頃の活動や趣味などへの関心が失われると毎日の生活全体への意欲がなくなり、気持ちが沈んでうつになり、やがて認知能力が低下する事が少なくありません。うつ状態を判別するためにはどうしたらよいか。病院でもよく使われる観察項目は次の通りです。
この中でいくつかの症状が続いたら医療機関で相談されることをおすすめします。うつ病と似た症状で「適応障害」があります。両者の違いは、適応障害は職場や人間関係などストレスの原因が明らかにわかるもので、その環境から離れると症状が改善します。それに対して、うつ病は原因が明確でなくても症状が出て、ストレスの原因から離れても症状が続く点が異なります。
よく知られている認知症で患者全体のやく70パーセントを占めます。これは脳内の記憶を司る海馬(かいば)という部位の周辺から萎縮が起きる病気で、萎縮が進行するにつれて認知機能が低下します。
全体の約20パーセントにあたり、アルツハイマー型認知症について多い認知症です。脳梗塞や脳出血など、いわゆる脳卒中に伴っておこる認知症です。脳梗塞では血管が詰まり血流が不足している領域の神経細胞の機能が失われたり、脳出血によって溜まった血液が圧迫されたりすることで、様々な認知症の症状が現れます。
一般的な認知症は記憶力や理解力などの認知機能が徐々に低下していきますが、レヴィー小体型認知症は認知機能が良いときと悪いときで波があります。レヴィー小体とは脳の細胞の中に存在するタンパク質です。その主な症状としては、見えないものが見えたり(幻視)、認知機能が良い時と悪い時の波があること(認知機能の変動)、歩行など動作の障害(パーキンソン症状)、大声での寝言など睡眠中の行動異常(レム睡眠行動障害)など特徴的な症状が現れます。
認知症の薬は初期では進行を遅らせることができますが、残念ながら現在使用されている薬には根本的に止める働きはなく、服用しても最終的には認知症は徐々に進行します。また記憶障害や行動障害を劇的に改善させるほどの効果も期待できません。しかし、薬を用いることにより、脳の中で生き残っている神経細胞を活性化させたり、覚えたり考えたりする働きをある程度保つことができます。また、日常生活に活気が出たり、イライラや不安を少なくすることによって生活の質を上げる効果も期待できます。なお、認知症治療薬の種類や開発に関する情報は末尾の備考をご参照下さい。
最近書店では健康、病気、薬について多くの本が氾濫しています。その中には、「抗がん剤は使うべきではない」、「がんの手術は寿命を縮める」、「高血圧は200以下だったら薬は飲まない方が長生きする」などなど多くの意見が出されています。これらの書物はこれまで何十年間、何千人の患者を診察してきたベテランの医師だけに、ある点では医学的な根拠があるのだと思います。
しかし、世の中の人々が知っている知識と反対の意見を出されるとどちらを信じて良いか迷います。一般の常識としては、がん治療には抗がん剤を使う、高血圧だとどこの病院でも標準治療として高血圧治療薬を処方します。現状とは真逆の書名には患者にとっては大変な混乱の原因になっています。
また、医者の中には、「人間ドックは病気を探す様なものなので何の役にも立たない」という人もいますが、私は早期発見、早期治療の方針ですので人間ドックが無駄だとは思いません。ドックの結果、問題があれば治療しますし、何も問題がなければ安心料になります。私はこれまで30年以上毎年人間ドックを受けています。
基本的に健診は健康な方や自覚症状がない方が受けることが多いです。症状がないうちから身体をチェックすることで、早期に発見されれば治せる可能性が非常に高く、治療も軽く済むことが多いです。例えば、検診によりがんになる前の病変が見つかることもあります。早めに見つけておけば治療に入ることができます。もちろん、問題がないとわかれば安心して生活を続けられます。
私は現役在職中の30年程前から毎年人間ドックを受診しています。90代になってなぜ人間ドックへ行くか、本人にとっては精神的にそれで満足なのです。重大な病気が無ければそれなりに安心することが出来ます。もし治療が必要な指示が出たら医師と相談する。何があっても自己判断するのではなく、専門医の意見を聞くことにしています。早期発見・早期治療が長生きのコツです。
