美術館訪問記-127 アングル美術館

(* 長野一隆氏メールより。写真画像クリックで原寸表示されます。)

添付1:アングル美術館

添付2:アングル美術館前の教会

添付3:アングル作
「目覚め」

添付4:アングル作
「婦人の肖像」

添付5:アングル作
「習作」

添付6:地下1階踊り場

添付7:ブールデルの部屋

前回の文中「モントーバンの戦士」のモントーバンとは何の事かと 思われた方もおられるでしょう。

モントーバンはフランスの都市名で、 スペイン国境近くのトゥールーズの少し北にある市です。

第2次大戦中あの「モナ・リザ」を 一時この町のワイン倉に隠したこともありました。

ブールデルはこの町の出身で、市の依頼で記念碑を作ったのです。 市の橋のたもとに建っています。

この町の中心に「アングル美術館」があります。 ブールデルは幼少の頃この美術館の創設者に絵画を学んだのです。

前に大きな教会がありますが、この美術館は17世紀に建てられた司教館が母体で、 1951年から8年間の大改修で、 外見は渋い赤レンガとガラス張りのモダンな建物になっています。

第30回で詳述したアングルもこの町の出身で、元市長のコレクションを基に 1843年にこの美術館は創立されています。

アングルは1851年、71歳の誕生日に自分のコレクションを寄贈。 1871年の死後、彼のデッサンや作品も遺贈され、 現在はアングルのデッサン4000点、油彩48点を所有しているといいます。

4階建ての建物ですが、地下2階まであり、 地下2階は昔の礼拝堂が残っており、古い出土品等が置いてあります。

地下1階と途中の階段の踊場には、宗教的彫刻作品や 日本の鎧、兜、刀の展示もあります。

1階にアングルとその弟子達の作品が並びます。 別に1部屋ブールデルの彫刻を展示した部屋もあります。

2階にはアングルのコレクション。

カルパッチョ、ヨルダーンス、プッサン、ブーシェ、 ジャック・ルイ・ダヴィッド等の真作もありますが、大多数は模写です。

アンドレア・デル・サルト、ベッリーニ、ドルチ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、 マザッチョ、パルミジャニーノ、ポントルモ、ラファエロ、ティエポロ等。

ローマ賞を受賞し、2年間は公費でイタリア留学を果たしたアングルは その後16年間もイタリアに留まり、肖像画を描いたりして生活していましたから、 その間美術館に通って修業がてら模写に励んだのでしょう。

あるいは元市長が掴まされた偽物か。

何でも屋の芸術家だった父親のデッサンと11歳のアングルの描いた その模写が並べられていましたが、ピカソの父親とピカソとの関係のようで、 息子の方がはるかに豊かな才能を示しているのでした。

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