前回の新宮殿の前に広場を挟んで聳えているのが「バンベルク大聖堂」。
1237年に小高い丘の上に建てられ、高さ約81メートルの4本の尖塔をもつどっしりとした外観は、さすがの貫禄。司教都市として発展したバンベルクの誇りを感じさせます。
後期ロマネスクからゴシックにいたる過渡期の建築様式で、この時代の建築芸術の一つとして知られています。
正面入り口の慈悲の門ではタンパンに彫られた彫像は小規模で細い円柱が連なっています。彫像には聖母マリアや皇帝夫妻も見られます。
内部は東西に内陣を有する三廊式構造で、全体的にゴシック様式が目立ちますが、東内陣は半円アーチの窓を持ち、ロマネスク様式となっています。
東側の聖壇の両階段の真ん中に、この大聖堂を建てた皇帝ハインリヒ2世とその妻の壮麗な大理石で作られた墓があります。ハインリヒ2世は聖人君主として有名な皇帝で、皇后クニグンデはローマ教皇庁によって列聖された聖人です。
この墓はドイツの生んだ最大の彫刻家リーメンシュナイダーが1499年から14年の歳月を費やした傑作で、石棺の周囲には皇帝夫妻の逸話が彫り出されています。
バンベルク大聖堂は、ドイツで唯一、神聖ローマ帝国皇帝の墓所でもあるのです。
このリーメンシュナイダーの渾身の傑作に勝るとも劣らないのが東の内陣に飾られている、1235年頃作られたというロマネスク彫刻の石像「バンベルクの騎士像」。ドイツ中世美術の傑作の一つ。
騎士のモデルが誰かは定かではありませんが、ハインリヒ2世の妹ギーゼラと結婚した、ハンガリー王シュテファンではないかと考えられています。
彫刻の作者は不明ですが、稚拙な彫刻が普通だったこの時代に、気品と風格を漂わせる堂々とした姿はルネサンス様式を先取りしたかのようです。
教会奥左側に、素晴らしい木彫りの祭壇があります。テーマはキリストの生誕で、1523年、ニュルンベルクの彫刻家、ファイト・シュトスの作品です。
他にも印象的なキリスト磔刑図などもあり、バンベルク大聖堂内は見どころが多い。
出口から大聖堂側廊を通して眺める脇祭壇も印象的でした。
大聖堂を出て坂道を下ると、バンベルクの街中を流れるレグニッツ川の中洲に建つ旧市庁舎がありました。この旧市庁舎は丘の上の聖堂が建ち並び聖職者が居住する旧市街と、丘の下の市民たちが住む市街地との境界となっていて聖職者側にも市民側にも属さない中立の立場を象徴しています。
建物の外壁にはバロック時代のフレスコ画が描かれています。丘側には司教に対する忠誠、市街地側には市民の美徳がそれぞれ表現されています。