白髪って染めたほうがいいか、それとも諦めてそのままにしたほうがいいかいろいろな意見があります。見た目を考えるならばやはり白髪染めをした方が少しでも若々しく見えるので、本人にとっても嫌な思いをしない筈です。しかし、上品な白髪の高齢婦人も決して見苦しいものではありません。
定年になると他人との接触が少なくなり、身だしなみにも無頓着になります。それは、世の中の人々の目がこちらに向いていないと考えて安心するからです。しかし事実は逆です。無精髭を気にしない様な生活は自分から他人との接点を失う事になります。高齢者にとって必要以上に若く作る必要はありませんが、こざっぱりな服装をすること、身なりを整えること、身体を清潔に保つことが若さを保つには必要です。
脳の専門医によれば、身なりをきちんとしている人の脳は、MRI検査 (脳の状態をみる)の画像でも実年齢よりも若いそうです。逆に身なりが老け込んでいる人は、脳も老け込んでいることがわかりました。70代の人でも50~60代の人と変わらないMRI画像の人もいるそうです。おしゃれな人や、言葉がしっかりしている人は脳の状態も若いと言われています。高齢者が精神的に自立するためにはどうやら身だしなみが大事な様です。
高齢者になったら若い時のように「がんばらない」ことです。「がんばらない」という言葉は、怠け者、無気力、やる気がない、など悪いイメージを持たれそうですが、ここでは、リラックスする、身構えない、突っ張らない、などのことです。
高齢になったら勝負にシャカリキにならない生活が身体を長持ちするコツです。私は電車に乗るとき、発車時間の1分前にホームにつながる階段の下にいても、よほどの急ぎでない限り駆け登る事はしないことにしています。高齢者が突然駆け出すと、脈拍は100以上になり、呼吸は乱れて血圧も上がります。心臓に負担をかける行動は、てきめんに心臓に負担をかけます。時にはそれが引きがねになって心筋梗塞や心不全で心臓が止まるかもしれません。
若い人は、体調が一時的に異常な状態になっても時間と共に正常な状態に戻るだけの「復元力」を持っています。しかし、60歳を過ぎたらその復元力はあてになりません。70, 80歳になったらもはや復元力はないものと覚悟した方がよいのです。したがって、高齢者は復元力を期待するような激しい行動は慎んだ方が無難です。
人生の3分の1の時間は睡眠に使われていると言われています。しかし、現代では長時間通勤、受験勉強、インターネット、ゲームなどで夜型生活の人が多いので、睡眠不足の人が増えており、それによる事故や、慢性不眠による生活習慣病の悪化など、医学的には脳内の体内時計を狂わせる要因が多く溢れています。私も例外なく寝るのが12時過ぎです。睡眠不足は万病のもとです。睡眠不足や睡眠障害により精神的、肉体的に大きな負担を受けています。
私は大学に勤務していた頃から就寝は11時過ぎでした。夜8時~9時に大学から帰宅し、食事し、風呂に入ってテレビを見ていると11時になります。10時頃に布団に入っても中々寝付かれません。80代になったら夜中1時頃に寝るとすぐに眠りに入ることができます。翌朝は8時~9時の起床です。眠りには個人のリズムと習慣がありますので、他人がとやかくいうことではありません。
睡眠は休養に必要なだけではなく、記憶・気分調節・免疫機能の増強など、さまざまな精神機能や身体機能に関連しています。十分な睡眠を保つことは活力ある日常生活を送るための基本です。睡眠障害は生活習慣病をはじめとするさまざまな身体疾患も増悪させます。例えば高血圧、脂質異常症(例:高コレステロール症)・糖尿病・高尿酸血症(痛風)・逆流性食道炎(胸やけ)などを悪化させます。睡眠薬などを使って不眠に対処することにより生活習慣病が改善することも明らかになりました。
“睡眠に対して何かトラブルを抱えている状態”のことを示します。それは大きく分けると、不眠症、過眠症、睡眠時随伴症(睡眠中に起こるねぼけ行動)の3つに分けることができます。特にその中でも、不眠症で悩む方が多いです。
不眠症の原因は次の4つの要因に分けることができます。
