美術館・博物館

西山美術館(町田市)2009/05/09

西山美術館入り口

会社囲碁部の美術館に詳しい人の話を聞いて、西山美術館を訪問した。 西山美術館は我が家から徒歩で15分ほどの小高い山の上にある。2006年4月にオープンしたが、これまで訪問の動機がなかった。ここは、町田市を拠点とし、ダスキン加盟店で建築関係なども事業としている東証一部上場「NAC株式会社」社長「西山 由之氏」(のちに会長)の自宅に併設された美術館である。

という

武家屋敷風の入り口を通り、坂を上ると美術棺入り口にロダンの「考える人」の彫像があった。料金は通常1,200円のところ60歳以上割引で1,000円だという。案内用のPDA携帯端末を借りて入館した。

入り口にあるロダンの「考える人」

館内は撮影禁止なのでロダン・ユトリロの紹介はこちらのサイトをどうぞ。

 西山美術館ホーム・ページ (音声が出ます。「西山美術館ご紹介ビデオ」もご覧ください。)  

ところで、美術館の写真撮影について、チラッと調べてみた。
ルーブル美術館 => 撮影可、一部不可
オルセー美術館 => 常設展示は個人的な使用を目的とするものに限り可、特別展は不許可
ポンピドゥ・センター => 常設展示のみ基本的に許可、一部不可
大英博物館 => 基本的に撮影可
ボストン美術館 => 著作権の問題がある一部を除いて可
日本でも国立西洋美術館などは可
となっている。

館内は2階から3階には、オーギュスト・ロダン(1840〜1917)の作品全52点が展示されている。美術誌などで見たことがある作品が展示されていた。

4階と5階に、モーリス・ユトリロ(1883〜1955) の作品全76点が展示されている。
ユトリルは10代でアルコール中毒になり、治療のため絵を描いていたという。作品は、後に「白の時代」といわれる、1907〜14年の家並みや壁を描いた白っぽい作品が一般に評価が高い、という。西山美術館の最上階には「白の時代」の作品が多数展示されている。

日本式庭園がよく手入れされている。前日までの長雨でつつじの見ごろを逃してしまった。

お勧めのマイセンのカップのコーヒー。このマイセンは40万円という。取っ手が持ちづらく落としては大変と思いながら緊張して飲んだ。妻は大変喜んでコーヒーも一味違うという。 我が家にもマイセンとまではいかないがどこかのブランド品カップがあるが、使った記憶がない。

喫茶室からの眺め、かすかに我が家の屋根がみえた。

なるほど、美術というのは、画家の人生と絡めて眺めてみると結構味わい深いものがあるものだと、初心者の感想。
西山美術館はこれまで想像していたより、はるかにすばらしい美術館だったとの印象。



彫刻の森美術館 (箱根)2009/05/14

5月の風がここちよい晴れた天気の日であった。箱根彫刻の森美術館訪問。今年初めての箱根の山は新緑から深緑への過渡期でとても美しいドライブロードであった。カーナビは小田原からを案内していたが、東名高速御殿場インターから仙石原経由。 カーナビの支持で、箱根登山鉄道「彫刻の森美術館」という駅があることを知った。駅近くの踏み切りを超えて左の坂を上ると目的地である。入場料は、大人1,600円で駐車料500円とられた。


  • 「バルザック」
  • オーギュスト・ロダン
  • フランス
  • 1840-1917

入り口から下りエスカレータで野外彫刻の展示広場に入ると、右手にロダン作バルザックの彫像があった。ロダンによるバルザックの胸像は先日町田市の西山美術館にもあったのでロダンとバルザック(1799-1850)の接点について調べてみた。

バルザックの死後、1891年フランス文芸家協会は彼の功績を讚え「バルザックの像」を製作することになり彫刻家ロダンに依頼しました。ロダンは積極的に彼に関する作品資料を読み込み、彼の生家を訪れ、彼の体形に似た人物をデッサンし、予定の製作期間より長い7年間の歳月をかえて作品を仕上げました。できあがった作品は寝巻きのガウンを着て書斎を歩き廻りながら小説のアイディアを考えている姿のバルザックでした。ロダンは深夜、闇の中に立ちつくし、闇を見つめひとり自問を続ける姿こそ本当のバルザックのそのままの姿という想いで制作しましたが、世間では「失敗作」と酷評され、優雅な姿のバルザックの像を期待していたフランス文芸家協会はその像を、バルザックの名誉を損なうとの理由で引き取りを拒否。引き取りを拒否された石膏像はしばらくそのまま彼の家に保管されました。しかし、ロダンの死後、弟子や友人の働きかけでロダンは数多くの人達に支持され、彼の功績は高く評価されました。バルザックの像はその後、1939年、パリ市民の募金によりブロンズに鋳造され、ラスパイユ大通りにブロンズ像が設置されました。
出典:日本バルザック研究会・バルザックホームページ 緑風舎Wiki書評 リルケ「ロダン」より



