都立小山田緑地と大泉寺

2012/05/06

以前、大学時代の歴史に詳しい知人から小山田緑地に隣接し小山田氏の城跡といわれる大泉寺のことを聴き、小山田緑地と共に訪れようと思っており、緑地というからには、春の新緑の頃に訪ねようと思っていた。さわやかな風薫る5月6日に出かけた。すでに駐車場はほぼ満車状態であったが、1台分空きスペースを見つけ駐車。他にも何か所か駐車場があるようだ。ここは、南に本園、その北側に大久保分園と梅木窪分園がほぼ並んでおり、さらに北側は山中分園となっている。山中分園の北側は多摩市で大妻女子大と高校があり、小田急多摩線の唐木田駅からは徒歩圏内。東側は東京国際ゴルフ場と隣接している。今回廻ったのは本園と大泉寺。

「小山田緑地は町田市の北西部、多摩ニュータウンに近接する緑豊かな丘陵地にあり、計画面積約146haの一部を開園しています。  園内には、コナラ・クヌギ・シラカシ等の雑木林のほか、ボール遊びも出来る開放的な草地の広場、トンボ等が生息する水辺があり、散策や、軽スポーツ、自然観察に最適です。  緑地の周囲にも、さながら多摩丘陵の原風景といった趣の田園風景が随所に残り、周囲を結んだ軽ハイキングや遠足などに適しています。」(東京都公園協会サイトより)

 大泉寺は山号を補陀山、曹洞宗の古刹。ここに平安から鎌倉期にかけてこの地を治めていた小山田氏の城があったと伝えられている。
 承安元年(1171)秩父平氏の畠山有重が小山田別当となり、小山田有重となった。有重の4男行重が安貞元年(1227年)この寺を開創したとされる。

 小山田氏の歴史については「小山田高家公顕彰碑」 に記されている。

「小山田の谷」。池の中央からカエルの大きな鳴き声が響いていた。

なだらかな昇りの遊歩道が続く。

竹林養生中でタケノコが元気に育っていた。

「小山田の道」

運動広場

「みはらし広場」

中央に富士山、右方に高尾山、左方に丹沢、大山が望める、とプレートにあるが、あいにく富士山は見えず。

みはらし広場を下り住宅地を抜けて大泉寺参道。

武相観世音菩薩の第11番札所となっている。武蔵、相模の国にまたがって48箇所の観音霊場がある。

観音堂(大泉寺参道右手)

観音堂の彫り物

龍の彫り物

大泉寺山門

大泉寺山門

山門にある四天王の像。山門の両側に背中合わせに2体ずつ4体。埃に汚れたガラスを拭いて写真を撮った。

町田市銘木100選に選ばれた杉

阿羅漢(仏教において、尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のこと。)20体ある。

「小山田高家公顕彰碑」

 桓武平氏の流れを汲む小山田別当有重、承安元年(1171年)この地に城を築いて小山田の庄を領した。
源平争乱の時代に小山田一族は、源頼朝の家人として活躍し、平氏滅亡のあと、建久元年(1190年)頼朝初の京都入洛に際して、有重の子三郎重成、四郎重朝、五郎行重は、畠山重忠らとともに先陣の隋兵として従った。頼朝亡きあと、北条時政の誹りを受け、元久2年(1205年)三郎重成、四郎重朝とその子等は、将軍実朝により二俣川に於いて謀殺された。
 ここに小山田一族は離散した。

 元弘3年(1333年)小山田一族の裔小山田太郎高家、新田義貞の侍大将として登場。小山田城を固守していた北條泰家の軍を追って鎌倉に攻め入り、北條一族を討滅した。ここに建武中興成る。

 その後、足利尊氏が叛くに及んで、高家は湊川の合戦に奮戦の折、主君義貞 生田の森で足利軍の矢ぶすまに立ちつくすを見て、高家おのれの馬に乗せ奉りて、主君の危急を救い、自らは処女塚で壮烈な戦死を遂げる。時に延元元年(1336年)5月25日と 太平記は記している。

 小山田城址と伝えられる大泉寺境内の西北の山腹に、三基の宝篋印塔(ほうきょういんとう)があるが、有重、行重、高家三人の供養塔といわれている。梵字の彫刻も苔むして定かではない。
 塔のたたずまいは、小山田の風土と永い歴史をわれわれに語りかけてやまない。然し今日、開発の波は怒涛の如く、由緒あるこの城址に逼りつつある時、ここに美しい風土に秘められた歴史の跡を偲び、併せて小山田高家公及び小山田一族の名声を末永く顕彰するためこの碑を建立する。
                                            薄井 清 撰
                                       八十二翁 井上 武 書

* 薄井 清 : 町田市文化財保護審議会委員だった人。著書に「小山田物語ー小山田の歴史」(共著)町田ジャーナル社刊 など。 (昭和5年生,平成19年死去)       

左手山腹にある小山田一族の有重・行重・高家の宝篋印塔、といわれている。

再び、小山田緑地に戻った。小山田緑地サービスセンター。のどが乾いたのでジュースでもと思ったが何もない。水飲み場があるだけ。

つり橋

つり橋から朴(葉)の花が見えた。

渡り終えて振り返った。

竹林の上側から。



オニタビラコ(鬼田平子)

小川の流れる音が心地よい。