寝入ってから約3時間以内に深い眠りに達すれば、脳も身体も休ませることができるため、朝起きた時に「ぐっすり寝た」という満足感を得ることができます。布団に入って5~10分で眠る人は理想的ですが、医師の話では、就寝後2時間以内に眠ることが出来れば正常だそうです。
眠れない時に羊を数える俗説がありますが、専門家は「何の役にも立たない」といいます。昔、米国で眠れない時に、眠れるように英語の Sleep(睡眠)を繰り返したら眠ったとのことに由来しているらしいですが、実はこれを伝えた日本人がSleepとスぺルが似ているSheep( 羊)を間違って伝えたとのことです。皆様は羊を信じますか。
皆様の中で“自分も睡眠障害かも”と思う時があると思います。不安な人は世界共通で使われている『アテネ不眠尺度』をお勧めします。これは世界保健機関(WHO)が中心になって設立されたプロジェクトで、不眠症の度合いを判定するために、世界共通で使われている不眠症の尺度です。詳細は備考をご覧下さい。
若い時に運動し筋肉を鍛えると、後年になってそれが役立ちます。「筋肉貯蓄」です。加齢により筋肉が減少しますので、若いうちから運動と栄養(特にタンパク質)で筋肉を蓄えることで健康寿命を高めます。また、骨の貯蓄とは、将来の骨粗しょう症予防のため、若いうち(特に10代~20代)に骨密度を最大限に高め、カルシウムなどの栄養と適度な運動で骨量を蓄えることを指し、銀行にお金を貯めるように「骨にカルシウムを貯める」という考え方です。
運動すると骨も太くなります。ただし、加齢に伴って確実に骨密度は落ちますので、段差でうっかりつまずいて大腿部骨折などになって寝込んだら致命的です。また、元気だからといって高齢者が無理に強い運動をすると、筋肉疲労になって回復が大変ですので、決して無理をしないこと。度を超さないほどほどが必要です。私の場合、95歳になると運動することがないので腕や体の筋肉がてきめんに落ちます。最近では、風呂に入った時に鏡を見て自分のシワに愕然とすることがあります。シワができるのは筋肉がなくなった証拠です。気持ちは若いですが年相応の老化が進んでいることを実感します。
身体はいろいろな働きを持っています。その中にはどうしても必要なものと、なくとも生きていく上で支障のないものがあります。必要なものは心臓、肝臓、脳、腎臓、膵臓、胃腸など生きるために必須な臓器の働きです。贅沢品は贅肉、肥満などです。内臓の働きが正常から大きくぶれると病気となって現れます。そのぶれが小さいうちは加療により修復が可能ですが、ある限度を超えると逆戻り出来なくなります。
50~60代は現役で働いているので最も体力がある年代です。自己管理が中々難しい年代ですが、将来に備えて暴飲暴食を控えるのが望ましいです。この年代では酒を飲み過ぎても翌日には回復することができます。しかしそれを繰り返して肝臓を酷使すると将来取り返しのつかないことになります。暴飲暴食の影響は人生の最後の年代に影響が出ます。この時期、身体を酷使しないで、体力を将来に備えて貯蓄する事をお勧めします。
身体に支障のない一日のアルコール量は、個人によって大きく違いますが、一般には、日本酒で一日1~2合、ビールでは大ビン1本、ワインは2日で一本程度だったら大きな問題はありません。しかし晩酌で毎日4合以上の日本酒を飲み続けると、20年~30年後にはアルコール性肝炎から肝硬変になり、さらに進むと最終的には肝臓がんになることが多いと言われています。
実年齢よりも若く見える人、健康寿命が若い人は、そうでない人に比べて体力的に本当に若いとは限りません。いくら若く見えても、実年齢の老化現象は例外なくやってきます。老化が10~20年遅く進行しているだけです。若い頃身体を酷使すると、定年後にその影響が表れます。60~70代が最も不安定な年代です。中には遅めの超老化現象をみないまま生涯を閉じる人もいます。
年齢とともに低下する筋力を保つには、ウオーキングや水泳、ゴルフ、ゲートボールなどの毎日の運動が第一です。歳をとっても健康を保つためには軽い運動が必要です。しかし、何事も頑張りすぎないことです。自分のペースで進めることが必要です。これにより、いつまでも若い人々とうまく調和して過ごすことができます。少し疲れたと思ったら決して無理せずに休むことを心がけるべきです。
