KaTrainという無料囲碁AIの評判がよく、早速使ってみた。
まず碁盤画面の使いやすさに感心した。よく考えられたUIはほとんど何も考えずに直感的に操作できる。
当記事では簡単な操作と気が付いた説明を述べる。
AI Geminiの評価
KaTrain(カトレイン)は、世界最高峰のオープンソース囲碁AI「KataGo(カタゴ)」をエンジンとして搭載した、非常に使い勝手の良い無料の対局・検討用デスクトップアプリです。
従来のAIソフト(Lizzieなど)に比べてグラフィカルで直感的に操作できるため、プロや高段者の研究から、アマチュアの棋譜検討、日々の練習対局まで幅広く愛用されています。
その主な特徴や魅力をいくつかご紹介します。
1. 目数(スコア)ベースのわかりやすい形勢判断
多くの囲碁AIは「勝率(%)」をメインに表示しますが、勝率だと「大差の局面で悪手を打っても99%が98%になるだけ」で見落としがちになります。
KaTrainは「この手によって何目損したか(例:-2.5目)」を盤上の着点に色付きのドットで表示してくれるため、自分の打った手のどこが悪手だったのかが一目でわかります。
2. 多彩なAIの「棋風」と対局できる
最高棋力はプロ九段を遥かに凌駕(十一〜十二段相当)しますが、人間の練習相手として以下のような様々なモード(手加減や癖)が用意されています。
通常のKataGo(最強)
特定の段位・級位(15級〜3段など)に合わせた手加減AI
ミスをしやすいAI、戦い好みのAI、地に辛いAI
指導碁モード(Teach): 自分が大きな悪手を打つと、AIが自動で「待った」をかけて打ち直しを促してくれるモード
3. 柔軟な盤面設定
19路盤だけでなく、2路〜18路盤まで自由なサイズで設定できます。5路盤や9路盤などの小路盤でAIとちょっとした死活や布石の練習をすることも容易です。
4. 低スペックPCでも動作可能(CPU対応)
KataGoのような強力なAIは通常、高性能なグラフィックボード(GPU)を必要としますが、KaTrainは設定から「CPU版(katago_cpu.exe など)」を選択することで、一般的なノートパソコンでも比較的スムーズに動作させることができます。
導入方法について
Windowsであれば、GitHubの公式ページ(または解説サイトの案内リンク)から KaTrain.exe をダウンロードして実行するだけで、複雑な環境構築なしですぐに使える手軽さも魅力です(Mac版の .dmg も用意されています)。また最近では、ブラウザ上で動作する「Web KaTrain」などの派生プロジェクトも登場しています。
ご自身の棋譜(SGFファイル)を読み込ませて「感想戦」をさせるだけでも、非常に強力な上達のパートナーになってくれます。
開発者 : KaTrainという便利で直感的な画面(GUI)や、手加減AIのアルゴリズムを構築した中心人物は、GitHub上で sanderland というアカウント名で活動しているオランダ(デンマーク近郊)在住のデベロッパー兼囲碁プレイヤー(ネット棋力3k前後)です。
導入 : GitHub
Assetsから導入ソフトをダウンロード。

Katrain.zipをダウンロード
ダウンロードフォルダーで解凍(click) する際に格納するフォルダーを指定する。
そのまま展開するとダウンロードフォルダーに展開される。それでもかまわないが、標準的な場所に展開する場合は、
C:/ユーザー/(ユーザー名)/AppData/Local/Programsを指定し展開する。KaTrainフォルダーにKaTrain.exeと_internalフォルダーが出来る。KaTrain.exeを右クリックし"ショートカットを作成"
して、任意の場所にドラッグする。
左上の≡ で各種の設定をおこなう。

日本語を選ぶ

AI設定 > "AIの戦略"を「手加減なし」😅

新規対局 > AIの戦略 : 手加減なし
右上の分析から。右列の「勝率」に着手毎の評価が表示される。
実戦からの例題

左上スミの白の小目(④)に黒の一間高ガカリ(⑤)。白が三線にハサミ(⑥)、黒が三々にツケ(⑦)、白はハネダシ(⑧)。その後の進行。白B17のアテ(⑩)は黒C18のノビ(⑪)と変わって良くない。

