ツーソンの街中から15分程南に走ると、インディアン居留地があり、 ここに「サンゼイビア・デル・バク伝道教会」があります。
18世紀に建てられたスペイン系の教会で、白亜の外見が美しく、 「砂漠の白い鳩」とも呼ばれます。
全体が白いのかと思っていたのですがが、予想と異なり、 中央のファサードは濃い茶色、左右にある右側の塔は薄い黄土色でした。
もう少し大きいのかとも思っていましたが、意外と高さも低いし、規模も小さい。
ヨーロッパの壮大な教会建築を見慣れているからかもしれません。 メキシコ国境の荒野にあっては、勿論頭抜けて目立つ存在ですが。
外見だけでなく内部もこぢんまりした感じで、 壁や天井の至る所に絵が描かれています。これが稚拙ながら暖かみがあり、 スペイン、バルセロナのカタルーニャ美術館にある古い祭壇画を思い出しました。
メキシコもスペイン人の侵略を受けていますから、その影響もあるでしょう。
中央祭壇の前には狛犬のような感じで、頭とたてがみは黄金色、胴体は黒い 細長いライオンの金属彫刻が一対置いてあります。こちらはイタリア、アンコーナ の聖堂前にあった一対のライオンの石造彫刻を思い出しました。
その右側の壁の中段に古いメキシコ衣装を着けた老女の木彫があります。 これはアイヌの彫刻に酷似しています。 その隣にあるマリア像は典型的な白人美女。
各種の文化が入り混じっているような面白い教会です。
外に出ると、周りは狭い庭でサボテンが何種類か植わっています。
教会の右手に高さ30m程の岩山があり、頂上に白い十字架が屹立しています。 その小山に向いた教会の壁には、この小山は教会の所有物ではないと謳っています。
10m程の中腹に小山を取り巻く道がつくってあり、教会側に立派な門があります。
その門をくぐって少し横に進むと、浅い洞窟があり、その前には黒い鉄柵が置かれ、 鉄柵の所々には花が飾られ、洞窟の右斜め上の部分に小さな穴が彫られ そこに白いマリア像が置かれています。何やら謂われのある場所なのでしょう。
いい体格をした中年の白人男性が首うなだれて鉄柵の前に座っていました。
そこを登ると直ぐ頂上。360度見渡せ、眼下に教会の全貌がさらされ、 教会の正面からは見えないドーム屋根もよくわかります。
遠くツーソンの街並みと低い山々が見渡せるのでした。