50代後半から60代になったら多くの人々は定年を迎えます。現役の頃は一日の行動がほぼ決まったパターンですが、定年になった翌日からそのリズムが無くなります。70代になると多くの人は職場を離れて時間を自由に使うことができる生活になります。退職して1年くらいは1日のリズムが変わるので適応に苦労しますが、1年後には退職後の安定した生活になります。
家庭環境により個人差はありますが、好きな時間に起きて、好きなだけ趣味を楽しんで、好きな時間に寝ることも可能です。しかし、定年後も身体は現役時代のリズムを覚えているので、自由な生活を続けると体調の変化が現れます。私の経験では70代をいかに過ごすかがその後の人生を左右する大きな要因になります。
私の場合、70代を振り返ると楽しみが満載でした。大学の定年の前年64歳の時に国際毒性学会連合 (IUTOX) の副会長に選出されて、それから70代後半までは1年間に5~6回国際会議のために海外出張しました。元来、海外に好奇心があったことから、国際会議の後は、個人的に2~3日その地の有名な場所を訪ねました。私の旅行は思いつきで行き先を決めることが多かったです。中でもヨーロッパは歴史的に有名な観光地、名所、旧跡が多いので退屈しませんでした。ローマでの会議の時には、会議終了の翌日、市内の多くの観光地を巡りました。ある時には、ローマからフィレンツェへ行き、美術館を楽しみました。また、フィンランドの首都ヘルシンキでの会議の時は、翌日船でエストニアへ行きました。そんな生活が79歳まで続きました。約30カ国を訪問しました。パスポートが7冊になりました。個人旅行には思いがけない出来事が多いです。
詳細は旅のこぼれ話を御覧ください。
70代は私にとって人生最大の楽しい日々でした。幸い身体の状態も問題なく、食事も現地の名物を食し、大きい都市には日本食レストランもありましたので不自由なく過ごしました。職場には定年がありますが、自分の趣味、活動には定年はありません。現役の頃に時間がなく十分に楽しめなかった碁、将棋にも十分に時間を費やして楽しく過ごすことができました。テニス、散歩、旅行など出来るだけ体を動かすことにより健康貯蓄ができます。
家内との欧州旅行も忘れられない思い出です。70代に家内の希望でスイスへ旅行しました。JTB主催のグループ旅行で、スイスの山岳地帯を眺める旅です。スイスで最も有名な登山鉄道であるユングフラウ鉄道で素晴らしい景色を満喫しました。この鉄道は途中でアイガー・メンヒのアルプスの名峰を貫くトンネルを登って行きます。終着駅のユングフラウヨッホ駅で下車。そこからトンネルの中を数分歩くと、目の前にユングフラウヨッホや他の名峰、アイガー氷河などを眺めることができました。また、スイス滞在中に本場のチーズフォンデュを食しました。
80代になると体力が落ちて病気がちになりますので無理をせずに身体を大事にすることです。もし手術をする様な大病になっても、70代に健康を貯蓄するとそれに耐えることができます。私の場合、70代が過ぎて80代に入った途端に、病院にお世話になることが多くなりました。70代までは無病息災で、当時関係していた学術団体、学会などの国内、国外会議に出席していました。ある年には年間で100日くらい海外出張のこともありました。70代後半になりすべての役職を辞めましたが、70代は殆ど年齢を意識しないで動いていたために、80代になった途端にあちらこちらの病気が襲ってきました。
83歳の時、人生で初めて入院し総胆管結石の手術を受けました。84歳の時には、それまで薬で治療していた前立腺肥大症が進行したので手術を決断しました。その後3回入院、手術をしましたが、幸い体力的には問題なく過ごしました。80代になってそれまでより体力は明らかに落ちましたが、それでも入院、手術による体力の消耗はそれほど深刻ではなく、毎日の生活もそれほど不自由なく過ごしました。これは70代に各地を訪ねて健康を維持したためと思います。
70代では定年までの体力や、定年後の運動などで僅かながら体力を貯蓄する事が出来ますが、80代になると体力が驚く程落ちてそれまで貯蓄していた体力を一気に使い果すので病気がちになります。したがって、老後に備えて60, 70代で出来るだけ多くの健康貯蓄をお勧めします。80代後半になって3回も入院、手術をしましたが、それまでの健康貯蓄が底をついたからです。80代は人生にとって正に三途の川を渡るか渡らないかの正念場です。