18手目まで、左上スミで白が一子を抜いた局面。KataGoが推奨した黒の次の着手は①とその後の候補図。ここまでの図は黒がよく勝率が61.2%に上がった。これまで自分の棋力ではスミの黒2子が取られても黒がよいと自信がもてなかったが納得。スミは手残り。
分析オプション
︙分析オプションの「領域を絞って分析」からマウスで領域を指定できる。

マウスで領域を囲むと青線で囲まれる。
KataGoの最強棋力「手加減なし」で対局。

KataGoの最強棋力に対して、置石ナシでは碁にならないとは思うが、体験してみた。右上スミの難解定石。どこかで黒がQ13に切って黒3子を捨てる打ち方を見た記憶があったが、この手は悪く評価が下がったので戻って、一路右に覗いて①右辺に展開するのが良いらしい。その後の予想図。
上位候補

「上位候補」にチェックすると碁盤に候補
が表示され、上の数値は "評価値の変化:目数" 、下の数字は "探索回数(Playouts):局面の先読み数" 、Playoutsが大きければ大きいほど、AIが「有力な手」だと考えて重点的に深く読んだことを意味する。
KataGoの最強棋力「手加減なし」で対局。最強というので9子でどうか?

中盤まで圧倒的に黒有利。勝ち切るにはここからが課題。結局左下スミの黒が5目中手で死んだ。分析すると左下白のC2に対して黒の下ハネは最も悪く、B1に置くのが正解であった。左下が取られても黒はまだ18目強リード。

「地合推定」の図。最終図黒8.5目勝ち。
設定から新規対局の設定で、「局面を生成」。これはAIが指定した局面まで生成し人間が続けるというもの。布石段階などで使えそう。

局面のリード20目、100手目までを自動的に作り出す。

途中までAIが生成した局面
指導対局とは、悪手を打つと自動で「待った」がかかる。AIの評価(KataGoの目数計算)を基準に、一定以上の損をする手を打つと、自動的にその手が取り消され(Undo)、別の手を打つよう促される。着手の良し悪しが「色付きの丸(●)」で一目でわかる。打った場所に表示されるドットの色で、どれくらい損をしたかが視覚的にわかる。緑・青: 良い手(最善、または損がほぼない)、黄色・オレンジ: やや損な手(緩着)、赤・紫: 大損(悪手)。色や回数などあらかじめ細かく設定できる。
設定から、人間を「指導対局」、AIを「段級位相応(1段)」に設定。

F16にAIから「待った」がでた。

①以降、その後の予想図。黒は逃げるだけになる。

AIの上位候補は白のツケた石の上にハネル(4線)。その後の予想図。スミの7子を捨てる。実戦で捨てれるか?🤔捨てれなければ下ツケ(2線)。
とにかくサクサク使える。AIの設定で "human-like" や "Historical Pro"などあって遊び心が楽しめるようだ。
AIにKataGoはどのくらい強いか聞いてみると、
1手ごとに数千〜数万手先を読んでいるためアマレベルとは比較にならないほど強い。対局するときのコツとアドバイス :
もし今後KataGoと打つ機会があれば、勝敗を競うのではなく「最強の先生に胸を借りる」あるいは「自分の打った手がどう評価されるかを見る(検討機能)」ツールとして使うのが一番おすすめです。
パソコンの性能については、筆者のPCのGPUはIntel Iris Xe Graphicsというもので、Intel CPUと一体型で使いやすいが、独立したRTXモデルのGPUには及ばない。
グラフィック処理の快適さを大まかなイメージで表すと、一般的なCPUだけの処理を1とした場合、Intel Iris Xe Graphicsは5、高性能なRTXモデルのGPUは50程度と言えるほどの圧倒的な性能差が存在する。
GPUについては別途記事にまとめた。囲碁AIとGPU