  • 「人とペガサス」
  • カール・ミレス
  • スエーデン-アメリカ
  • 1875-1955

野外彫刻の展示広場正面に、箱根の山と白い雲の浮かんでいる青空をバックにして空中を飛んでいる彫刻が眼に入った。いかにも野外美術館ならではの物語性に富んでいる。

ギリシャ神話の英雄ベレロフォンが天馬ペガサスに乗って、怪物キマイラの退治に向かう場面である。そそり立つ台座の上でもペガサスも思いきり体を伸ばし、さらに高く飛翔しようとする。ミレスの彫刻には美術の諸様式が混合しており、ギリシャ・アルカイック期やゴシック、あるいはバロック的な要素が盛り込まれている。想像力豊かな構図、自由奔放な動きを得意とする彼の作品は、空を背景にした野外に映える。


  • 「力 勝利 自由 雄弁」
  • アントワーヌ・ブールデル
  • フランス
  • 1861-1929

入り口から順路沿いの下りスロープの途中に3.75メートルの彫刻が4体立っている。 もともとの作品はアルゼンチン建国の父アルヴェアル将軍の記念碑という。その後、同じ高さのものが何組か作られ、彫刻の森美術館は1969年の開館直後に画廊を通じてパリのブールデル美術館から購入した。
作品の詳細はこちらをご覧ください。
=>坂元暁美氏の解説(上野の森美術館学芸員)


右手前方丘の中腹に不思議な球が輝いている。同様の作品がローマのバチカン、国連本部などにもあるらしい。

鏡面のように磨きあげられたブロンズの球体の表面に、地割れのような裂け目が入り、開口部から内部が露呈している。その歯型のような割れ目と蝕まれたような内部は、滑らかな表皮と対照的な様態を見せ、見る者を驚かす。モニュメンタルな彫刻作品を制作するかたわら、オペラや演劇の舞台美術のデザインも手がける。戦後のイタリア彫刻界を代表する巨匠の1人。


木漏れ日に照らされて、情熱的な彫刻が目に付いた。女性の美しい姿勢と支える男性の調和がよい。


かわいらしくて思わず微笑んでしまう。作者 北村西望は長崎県出身の日本を代表する彫刻家。「長崎平和記念像」の作者で有名。



この美術館はヘンリー・ムーアの作品が多数野外展示されている。ヘンリー・ムーアは私も名前を知っているかなりの巨匠である。抽象的な作品が、ボリューム感を伝え、なだらかな曲線が太陽の照り返しを微妙に変える。


「知恵子抄」でも有名な高村光太郎最期の1953年の作品。見覚えがあると思ったが十和田湖畔にもある。大阪御堂筋にもあるらしい。千恵子夫人がモデルという。


深い意味のありげな作品。孫悟空がお釈迦様の手のひらから逃れなかった話を連想した。


「ビカソ館」があった。いってみるまで存在はしらなかった。内部は写真撮影禁止だったので、公式ホーム・ページからご覧ください。 =>彫刻の森美術館ピカソ館


大きな塔があり螺旋階段を登ってみると庭園が見渡され、遠くには箱根の山々が見える。内部はステンドグラスが太陽の光で綺麗にみえる。


風のせい。
一人の男性が、かなり立派な縦型の2枚レンズのカメラと大型三脚で時間をかけて撮影していた。そのうちある彫刻の前で三脚を立て、自動シャッターをセットし自分を撮ろうと、カメラから5メートルほど先に歩いた瞬間、突風が吹いて、カメラが三脚ごと、ガシャッと前に倒れた。あわててカメラを取り上げた顔がとてもがっくりした様子。その後うなだれて立ち去って行った。カワイソー。