90代になった今日では、今後どんな毎日を過ごしたらよいか見当もつきません。分をわきまえて何事にも無理をせずに身体に過剰な負担をかけずに過ごすのがよさそうです。90代は人生の余分な部分です。90代になると体の贅沢品は削り取られて生きるために必要な最低限の必需品だけが残されます。必需品である臓器の働きは老化とともに徐々に消耗されますが、身体全体の統合的働きは低いなりに安定状態を保ちます。
いつ人生を閉じるかわかりませんので好きな様に生きることです。高齢者の身体は一年で驚くほど変わります。私の知り合いで、80代までは人間ドックで異常値が多かったのが、90代になったら基準値以内に納まったそうです。主治医にその理由を聞いても「なぜですかね」というだけでした。本人は特に節制に務めた訳でもなかったそうです。私も同じ様な経験があります。74歳の時脈の乱れで初めて薬を服用しました。それ以後20年近く悩まされてきましたが、3年前から脈の乱れがぴたりと出なくなったのです。それまでは、ストレスや、猛暑、酷寒、睡眠不足など身体が疲れている時に脈の乱れが起こりましたが、最近では前と同じ程度の疲れがあっても発作が起こらなくなったのです。医師に聞いても判りません。考えられることは、恐らく、高齢になると他人の雑音に対して反応が鈍くなるためにではないかと思います。つまり、加齢とともに神経が枯れて鈍感になったのが幸いしているのかもしれません。高齢者は「枯れた境地」が役に立ちます。他人の言葉に過敏にならないで受け流す術を知っています。それが「老」に立ち向かうコツです。昔、神社で厄年を払ってもらったとき神主さんに聞きました。「厄年は何歳まで続くのですか」。神主さんは答えました。「60歳過ぎると毎年厄年です」。全くその通りです。
脳を若返らせるには「好きな事」を見つけることです。私の場合、初めて訪れた街をぶらぶらすることが好きです。中でも海外の街は建物や人々の動きの珍しさも手伝って私の好奇心を刺激します。予定の会議の日程が終わった翌日は初めての知らない街をぶらぶらして一人で観光するのが私の好奇心と趣味でした。これにより初めての街を知り、地元の人と話をしたり、「知的好奇心」を満すことができました。歩くことは健康にもよいです。大きな街には必ず大きな市場がありますのでその中をぶらぶらのぞいたりするだけでも、楽しく1日を過ごすことができます。これにより“健康脳”を保つことができて長寿につながります。
免疫力とは、「疫(病気)を免れる力」のことです。「免疫」は医学用語ですが、「免疫力」は医学用語ではありませんが一般に使われています。免疫は一度感染症などにかかったら二度とかからない生体反応です。驚くことに、健康な人でも毎日、5000個のがん細胞が生体内でできています。なぜ、発病しないのでしょうか。それは免疫細胞ががん細胞を死滅させるからです。免疫の仕組みは実に精巧にできています。それには何種類もの免疫細胞が協調しあって体内で発生したがん細胞や外から侵入した細菌やウイルスなどを常に監視し、撃退する自己防衛システムのことです。
免疫力は思春期にピークとなり、20歳を過ぎると徐々に機能低下し始めます。個人差がありますが、40歳代ではピーク時の50パーセント、70歳代で10パーセント台まで低下する人もいます。そのため、免疫力の低い乳幼児と老齢時に病気が多発します。こうした免疫力の低下には加齢以外にも、ストレスや環境が影響を及ぼすといわれています。厚生労働省の調査によると、高齢者のストレスの第一位は「自分の健康状態に対する不安」となっており、「病は気から」という考え方のもと、ストレスを貯めないことが健康長寿の秘訣と言えるのかもしれません。過剰なストレスを感じた状態にあるときは、交感神経が優位に働いています。この状態が続くと、血管は収縮し、全身への栄養や酸素の運搬が遅くなります。結果として、免疫機能が正しく機能しなくなってしまいます。
環境が変わると身体はそれに慣れるのに時間がかかります。私は30年余大学の教員をしていました。毎日の講義や会議など比較的規則正しい生活を送っていました。しかし、平成8年の定年を境に毎日の生活のリズムがガラリと変わりました。その後、2、3年間隔で、それまで経験しなかった身体の変調が見られました。夜中に突然息苦しくなり救急車を呼びたくなることもありました。猛暑の日歩いていて突然脈が乱れて近くの病院へ駆け込んだこともあります。これは全て生活のリズムが変わったことに身体がついていけなかったからです。そんなことを繰り返して4、5年たった頃、それまでの身体の異変が嘘の様に消えました。生活のリズムに身体が慣れたからです。この経験から、身体と心がいかに密接に関連しているかを改めて痛感しました。
人と会話するときには、相手が何を話したいかを知ることが必要です。相手の趣味を考えて、それに関する話題を引き出すと効果的な会話になります。知的好奇心の高い人ほど、脳の記憶や会話、読み書きなどに関わる側頭頭頂部(そくとうとうちょうぶ)の萎縮を防ぐと言われています。おしゃべりしながら相手に共感するとき、脳の社会性や理性を司る「前頭葉(ぜんとうよう)」を活性化します。
私はできるだけ友人と会ったり電話で会話するように心がけています。おしゃべりにより他人と接触することは老化を抑えてくれます。話すことが好きな人は、社交性があるという特長があります。「いろいろな人と知り合いたい」「話したい」という気持ちが強く、初めて会う人でも緊張せずに話ができます。基本的に明るい性格で、相手に楽しんでもらいたいという思いから、ユーモアを交えて話すことが多いです。
誰からも好かれる人は、他人の悪口・陰口を言わない、相手の話をむやみに否定しないことが必要と言われています。私は北海道大学大学院に在学し、札幌に5年間住みました。最初に地元の人と会った時、彼らは初対面と思われない親しさで話しかけてくれました。道民の親しみは相手を和ませてくれます。親しく話をすることは老化防止に大きな力を持っています。
散歩は脳を活性化します。自分の歩幅で身体に負荷がかからない速度で歩きます。若い人のペースで歩くと、心臓がばくばくして身体によくないです。散歩すると、心臓の拍動が活発になり、ふくらはぎの血流ポンプ力も増して足にたまった血液の脳への還流も多くなります。毎日の散歩によって外部からの刺激を受けて頭が活性化されます。歩くと心臓と肺が活発に動き出します。歩き出して20分ほどすると、体内の血液が活発に循環しそれにより体内に新鮮な酸素が隅々まで行き渡ります。頭の前部にある脳の前頭葉に新鮮な血液と酸素が送りこまれると、注意力や思考力、意欲などが上昇します。
なぜか。脳の中では神経細胞が一個ずつ独立して働いているのではなく、それらが手をつないでネットワークを構成して機能を発揮しています。別々に存在していた複数の神経細胞が、神経線維によってつながり新たな思考回路が出来上り、より活発に活動するからです。散歩は数多くの効用があり脳を活性化させ記憶力や思考力を向上させてくれます。脳トレのために散歩することは忙しい毎日を改善することにつながるかもしれません。脳は、何歳になっても鍛え続けていけば若々しい状態を保つことができます。1日30分、散歩することによって記憶力や意欲、思考力、判断力を高めることができます。私は天気の良い日は散歩することにしています。70代の頃は近くの「春の道」を時々ベンチに座って休憩しながら1万歩歩いたのですが、80代になったら2000~3000歩が限界になりました。明らかな老化により体力の限界です。
人の性格は十人十色です。若い頃は穏やかだった人が高齢になると急に頑固になることが珍しくありません。皆様のお知り合いの中でもきっと何人かはいると思います。長年連れ添った家人が驚くほど頑固になるときは問題です。家族が健康を心配して病院へ行くことを勧めても、「自分の健康は俺がよく知っているから必要ない」などと家族の勧めを拒否する高齢者が少なくないのです。このような高齢者は、家族に病人扱いされたり、命令されるのを嫌う人です。本人は病院へ行って医者にいろいろ質問されることや、検査などがすべて面倒になってやる気が起きないからです。しかし、病気から目を背けたところで病気が消えるわけではありません。
頑固な人には二種類あります。性格的に一本筋が通って自分の考えを曲げない人、いうなれば「意固地」な人です。もう一つは「わがまま頑固」です。この種の人はある程度納得しても、いろいろ屁理屈をつけてすぐには他人の考えを受け入れようとしません。このような頑固者と話をするときには、相手がこだわる理由がわかっている場合には、会話の中で極力その点に触れないようにすること、または相手のいうことについて、「なるほど、そうですね」などと積極的に共感を示したりするとやんわりと会話が進みます。話をしている間にこの相手は苦手で嫌いだと思って接していると、不思議なことに長時間の話し合いの間にそれが相手に伝わります。この状態になったら人間関係がぎくしゃくするだけです。
頑固な人を相手に感情的に対応しても、それは自分がいらいらして消耗するだけです。こんなときは、私のような凡人には難しいことですが、冷静になり決して挑戦的にならないように聞き流すのが一つの方法です。頑固な人が最も嫌がるのは、自分の意見が一番で他人に先を越されること、反対意見で遮られること、上から目線で指示されることです。こんな人と接するためには、相手に敬意を払う態度を示し、相手の出方を見る、自分の意見を少し控えめに出すことです。それにより相手の態度が和らぎます。頑固な高齢者は自尊心の高い人が多いので、それを傷つけないようにすることもスムーズに話し合う時のコツです。相手を押し込める話し方をすると徹底的に交戦してきますので、冷静に理路整然と一貫した考え方を述べて、相手を納得させることです。これが高齢者でどうしようもない頑固者には有効です。
多くの高齢者は年をとるとせっかちになり、自分で希望すること、やりたいことは直ぐにしないと気がすまないというわがままが出ます。高齢者がちょっとしたことでも怒りやすくなるのは、脳の働きと関係があります。現役で毎日職場で働いていた頃は脳のすべての部分を使っていたのですが、高齢になると使う必要のない箇所が増えます。その結果、脳の機能が全体として衰え、物事に対する理解力が低下するので感情的にイライラしやすくなります。また、専門医の話によると、老化によって、脳内の感情をコントロールする部分が萎縮し、怒りの感情を抑制することが難しくなるとのことです。怒りが抑えられなくなるのは、脳の働きのうち、物事や言葉を理解する部分と、感性に関する部分の働きが衰えるからです。
「余生」とは、文字通りに解釈すると”余った人生”という意味です。つまり、人生において、”やるべきことをやってしまって、余った人生”ということです。ある人は年金支給が始まる高齢者65歳を過ぎれば余生と考えています。また、ある人は仕事を辞めたら余生と考えています。「余生」という呼び方が何歳から使えるかは歳だけではありません。老人でも生活に追われていれば、生活の糧を得るために労働を続けなければなりません。そんな時にはとても余生と言ってる余裕はないはずです。逆に、定年退職して生活には困らず、ノンビリ暮らしている人の場合は毎日を余生と考えると思います。
高齢になっても頑固さがなく、若い人々と気軽に話す人は誰からも好かれて、友人もたくさんできます。高齢になって脳の活発さを失い、表現力が乏しくなったり、憂鬱になって人を避けるようになると、老化が急速に進みます。高齢になり、「話すのが面倒になった」とか「人と接することが億劫になった」という人は、加齢が進んでいる証拠です。このような人は年とともに無口になりますので要注意です。他人と会話をしている時に、脳は無意識のうちに自分の考えをまとめてうまく表現するように働いています。事実、高齢になっても他人との会話がスムーズにできる人は脳が若い証拠です。
定期健康診断を受けることについては個人の考え方によりますが、自分の身体の状態を把握するためには早期発見・早期治療が第一です。もし医師に加療が必要と言われたときには専門家の意見に従って決断すべきです。内臓の癌が出来て治療が必要になるためには20年かかると言われています。従って、70代でがんがなければ寿命の方が早くやってくるかもしれません。
私は「出会い」という言葉が好きです。そこには、自分から心を開き、相手とめぐり合うという意味があるからです。死ぬ間際に「自分の人生は意味があった」と思える人は幸せな人生だったと言えます。限りある人生をいかに生きればよいのでしょうか?
人間が老いること、生涯を閉じることは生命を持つ人間にとっては避けることのできない自然現象です。高齢になってもこころ豊かに生きるためには他人と温かな人間関係を築くことが必要です。90代、100代の皆さんがすべて長生きしたいわけではありません。なぜか、それは「無駄に長生きして家族やまわりの人に迷惑をかけたくないから」とか「身体がだんだんつらくなるから」とか、「経済的な不安があるから」などの考え方があります。
高齢で亡くなった時、新聞記事では「老衰」と書きます。私は、「老衰」よりも「老逝(ろうせい)」が好きです。「老逝」は私の造語です。「老衰」はいかにもよぼよぼになって亡くなったイメージがありますが、「老逝」は釈然としてこの世を去ったイメージがあります。
私が北海道大学大学院博士課程を修了して社会に出たのは昭和41年(1966年)4月でした。就職初日に当時同研究所の所長だった宮木高明教授(故人)から所長室で国家公務員の辞令を受け取りました。一礼してすぐに去ろうとしたとき、宮木先生から、「国家公務員は重要な職務なので辞令をよく読みなさい」と注意されました。以来70年間、千葉大学薬学部、東京薬科大学に奉職し、国際、国内の諸学会にも関係して多くの人々との出会いがありました。そして2026年に95歳になりました。これまでのご厚誼に感謝しかありません。寿命を全うしたとき、「幸せだったですね」と人々から見送られるほど本人にとって幸せなことはありません。そのことが人生を全うしたことになります。この小文で述べた内容が読者の皆様のご参考になれば幸いです。
謝辞:
今回の小文を作成するに当たって多くの方々からお意見をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。
アルツハイマー型認知症やレヴィー小体型認知症の患者の脳では、アセチルコリンという神経伝達物質が減少しています。神経伝達物質とは神経と神経の情報のバトンタッチに必要な物質で、減少すると脳のネットワークがうまく働かなくなってしまいます。アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼという酵素で分解されます。初期の認知症治療薬はその酵素の作用を阻害することにより、脳内のアセチルコリンの分解を抑制して神経伝達を順調に保つ作用があります。現在認可されている薬としては、アリセプト( 一般名:ドネペジル) 、レミニール、イクセロンパッチとリバスタッチ(これらは会社が違うだけで同じ薬)
この種の薬は,ドネペジルをはじめとするアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは異なる作用機序です。 メマリー(一般名:メマンチン)。メマリーの利点は、患者のイライラした感情を抑え、気持ちをおだやかにする作用です。
アデュヘルム(一般名:アデュカヌマブ)
アルツハイマー型認知症の原因物質はアミロイドβ(ベーター)というタンパク質で、これが脳内の神経細胞の外に蓄積し脳の神経細胞を死滅させ、脳が萎縮して認知障害を引き起こすというものです。その後、神経細胞の中にたまりアルツハイマー病を引き起こす別のタンパク質が発見されました。それは τ ( タウ)たんぱく質です。アデュヘルムをはじめ、最近の有望な新薬候補は、アミロイドβを脳から排除する作用があります。タウたんぱく質に作用する薬は未だ発見されていません。アデュヘルムは、米国のバイオジェン社と日本のエーザイが共同開発した治療薬です。
2020年7月、両社はアメリカ食品医薬品局(FDA)に申請し2021年にFDAで条件付きで承認されました。条件付きで承認した理由は、アデュカヌマブには患者の脳からアミロイドβを減らす効果は認められたが、症状の改善は期待したほど認められなかったからです。つまり、認知症の原因物質はアミロイドβだけではないことがわかりました。バイオジェン社は2024年初頭に研究・販売を中止しました。国内では2020年12月10日、バイオジェン社とエーザイ社はアデュカヌマブについて厚生労働省に新薬承認を申請していましたが、2021年12月22日に厚生労働省は、アルツハイマー病治療薬としてのアデュカヌマブの承認を見送り、継続審議となりました。
レカネマブ、ドナネマブ、ガンテネルマブ
1.で紹介したアデュカヌマブ以外では、バイオジェン社とエーザイ社が開発した「レカネマブ」、イーライリリー社の「ドナネマブ」、ロシュ社が開発した「ガンテネルマブ」などで、これらは抗体医薬です。これらは、抗アミロイド β 抗体(レカネマブ・ドナネマブ)です。脳内に蓄積したアミロイド β のかたまりにくっついて、アミロイド β を除去します。このうち、ガンテネルマブについては2022年11月の時点で臨床で効果が認められなかったとの報告があります。エーザイのレケンビ(一般名:レカネマブ)は,2023年1月6日に米国FDAから迅速承認され,フル承認への変更に向けた申請をFDAに提出しました。日本と欧州においても,2022年度中の承認申請を行う予定です。
大塚製薬は従来精神科領域の統合失調症の治療薬として開発したレキサルティを、その適応範囲を広げる治験を米国や欧州連合(EU)加盟国などで実施しました。対象はアルツハイマー型の認知症で暴力や暴言などの攻撃行動がある55~90歳の計345人を対象として、有効性や安全性を比べました。その結果、2022年6月に「レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)」が、欧米などでの臨床試験で有効性が確認できたと発表しました。2022年後半には米国で承認申請する予定とのことです。
これは8つの質問からなる最大24点満点のセルフチェックです。過去1ヶ月間に、少なくとも週3回以上経験したものに当てはまるものにチェックして下さい。
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